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ビタミンB6
Vitamin B6

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[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版改訂年月(翻訳時):2019年12月10日
ビタミンB6とは?その働きは?
ビタミンB6はビタミンで、多くの食品に天然に含まれております。身体は、代謝に関わる100を超える酵素反応のためにビタミンB6を必要としています。ビタミンB6は、胎児期および乳児期の脳の発達や、免疫機能にも関与しています。
ビタミンB6の必要摂取量は?
ビタミンB6の必要摂取量は、年齢によって異なります。下表に1日の平均摂取推奨量を、ミリグラム(mg)で示します。
ライフステージ | 摂取推奨量 |
---|---|
生後6カ月 | 0.1 mg |
幼児7-12カ月 | 0.3 mg |
小児1-3歳 | 0.5 mg |
小児4-8歳 | 0.6 mg |
小児9-13歳 | 1.0 mg |
10歳代14-18歳:(男子) | 1.3 mg |
10歳代14-18歳:(女子) | 1.2 mg |
成人19-50歳 | 1.3 mg |
成人51歳以上(男性) | 1.7 mg |
成人51歳以上(女性) | 1.5 mg |
妊娠している女性(10歳代も含む) | 1.9 mg |
授乳中の女性(10歳代も含む) | 2.0 mg |
どのような食品からビタミンB6を摂取できますか?
ビタミンB6は、多くの食品に自然に含まれ、食品に添加されることもあります。以下のようなさまざまな食品を摂取することによって、ビタミンB6の推奨量を摂取することができます:
- 鶏肉、魚、内臓肉はいずれもビタミンB6を豊富に含んでいます。
- ジャガイモその他の澱粉質の野菜は、米国人の主要なビタミンB6供給源の1つです。
- 果物(柑橘類を除く)も、米国人の主要なビタミンB6供給源です。

どんなビタミンB6サプリメントが市販されていますか?
市販されているサプリメントには、通常ピリドキシンの形でビタミンB6が含有されています。マルチビタミン・ミネラルサプリメントのほとんどはビタミンB6を含有しています。ビタミンB6のみ、あるいはビタミンB6と他のビタミンB群を含むサプリメントもあります。
充分にビタミンB6は摂取できていますか?
米国人の多くは、食品から十分なビタミンB6を摂っています。しかし、特定の集団では他と比べて充分にビタミンB6を摂取できていない可能性があります:
- 腎臓が正常に機能していない人。腎臓透析を受けている人や、腎移植を受けた人など。
- 自己免疫疾患のある人。自己免疫疾患では、自己の免疫系が誤って自己の正常な組織を攻撃します。たとえば、関節リウマチ、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、あるいは炎症性腸疾患の患者は、ビタミンB6濃度が低下することがあります。
- アルコール依存症の人。
充分にビタミンB6を摂らなかったらどうなりますか?
ビタミンB6欠乏症は、米国ではあまりみられません。十分なビタミンB6が摂取できないと、さまざまな症状を引き起こします。たとえば、貧血、かゆみを伴う発疹、口唇の荒れ、口角のひびわれ、舌の腫れなどです。ビタミンB6が極度に低下した場合に起こるこれ以外の症状として、抑うつ、錯乱、免疫機能の低下があります。乳児が十分なビタミンB6を摂取できないと、刺激に敏感になったり、極度の聴覚過敏やけいれんを引き起こしたりします。
ビタミンB6が健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?
ビタミンB6が健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。以下は、研究成果の数例です。
- 心臓病
- ある種のビタミンB(葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6など)は、血中のホモシステイン(アミノ酸の一種)濃度を低下させることによって、心臓病のリスクを低下させるのではないかと考えられています。ビタミンBサプリメントによって血中のホモシステイン濃度は低下しますが、実際には心臓病または脳卒中のリスクや重症度は低下しないことが研究で示されています。
- がん
- 血中のビタミンB6濃度が低い人は、結腸直腸癌など、一部のがんのリスクが上がる可能性があります。しかし、現在までの研究で、ビタミンB6のサプリメントががんを予防したり、がんによる死亡率を下げたりするという結果は示されていません。
- 認知機能
- 血中のビタミンB6濃度の高い高齢者ほど記憶力がよいことが、いくつかの研究で示されています。しかし、健康な人あるいは認知症の人がビタミンB6のサプリメント(ビタミンB6のみ、またはビタミンB12または葉酸との併用)を摂取しても、認知機能あるいは気分の改善はみられないようです。
- 月経前症候群
- ビタミンB6の摂取が月経前症候群(PMS)に及ぼす潜在的利益はまだ確かではありません。しかし、ビタミンB6の補充によって、気分のむら、いらいらし易さ、もの忘れ、腹部膨満、不安など、PMSの症状が緩和できることがいくつかの研究で示されています。
- 妊娠中の悪心嘔吐
- 妊娠初期の2-3カ月の間に、少なくとも半数の女性が悪心、嘔吐、あるいはその両方を経験します。米国産科婦人科学会(American Congress of Obstetricians and Gynecologists (ACOG))は、いくつかの研究成果に基づいて、妊娠中の悪心嘔吐の治療に医師の管理の下でビタミンB6を補充することを推奨しています。

ビタミンB6が害を及ぼす可能性はないのですか?
食物からビタミンB6を取り過ぎることはほとんどありません。しかし、高用量のビタミンB6を1年以上にわたってサプリメントから摂取すると、重度の神経障害を引き起こし、動作の制御を失うことがあります。そのような症状は、サプリメントの使用を中止すれば通常は解消します。ビタミンB6の過剰摂取によって起こるその他の症状には、痛みを伴い外観を損なう皮膚病変、光線過敏症、悪心や胸やけなどがあります。
ビタミンB6の安全な上限値は下表の通りです。この値は、医療上の理由で医師の指導下でビタミンB6を服用している人には該当しません。
ライフステージ | 安全な上限値 |
---|---|
生後12カ月 | 設定数値なし |
小児1-3歳 | 30 mg |
小児4-8歳 | 40 mg |
小児9-13歳 | 60 mg |
10歳代14-18歳 | 80 mg |
成人 | 100 mg |
知っておくべきビタミンB6の相互作用はありますか?
ビタミンB6サプリメントは、服用している薬と相互作用が認められたり、またはその働きを阻害する可能性があります。その例は以下の通りです:
- ビタミンB6のサプリメントは、結核の治療に用いる抗生物質であるサイクロセリン(Seromycin®)との相互作用があり、この薬が引き起こす発作や神経細胞の損傷を悪化させることがあります。
- ある種のてんかん治療薬は、ビタミンB6濃度を低下させ、薬が発作を制御する力を弱めることがあります。
- 喘息やその他の肺疾患を治療するテオフィリン(Aquaphyllin®、Elixophyllin®、Theolair®、Truxophyllin®など)を使用すると、ビタミンB6濃度が低下して、発作を誘発します。
あなたが服用しているすべてのサプリメントおよび医薬品について、担当の医師、薬剤師、その他の医療スタッフに話してください。利用しているサプリメントが、処方薬または市販薬と相互作用あるいは阻害を起こす可能性はないのか、あるいはそれらの医薬品が、体内での栄養素の吸収、利用、分解の過程において阻害する可能性がないのかについて教えてくれるでしょう。
ビタミンB6に関する詳しい情報を得たい時は?
- ビタミンB6に関する一般的な情報:
- ビタミンB6含有食品についての詳細な情報:
- サプリメント購入に関するアドバイス:
- 健康的な食べ方に関する一般的な情報:
【免責事項】
ダイエタリーサプリメント室が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で言及している個別の商品名は、その製品を推奨しているものではありません。
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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