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インフォグラフィックでわかる統合医療

海外の情報

不安
Anxiety

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

不安
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2018年12月

不安とは、ある出来事や状況について心配、緊張感や恐怖を感じることです。ストレスに対して不安を感じることは、ふつうのことです。しかし、不安がコントロール困難で日常生活に支障をきたす深刻かつ継続的な問題になる場合があります。このような問題を抱えているならば、不安障害と言えるでしょう。アメリカでは毎年、成人の約19%が不安障害にかかっており、推定31%が生涯のいずれかの期間で不安障害にかかっているとされています。不安障害は、心理療法、薬物療法、または双方によって一般的に治療します。不安障害にかかっていると思う場合は、かかりつけの医療スタッフに相談しましょう。

研究者らは、補完療法・統合医療が不安を軽減し、不安に対処する上で役立つような方法を検証しています。日常生活やストレスのある状況で経験する不安に注目した研究や、不安障害に注目した研究があります。

科学的根拠

いくつかの補完療法には、医療行為などストレスのある状況での不安を軽減するのに有用である可能性があります。補完療法が不安障害に対応するのに有用であるかどうかは、あまり知られていません。

心身療法

  • リラクゼーション法によって、慢性疾患患者や医療行為を受ける患者で不安が軽減する可能性があります。しかし、認知行動療法(心理療法の一種)の方が、不安障害の少なくとも数種類を治療する上でリラクゼーション法よりも有用であると考えられています。
  • 鍼治療が不安を軽減することを示唆する研究もありますが、その研究は限定的なものであるため、確信的な結論には至っていません。
  • 催眠療法[英語サイト]は、医療行為や歯科行為に伴う不安について検証されてきました。期待できる結果が得られた研究もありますが、全般的なエビデンスは決定的なものではありません。[eJIMサイト内日本語訳]
  • がんやその他の疾患の患者を対象とした研究の中には、マッサージ療法が不安軽減に有用であるとするものもありますが、その他の研究では有益な効果は認められませんでした。不安障害に対するマッサージに関する研究はほとんどなく、実施済みの研究の結果は矛盾するものでした。
  • がん患者、その他の慢性疾患患者、患者家族、妊婦、医療従事者、雇用者、学生など、さまざまな集団を対象に、不安に対するマインドフルネス瞑想を用いた介入の効果が、研究で検証されました。これらの研究のすべてではありませんが多くで、マインドフルネスの不安に対する有用性が示されました。超越瞑想には不安に対する有益な効果があることを示すエビデンスがいくつかあります。研究が不十分であるため、マインドフルネスやその他の種類の瞑想が不安障害に有用であるかどうかは不明です。
  • 音楽を聴くことで罹患中や治療中の不安が軽減することを示すエビデンスがあります。
  • 瞑想運動療法(太極拳、気功ヨガ)によって不安が軽減することを示唆する研究もありますが、その研究は限定的なものであるため、決定的な結論に至っていません。
  • レイキや手当て療法については、不安に対する有用性は認められていません。

他の補完療法

天然物

  • 国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health :NCCIH(旧NCCAM))による支援で行われた2件の研究では、カモミール抽出物が全般性不安障害の管理に有用である可能性が示唆されていますが、この研究は暫定的なもので、所見は決定的なものではありません。
  • カバには不安に対する有益な効果があると考えられています。しかし、カバサプリメントの使用は、重度の肝障害のリスクを伴います。
  • メラトニン[英語サイト]は、手術予定の患者に対する従来の不安軽減薬の代替候補として検証されており、その結果は期待できるものです。
  • 不安に対するパッションフラワーバレリアンのエビデンスは不十分であるため、結論に至っていません。

副作用とリスク

  • 心身療法は、資格のある施術者が適切に実施したり、十分に訓練を積んだインストラクターが適切に教えたりすれば、健康な人にとっては全般的に安全です。身体活動を伴う場合、ヨガなど動きを伴う鍛錬には、怪我のリスクが伴います。疾患を伴う患者や妊婦は、検討中の心身療法について医療従事者に相談し、ものによっては変更または回避する必要があるかもしれません。
  • サプリメントには副作用や医薬品との相互作用を伴う可能性があります。
不安に対する補完療法
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年8月

研究者らは、さまざまな補完療法が、時折起こる不安や不安障害に対して役に立つかどうかを研究しています。マインドフルネスやその他の瞑想、音楽、リラクゼーション法、メラトニンが、不安、特に医療処置や慢性的な医療問題に関連する不安に対して有用であるかもしれないとするいくつかのエビデンス(科学的根拠)があります。しかし、不安に対する他の補完療法については、その有用性について決定的な結論を出すには十分なエビデンスがありません。

ここでは、不安に対する心身療法や天然物を含む複数の補完療法に関する現時点での研究結果をまとめています。

科学的根拠:不安に対する補完療法 :科学的根拠[英語サイト]

各種補完療法と現時点での研究の要約

鍼治療

不安に対する鍼治療の研究では、肯定的な結果が得られているものも一部ありますが、一般的に不安に対する鍼治療に関する研究の多くは、方法論の質が低いか、統計的有意性がないものです。さらに、研究が極めて多種多様であるため(例えば、経穴(ツボ)の数や種類、セッションの頻度、治療期間など)、潜在的な利益について確固たる結論を出すことは困難です。

不安に対する鍼治療の科学的観点についての詳細はこちら

マッサージ療法

一部の研究では、マッサージ療法は、がんやその他の合併症を持つ人の不安を軽減するのに役立ちましたが、他の研究では、統計的に有意で有益な効果は見られませんでした。 不安障害に対するマッサージの研究はほとんど行われておらず、結果も相反するものでした。

不安に対するマッサージ療法の科学的観点についての詳細はこちら

マインドフルネス瞑想

瞑想療法は一般的に用いられており、不安関連の症状を有する人にとって、わずか〜中等度のベネフィット(有益性)があることが示されています。超越瞑想には、不安に対して有益な効果をもたらすかもしれないとするエビデンスがいくつかあります。しかし、臨床的に不安障害と診断された患者を対象とした十分な統計的検出力を有する研究が不足しているため、不安障害に対する有効性について確固たる結論を出すことは困難です。

不安に対するマインドフルネス瞑想の科学的観点についての詳細はこちら

リラクゼーション法

リラクゼーション法は、慢性的な医療問題を抱える人や医療処置を受けている人の不安を軽減するかもしれません。 しかし、全般性不安障害の人については、リラクゼーション法よりも従来の心理療法のほうが有用であるかもしれないと研究により示されています。

不安に対するリラクゼーション法の科学的観点についての詳細はこちら

カモミール

カモミール抽出物(エキス)が全般性不安障害に対して有益な効果をもたらすかもしれないとする研究もありますが、研究は予備的なものであり、その結果は決定的なものではありません。

不安に対するカモミールの科学的観点についての詳細はこちら

カバ(Kava)

カバ抽出物(エキス)は、不安の症状に対して中等度の有益な効果をもたらすかもしれないと考えられていますが、カバのサプリメントは重篤な肝障害のリスク(危険)と関連性があるとされています。

不安に対するカバの科学的観点についての詳細はこちら

メラトニン

メラトニンが手術を控えた患者の不安を軽減するのに役立つかもしれないと示唆するいくつかの研究があり、術前不安の軽減においてミダゾラムによる標準治療と同等の有用性を有するかもしれません。

不安に対するメラトニンの科学的観点についての詳細はこちら

ラベンダー

不安に対するラベンダー製剤の研究では、ある程度の治療効果が示されていますが、一般的にこれらの研究の多くは方法論の質が低いものです。

不安に対するラベンダーの科学的観点についての詳細はこちら

科学文献

患者のための情報

小児に対する補完療法の使用
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英語版改訂年月(翻訳時):2017年3月

要点は?

小児に対する補完療法ついてどれくらい知っているのでしょうか?

私たちは、小児向けの補完療法の使用率については多くの情報を持っていますが、その効果と安全性についてはほとんど知りません。1

小児に対する補完療法の有効性についてわかっていることは?

研究では、さまざまな健康状態の小児に対して、多くの補完療法を検討していますが、強固なエビデンスはなく、何が有効で、何が有効でないかを示すには不十分です。

小児に対する補完療法の安全性についてわかっていることは?

多くの補完療法は小児に対して安全性が研究されていません。

1 これまで、小児は特別な保護により調査研究からしばしば除外され、成人を対象とした研究の知見が小児に適用されました。現在では、米国国立衛生研究所は、科学的および倫理的な理由が無い限り、小児を全ての研究対象に含めることを要請しています。

小児に対する補完療法の使用パターン

2012年の 米国国民健康調査(National Health Interview Survey:NHIS)において、4歳から17歳以下の10,000人を超える小児を含めたアメリカ人約45,000人の、補完療法の使用に関する包括的な調査を行いました。この調査から、過去1年間に、その小児のうちの11.6%がサプリメントヨガのような、補完療法および関連製品を与えられていました。2017年のNHISデータ[英語サイト]によると2012年から2017年までの期間のうち、過去12か月間でヨガや瞑想の利用がアメリカの小児(4歳から17歳)の間で著しく増加しています。ヨガを行っている小児の割合は2倍以上になり、瞑想を行っている小児の割合はほぼ10倍の増加を示しました。

小児に対して最も頻繁に用いられた補完療法または関連製品は、天然物2(魚脂、メラトニン、プロバイオティクス)、カイロプラクティックまたはオステオパシーマニピュレーションでした。

小児に対して補完療法が最も頻繁に用いられたのが、背部痛または頸部痛、他の筋骨格疾患、鼻風邪またはせき風邪、不安またはストレス、注意欠陥・多動性障害(attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)または注意欠陥障害(attention-deficit disorder:ADD)、不眠症または睡眠障害でした。

小児による天然物や心身療法を含む補完療法の使用に関するNHISの研究から得られた追加情報を知りたい方は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health’s:NCCIH(旧NCCAM)) のウェブのNHIS統計ページ[英語サイト]をご覧ください。

2 これには、ビタミンやミネラルは含まれません。

*ビタミンやミネラル以外のサプリメントをさす

引用:Black LI, Clarke TC, Barnes PM, Stussman BJ, Nahin RL.『米国内の4-17歳の子供の間での補完療法の使用 』 (国民健康聞き取り調査 2007-2012年)『米国国立保健医療統計報告書( no 78)』Hyattsville, MD:(米国国立保健医療統計センター. 2015年)

引用:Black LI, Clarke TC, Barnes PM, Stussman BJ, Nahin RL.『米国内の4-17歳の子供の間での補完療法の使用 』 (国民健康聞き取り調査 2007-2012年)『米国国立保健医療統計報告書( no 78)』Hyattsville, MD:(米国国立保健医療統計センター. 2015年)

*ビタミンやミネラル以外のサプリメントをさす

引用:Black LI, Clarke TC, Barnes PM, Stussman BJ, Nahin RL.『米国内の4-17 歳の子供の間での補完療法の使用』(国民健康聞き取り調査 2007-2012年)『米国国立保健医療統計報告書( no 78)』Hyattsville, MD:(米国国立保健医療統計センター. 2015年)

その他の研究で、補完療法また関連製品を使用したり、施されたりしたアメリカの小児は、年齢や健康状態がさまざまであることが示されました。例えば、

  • お茶や植物性サプリメントを、幼児の約10%が与えられています。大抵はぐずり泣きやお腹が痛い場合です。
  • ビタミンやミネラルの入ったサプリメントを、2~ 8歳の小児の約40%が与えられています。しかし、その年齢群は概して食事で十分な栄養が摂れます。
  • 特に10代の若者は、スポーツ能力が向上したり、エネルギー水準が増進したり、減量を助長すると謳っている製品を使う傾向があります。
  • 不安、筋骨格疾患、再発性頭痛を含む慢性の病状のある小児は、そうでない小児よりも、補完療法を使う傾向があり、大抵は既存の治療と併用しています。

科学的観点から見た小児に対する補完療法の安全性および副作用

  • サプリメントが原因で、毎年、約23,000件の救急外来があります。その患者の多くは、減量またはエネルギー補充製品を使用したことから心臓の不調をきたした若者です。救急外来受診者の5分の1は小児で、その大半は、大人が見ていないときに、ビタミンまたはミネラルを摂取していました。(サプリメントは、小児用安全包装が義務付けられていません。)
  • サプリメントには、薬物、化学物質、鉱物などの混入物が含まれていることがあります。
  • 小児は、体が小さく、発達中の臓器、未熟な免疫システムのために、大人よりもサプリメントに対してアレルギーやその他の有害反応が起きやすいのです。
  • いくつかの製品の中には使用して健康状態が悪化するものもあります。例えば、エキナセアは、ブタクサの一種であるため、ブタクサに敏感な人は、エキナセアにも反応することがあります。
  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、市販薬のうち、ホメオパシーとして分類されている喘息医療品を、信頼しないようにと警告しています。ホメオパシー療法やサプリメントの安全性または有効性はFADによって評価されていません。さらに詳しく知りたい方は、NCCIH のウェブサイトの、ホメオパシーのページNCCIH’s Web page on homeopathy[英語サイト]をご覧ください。
  • 生体フィードバック(行動療法)、誘導イメージ法、催眠療法、マインドフルネス、ヨガなどの心身療法は、多様な健康状態(不安やストレスなど)にある小児に対して有効であるという最上のエビデンスがあり、低リスクでもあります。しかし、一般的な補完療法である脊椎マニピュレーションは、稀に深刻な合併症が起こります。

さらに考慮しなければならないこと

  • 子供が免許を持つ医療スタッフから的確な診断を受けたことを確認しましょう。
  • 補完療法の潜在的なリスク(危険)やベネフィット(利点)についての知識を養っておきましょう。
  • 子供のかかりつけの医療スタッフに、使用を検討している、またはすでに使用している補完療法のベネフィットや潜在的なリスクについて相談しましょう。
  • 10代のお子さんにも、かかりつけの医療スタッフに使用を検討している補完療法について相談するよう促しましょう。
  • 通常の医療や処方薬の使用を遅らせたり、安全で有効だと立証されていない補完療法や関連製品に置き換えたりしてはいけません。
  • 医療スタッフが、補完療法の使用を勧めるのであれば、その治療薬を奨励された用量や期間を超えて、増やしてはいけません(多いから効くというわけではありません)。
  • 補完療法の効果について、心配なことがある場合は、些細なことでも子供のかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。
  • すべての薬剤や危険と思われるその他の製品と同様に、サプリメントも子供の見えないところ、手の届かないところにしまっておきましょう。
  • NCCIH(旧NCCAM)のウェブサイトでは、小児や10代の若者向けのサプリメント心身療法においての安全情報を提供しています。
  • 子供のかかりつけの医療スタッフ全員に子供の使用している補完・統合療法について相談しましょう。自分の子供の健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

補完療法の施術者を選ぶ

子供のために補完療法の施術者を探している場合は、通常の治療を探すのと同じくらい注意深く、考えて探しましょう。施術者について以下のことを確認しましょう。

NCCIH(旧NCCAM)のウェブサイトでは、補完療法の施術者についての更なる情報[英語サイト]を掲載しています。[eJIMサイト内日本語訳]

消費者向け情報

  • 小児および10代の若者に向けた心身療法の安全性について知っておくべき7つのこと
  • 小児および10代の若者に向けたサプリメントの安全性について知っておくべき5つのこと

医療関係者向け情報

関連するファクトシート

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/[英語サイト]
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine: NLM)のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed(PubMedで探す補完療法の情報)[英語サイト]をご覧ください。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed[英語サイト]

■ Cochrane Database of Systematic Reviews(システマティックレビューのコクランデータベース)

システマティックレビューのコクランデータベースは、国際的非営利組織であるコクラン・ライブラリー により作成されたエビデンスに基づくレビューのコレクションです。これらのレビューは、医療介入に関する臨床試験の結果を要約しています。要約は無料です。レビュー全文は購読のみです。

ウェブサイト:https://www.cochranelibrary.com[英語サイト]

■ 米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements:ODS)

ODSは、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。情報源として、出版物(「サプリメント:知っておきたいこと」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、「PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)」[英語サイト]などを提供しています。

ウェブサイト:http://ods.od.nih.gov[英語サイト]
Email:info@nccih.nih.gov

■ 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)

FDAは食品、医薬品、サプリメント、医療機器、および化粧品などの数多くの製品の安全性を監督します。サプリメントについてのウェブページはこちら

米国内の無料通話:1-888-463-6332
ウェブサイト:www.fda.gov[英語サイト]

■ 米国連邦公正取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)

FTCとは公正な取引を監督・監視する連邦政府の機関です。A key area of its work is the regulation of advertising (except for prescription drugs and medical devices).

米国内の無料通話:1-877-382-4357
ウェブサイト:www.ftc.gov[英語サイト]

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

国立衛生研究所(NIH)[米国]が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

ウェブサイト:www.nih.gov/health/clinicaltrials/[英語サイト]

参考文献

その他の参照文献
不安症(不安障害)
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2024年12月

不安とは何か?

時折不安になることは、人生の正常な一部です。多くの人は健康やお金、家族の問題などを心配します。しかし、不安症には一時的な心配や恐怖以上のものがあります。不安症の人にとって、不安は消えることはなく、時間とともに悪化する可能性があります。このような症状は、仕事、学業、人間関係など日常生活に支障をきたす可能性があります。

不安症には、全般性不安症、パニック症(パニック障害)、社交不安症、さまざまな恐怖症関連症状など、いくつかの種類があります。

不安の徴候や症状は?

全般性不安症

全般性不安症(Generalized anxiety disorder:GAD)は通常、持続的な不安感や恐怖感を伴い、日常生活に支障をきたすことがあります。時折物事を心配したり、ストレスの多いライフイベントによって不安を経験するのとは違います。GADに罹患している人は、何年もとは言わないまでも、何カ月も頻繁に不安に襲われます。

GADの症状には以下のようなものがあります:

パニック症(パニック障害)

パニック症の人は、予期せぬパニック発作を頻繁に起こします。パニック発作とは、明確な危険や誘因がないにもかかわらず、突然、強い恐怖や不快感、自制心を失う感覚に襲われることです。パニック発作を経験したすべての人がパニック症を発症するわけではありません。

パニック発作の間、人は以下のような経験をします:

  • 心臓のドキドキや高鳴り
  • 発汗
  • 震えやヒリヒリ感
  • 胸痛
  • 差し迫った運命の予感
  • コントロール不能感

パニック症の人は、次の発作がいつ起こるかを心配し、パニック発作を連想させる場所、状況、行動を避けることによって、将来の発作を積極的に防ごうとすることが多いようです。パニック発作は1日に数回と頻繁に起こることもあれば、年に数回とまれに起こることもあります。

社交不安症または 障害

社交不安症とは、他人から監視されたり、批判されたりすることへの強烈で持続的な恐怖です。社交不安症の人々にとって、社会的状況に対する恐怖は、自分ではコントロールできないほど強く感じられるかもしれません。人によっては、この恐怖が仕事に行くこと、学校に通うこと、日常生活を送ることの妨げになることもあります。

社交不安症の人は、以下のような経験をすることがあります:

  • 赤面、発汗、震え
  • 心臓のドキドキや高鳴り
  • 胃痛
  • 体の姿勢が硬い、または声が小さすぎる。
  • 初対面の人と目を合わせたり、一緒にいたりするのが苦手。
  • 自意識過剰や、人から否定的に評価されることへの恐れ

恐怖症関連症状

恐怖症とは、特定の物や状況に対する強い恐怖、あるいは嫌悪のことです。状況によっては不安になるのは現実的なことですが、恐怖症の人が感じる恐怖は、その状況や対象によって引き起こされる実際の危険とは比例しません。

恐怖症の人:

  • 恐怖の対象や状況に遭遇することを不合理に、あるいは過剰に心配することがある。
  • 恐怖を感じる対象や状況を避けるために、積極的に行動する。
  • 恐怖の対象や状況に遭遇すると、すぐに強い不安に襲われる。
  • 強い不安を抱えながら、避けられない物や状況に耐える。

恐怖症や恐怖症関連症状にはいくつかの種類があります:

  • 特定恐怖症(別名:単純恐怖症):
    その名が示すように、特定恐怖症の人は、特定の種類の物や状況に対して強い恐怖を感じたり、強い不安を感じたりする。具体的な恐怖症の例としては、以下のようなものがあります:

    • 飛行恐怖症
    • 高所恐怖症
    • クモ、犬、ヘビなど特定の動物に対しする恐怖症
    • 注射恐怖症
    • 血液恐怖症
  • 社交不安症(旧名称:社会恐怖症):
    社交不安症の人は、社会的状況やパフォーマンス状況に対する全般的な強い恐怖や不安を持つ。不安に関連した行動や言動が他人から否定的に評価されることを心配し、恥ずかしいと感じるようになる。この心配のために、社交不安症の人はしばしば社交的な状況を避けるようになる。社会不安症は、職場や学校環境など、さまざまな状況で現れる可能性がある。

  • 広場恐怖症:
    広場恐怖症の人は、以下の状況のうち2つ以上に強い恐怖を感じる:

    • 公共交通機関の利用
    • 広い空間にいること
    • 閉鎖された空間にいること
    • 列に並ぶこと、人ごみにいること
    • 家以外のところに一人でいること

    広場恐怖症の人は、パニックのような反応やその他の恥ずかしい症状が出た場合、その場を離れることが難しい、あるいは不可能かもしれないと考えるため、こうした状況を避けることが多いようです。最も重度の広場恐怖症になると、家に閉じこもるようになります。

  • 分離不安症:
    分離不安は子どもだけが抱えるものと思われがちです。しかし、大人でも分離不安症と診断されることがあります。分離不安症の人は、親しい人と離れることを恐れます。自分たちが一緒にいない間に、愛する人に何か悪いことが起こるのではないかと心配することが多いようです。この恐怖が、一人でいることや愛する人から離れることを避けさせます。別離の悪い夢を見たり、別離が起こりそうになると気分が悪くなったりすることもあります。

  • 選択的緘黙(かんもく)症:
    不安に関連するややまれな症状に選択性緘黙症があります。選択性緘黙症は、言語能力が正常であるにもかかわらず、特定の社会的状況において話すことができない場合に起こります。選択性緘黙症は通常5歳以前に発症し、極度の内気、社会的恥ずかしさへの恐怖、強迫的特徴、引きこもり、しがみつき行動、かんしゃくを伴うことが多いようです。選択性緘黙症と診断された人は、しばしば他の不安症とも診断されます。

不安の危険因子は何ですか?

研究者らは、遺伝的要因と環境的要因の両方が不安症の発症リスク(危険)に寄与していることがわかっています。

不安症の危険因子はそれぞれのタイプによって異なります。しかし、一般的な危険因子には次のようなものがあります:

  • 子供の頃、新しい状況下で人見知りをしたり、苦痛や緊張を感じたりする。
  • ストレスの多いネガティブな出来事や環境にさらされる。
  • 生物学的親族に不安症またはその他の精神疾患の既往歴がある。

不安症状は、以下のような要因によって生じたり、悪化したりします:

  • 甲状腺疾患や不整脈などの健康状態
  • カフェイン、その他の物質/医薬品

不安症かもしれないと思ったら、今かかっている医療機関※で身体検査を受けると、症状を診断し、適切な治療法を見つけることができるかもしれません。

不安はどのように治療しますか?

不安症は一般に、精神療法、薬物療法、またはその両方によって治療されます。不安を治療する方法はたくさんあるので、今かかっている医療機関※と協力して、自分に最適な治療法を選ぶ必要があります。

心理療法

心理療法または「トークセラピー」は、不安症の人を支援することが可能です。心理療法が有用であるためには、あなたの特定の不安に向けられ、あなたのニーズに合ったものである必要があります。

認知行動療法

認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)は、不安症の人々を支援することが可能な心理療法の一例です。不安や恐怖を感じることが少なくなるように、状況に対するさまざまな考え方、行動、反応の仕方を教える療法です。CBTはよく研究されており、心理療法のゴールドスタンダード(最も標準的とされる手法)です。

エクスポージャー療法(曝露法、曝露反応法)は、不安症の治療に用いられるCBT法です。エクスポージャー療法は、不安症の根底にある恐怖に直面することに焦点を当て、人々が避けてきた活動に参加できるようにするものです。エクスポージャー療法は、リラクゼーション・エクササイズとともに用いられることもあります。

アクセプタンス・コミットメント・セラピー

一部の不安症に対するもう1つの治療法として、アクセプタンス・コミットメント・セラピー(Acceptance and commitment therapy:ACT)があります。ACTは否定的な思考に対して、CBTとは異なるアプローチをとります。マインドフルネスや目標設定などの戦略を用いて、不快感や不安を軽減します。CBTに比べ、ACTは新しい心理療法であるため、その有用性に関するデータは少ないです。

薬物療法

薬物療法は不安症を治癒できるものではありませんが、症状を和らげるのに有用であると考えられます。精神科医やプライマリ・ケア医などの医療提供者は、不安に対する医薬品を処方することが可能です。米国では、一部の州では、専門的な訓練を受けた心理士が精神科の医薬品を処方することも許可されています。不安症と闘うために使用される最も一般的な医薬品の分類は、抗うつ薬、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など)、β遮断薬です。

うつ

抗うつ薬はうつ病の治療に用いられますが、不安症の治療にも有用です。これらは、気分やストレスをコントロールする特定の化学物質の脳の使い方を改善するのに有用であるかもしれません。あなたの症状を改善し、管理しやすい副作用を持つ抗うつ薬を見つける前に、いくつかの異なる抗うつ薬を試す必要があるかもしれません。

抗うつ薬は効き始めるまでに数週間かかることがあるため、その効果について結論を出す前に、薬にチャンスを与えることが重要です。抗うつ薬の服用を開始した場合、医療提供者の助言なしに服用を中止しないでください。今かかっている医療機関※では、あなたがゆっくりと安全に投与量を減らせるよう手助けしてくれます。抗うつ薬を突然中止すると、離脱症状が現れる可能性があります。

場合によっては、25歳未満の小児、青年、および成人は、抗うつ薬を服用する際、特に服用開始後の最初の数週間、または服用量が変更された際に、自殺念慮または自殺行動が増加するかもしれません。このため、抗うつ薬を服用しているあらゆる年齢の人は、特に治療開始後数週間は注意深く観察する必要があります。

抗不安薬

抗不安薬は、不安やパニック発作、極度の恐怖や心配の症状を軽減するのに有用である可能性があります。最も一般的な抗不安薬はベンゾジアゼピン系薬剤と呼ばれます。ベンゾジアゼピン系薬剤は全般性不安症の第一選択薬として用いられることがありますが、ベネフィット(有益性)と欠点の両方があります。

ベンゾジアゼピン系薬剤は不安を和らげるのに有用で、抗うつ薬よりも早く効果が現れます。しかし、人によってはこれらの薬に耐性ができ、同じ効果を得るためにはより高用量が必要になります。依存するようになる人さえいます。

こうした問題を避けるため、医療提供者は通常、ベンゾジアゼピン系薬剤を短期間処方します。

ベンゾジアゼピン系薬剤の服用を突然中止した場合、離脱症状が出たり、不安が再発したりするかもしれません。したがって、ベンゾジアゼピン系薬剤はゆっくりと減量する必要があります。今かかっている医療機関※は、あなたがゆっくりと安全に投与量を減らせるよう手助けしてくれます。

β遮断薬

β遮断薬は高血圧の治療に用いられることが多いですが、心拍の速さ、震え、振戦、赤面などの不安の身体的症状を和らげるのに有用です。これらの医薬品は、短期間服用すれば身体的症状を抑えるのに有用です。また、急性の不安を軽減するために「必要に応じて」使用することも可能であり、予測可能な形のパフォーマンス不安を予防することができます。

正しい薬物療法の選択

医薬品の種類によっては、特定の種類の不安症により効果的であるかもしれないため、どの医薬品が自分に最適かを特定するために、医療提供者と緊密に協力する必要があります。カフェイン、市販の風邪薬の一部、違法薬物、ハーブ系サプリメントなどの特定の物質は、不安症の症状を悪化させたり、処方された医薬品と相互作用したりするかもしれません。どの物質が安全で、どの物質を避けるべきかを知るために、医療提供者に相談する必要があります。

適切な医薬品の種類、量、治療計画の選択は、専門家の管理の下で行われ、その人のニーズと医療状況に基づいたものである必要があります。適切な医薬品が判明するまで、今かかっている医療機関※と一緒にいくつかの医薬品を試すかもしれません。

サポートグループ

不安症のある人の中には、自助グループや支援グループに参加し、自分の問題や成果を他の人と共有することが有益な人もいるかもしれません。サポートグループは対面でもオンラインでも利用できます。ただし、サポートグループのメンバーから受けるアドバイスは慎重に用いる必要があり、医療提供者が推奨する治療に取って代わるものではありません。

ストレス対処法

運動、マインドフルネス、瞑想などのストレス管理技術も不安症状を軽減し、心理療法の有用性を高める可能性があります。これらの技法があなたの治療にどのように有用であるかは、医療提供者と話すことで詳しく知ることができます。

不安症の臨床試験はどのように探すことができますか?

臨床試験は、疾患や症状・病態を予防、発見、治療する新しい方法を検証する研究です。臨床試験の目的は、新しい検査や治療が有効かどうか、安全かどうかを判断することです。臨床試験に参加することは個人にとってベネフィット(有益性)はありますが、参加者は、臨床試験の第一の目的は、新しい科学的知識を得ることであり、将来、他の人々がより良く助けられるようにすることであることを認識する必要があります。

米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health:NIMH)や国内の研究者らは、患者や健康なボランティアを対象に多くの研究を行っています。何年も前に臨床試験で明らかになったことのおかげで、今日、私たちは新しく、より良い治療の選択肢を持つことができます。明日の医療の飛躍的進歩の一翼を担いましょう。臨床試験について、そのベネフィット(有益性)とリスク(危険)、そして臨床試験があなたに適しているかどうか、今かかっている医療機関※に相談してください。

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不安についてさらなる情報

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調査と統計

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

メンタルヘルス
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英語版改訂年月(翻訳時):2020年1月

メンタルヘルスの問題は一般的です。アメリカでは、毎年1年間に成人の約4分の1がメンタルヘルスに何かしらの影響を受け、成人の半数近くが生涯のある時点で影響を受けます。

世界保健機関(World Health Organization:WHO)によると、精神疾患は、先進国において、他のどの疾患群よりも多くの障害のとして占めています。うつ病や双極性障害などの不安および気分障害は、最も高頻度にみられるメンタルヘルスの問題です。

不安、うつ病、季節性情動障害(seasonal affective disorder:SAD)など、さまざまなメンタルヘルスの問題に対する補完・統合医療が研究されています。

  • リラクゼーション法や音楽のようないくつかの補完療法は、医療処置などのストレスの多い状況での不安を緩和するのに有用な可能性があります。補完療法が不安障害の管理に役立つかどうかは、ほとんどわかっていません。
  • 鍼治療、音楽療法、ヨガが、うつ病に有用な可能性があるというエビデンスがいくつか存在します。セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、限られた患者の軽度から中等度の大うつ病(major depressive disorder:MDD)に対して、標準的な抗うつ剤と同様の効果があるかもしれないというエビデンスがいくつか存在しますが、そのエビデンスはまだ決定的なものではありません。しかしながら、セントジョーンズワートは、多くの医薬品と危険な、ときに生命を脅かす形で相互作用する可能性があります。オメガ3脂肪酸の補充がうつ病に有用かどうかは不明です。現在の研究では、S-アデノシル-L-メチオニン(S-adenosyl-L-methionine:SAMe)もイノシトールも、うつ病の治療のために使用することは支持されていません。
  • 季節によって発症したり消失したりするうつ病の一種であるSADについては、光療法がSADの既往歴のある人々に対する予防治療として有用な可能性があるという一部のエビデンスが存在します。研究では、SAD患者が使用するのに適した認知行動療法の一種が症状を緩和するのに有用であり、その有効性は、治療者によるセッションをさらに受けることなく次の冬まで続く可能性があることが示されています。しかし、ビタミンDの補充がSADの症状を緩和するのに有用であるかどうかは不明です。SADに対するビタミンD以外のサプリメントに関する研究はほとんど行われていません。

メンタルヘルスに問題があるかもしれないと感じたら、医療スタッフに相談しましょう。

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米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけの医療スタッフなど)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

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医療関係者向け情報

関連するファクトシート

ストレス
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英語版改訂年月(翻訳時):2022年4月

ストレスは、人が人生で困難に遭遇したときに経験する身体的・感情的な反応です。ストレスがかかると、体は「闘争・逃走」反応を起こすホルモンを分泌して対応します。心拍数、呼吸数、血圧が上がり、筋肉が緊張し、汗が多く出ます。時折のストレスは正常な対処メカニズムです。しかし、長期にわたるストレス(慢性ストレスとも呼ばれる)は、消化器系疾患、頭痛睡眠障害など、さまざまな健康障害の一因となったり、症状を悪化させたりするかもしれません。ストレスは喘息を悪化させるかもしれず、抑うつ不安、その他の精神疾患との関連も指摘されています。

ストレスを治す薬はありません。しかし、私たちは組み込まれた「ストレスリセットボタン」をもっています。それはリラクゼーション反応と呼ばれるものです。ストレス反応とは対照的に、リラックス反応は心拍数を遅くし、血圧を下げ、酸素消費量とストレスホルモンのレベルを低下させます。

ヨガマインドフルネスリラクゼーション法などの心理的・身体的なアプローチを使用することにより緊張をほぐし、ストレスによる悪影響に対抗する人もいます。

助けが必要な時期を見極める

対処するのに苦労している場合、またはストレスの症状が治まらない場合は、専門家に相談する段階かもしれません。

緊急の問題を抱えている場合、または自傷行為を考えている場合は、電話、テキストメッセージ、またはチャットで988(米国)に連絡してください。この3桁の番号は、現在全米で活動している「988 Suicide & Crisis Lifeline(988 自殺と危機のライフライン)」につながります。このライフラインは、自殺の危機や精神的苦痛を感じている人に、24時間体制で秘密厳守のサポートを提供します。

あなたやあなたの知り合いが精神疾患を患っていたり、精神的に苦しんでいたり、心の健康に不安がある場合、助けを得る方法があります。さらなる情報については、「助けを求める」をご覧ください。

要点は?

リラクゼーション法

リラクゼーション法を使用してリラックス反応を作り出すことで、ストレスの悪影響を打ち消すことができます。リラクゼーション法は、2型糖尿病患者において、血圧、炎症性サイトカイン、酸化ストレスを低減し、血糖コントロールを改善する可能性があるというエビデンス(科学的根拠)があります。

リラクゼーション法では、心身を落ち着かせるために、呼吸法と心地よい考えやイメージに意識を集中させることを組み合わせることがしばしばおこなわれます。リラクゼーション法の例としては、自律訓練法、バイオフィードバック(生体自己制御)、深呼吸、誘導イメージ療法、漸進的弛緩法、自己催眠などがあります。

  • 深い呼吸
    • ゆっくりとした深い呼吸(横隔膜呼吸とも呼ばれる)のエクササイズは、血圧を適度に下げ、コルチゾール(体内の主要なストレスホルモン)のレベルを下げるかもしれないことが研究で示されています。
    • 2019年に報告された3件の研究のレビュー(参加者総数880例)では、横隔膜呼吸法がストレスの軽減に役立つかもしれないことを示唆する予備的なエビデンスが得られました。精神面(メンタルヘルス)での自己評価や、コルチゾール値や血圧などの身体的な指標において、有望な肯定的変化が認められました。
    • 深い呼吸は、2型糖尿病患者の血糖値(血液中のグルコースまたは糖の濃度)を下げるというエビデンスがあり、この症状の標準治療に追加するのに有用であるかもしれないと考えられています。
  • バイオフィードバック(生体自己制御)
    • 2018年に報告されたレビューでは、リラクゼーション法とバイオフィードバックが、血圧の低下に役立つかもしれないとしていますが、29件の研究のデータは質が低いものから非常に低いものであったため、それらの実施については弱い推奨しかなされていません。
    • 心拍変動(heart rate variability:HRV)バイオフィードバックについては、いくつかの研究がなされています。参加者総数484例を含む24件のあるレビューでは、HRVバイオフィードバックが自己申告のストレスや不安の軽減に役立つことが明らかになり、研究者らは、フィットネストラッカーのようなウェアラブルデバイスの開発がさらに進み、有望なアプローチになると見ています。
  • 漸進的筋弛緩法
    • 漸進的筋弛緩法は、人によってはストレス緩和効果をもたらし、不安や抑うつに良い影響を与えるかもしれないことが研究で明らかにされています。
    • 2016年の研究では、漸進的筋弛緩が妊娠中の血圧を低下させる可能性があることが示されました。

瞑想とマインドフルネス

  • マインドフルネス
    • マインドフルネス瞑想は、集中力と明晰さを維持し、現在への認識を高める能力を養う実践法で、不安や抑うつなどのストレス症状を軽減し、睡眠の改善に役立つかもしれないことが現在のエビデンスによって示唆されています。
      • 2022年に報告された研究では、マインドフルネスを実践した参加者は、知覚ストレスと不安のレベルが著しく低下し、炎症状態のいくつかの主要なメディエーターのバランスも改善されたことが明らかになりました。
      • 2021年に報告された、大学生を対象に行われた研究では、マインドフルネスは心理的苦痛の低いレベルと関連しており、この集団における苦痛の尺度を減らすために、マインドフルネスに基づく簡単な介入が有用であることがわかりました。
      • 2019年に報告された18件の研究のレビューでは、マインドフルネス瞑想の介入が、睡眠障害を有するさまざまな集団において睡眠の質を有意に改善するという、中等度の強さのエビデンスが見出されました。
      • 2018年に報告された、職場のストレスやワークエンゲージメントに対するマインドフルネスベースのプログラムを検証した科学文献のレビューでは、マインドフルネスに基づく介入は、体内のストレス指標を改善するための有望な手段であるかもしれないとしています。
  • 瞑想
    • 2017年に報告された、瞑想とストレスの生理的マーカーに関する研究のレビューでは、集中的注意瞑想に関する8件の研究が含まれており、このタイプの瞑想が血圧とコルチゾールのレベルを下げることがわかりました。
    • 2009年に報告された、NCCIHが資金を提供した、大学生298例を含む試験の結果、超越瞑想(Transcendental Meditation:TM)の実践が高血圧発症リスクの高い人の血圧を下げるかもしれないことが示唆されました。また、瞑想を実践することで、心理的苦痛、不安、抑うつ、怒り・敵意、対処能力などに役立つ可能性があることが示唆されました。
    • 米国心臓協会(American Heart Association)の文献レビューと科学的声明では、血圧を下げるためにTMを使用することを支持するエビデンスがあることが示唆されています。しかし、レビューでは、TMが血圧を下げるという点で、他の瞑想法と比べて本当に優れているかどうかは、直接比較した研究(head-to-head study)が少ないため、不確かであることが示されています。
    • 2014年に公表された統合腫瘍学会の診療ガイドラインでは、乳がん治療を受ける患者のストレス、不安、抑うつ、倦怠感を軽減するための支持療法として瞑想を推奨しています。ストレス管理、ヨガ、マッサージ音楽療法、エネルギー節約・温存、瞑想は、ストレス軽減、不安、抑うつ、倦怠感、生活の質(Quality of Life:QOL)に対して推奨されています。

ヨガ

  • ストレス管理のためのヨガに関するいくつかの研究は、すべてではありませんが、ストレスに関連する身体的または心理的な指標の改善を示しています。
    • 2020年に報告された、12件の健康な成人のストレス管理を目的としたさまざまなタイプのヨガを対象としたレビューでは、すべての研究において、自覚的ストレスの指標に対するヨガの有益な効果が示されました。
    • 2014年に報告されたレビューに含まれる、ストレス管理を目的としたヨガに関する17件の古い研究のうち、12件の研究では、ストレスに関連する身体的または心理的指標の改善が見られました。
    • 2018年に報告された、参加者90例を含む18件の研究では、8週間と16週間のジムヨガがストレスや心理的健康に及ぼす影響を検証しました。その結果、対照群と比較した場合、ヨガを実践した人は、ストレスや不安が有意に減少し、一般的な心理的健康が改善され、ウェルビーイング(well-being)が向上することがわかりました。
    • 2017年に公表された、米国がん協会(American Cancer Society)の診療ガイドラインでは、乳がん治療中および治療後の統合療法のエビデンスに基づく使用について、不安・ストレス軽減のためにヨガを推奨しています。

安全性

  • 瞑想やマインドフルネスの実践技法は、通常、リスク(危険)が少ないとされています。しかし、これらの施術・療法について潜在的な有害な作用を検証した研究は少ないため、安全性について明確な声明を出すことはできません。
  • リラクゼーション法は、健康な人には一般的に安全と考えられています。ほとんどの研究では、好ましくない副作用の報告はありませんでした。しかしながら、時には、不安増大、侵入思考(望まない非自発的な思考)、自制心を失う恐れなど好ましくない経験が報告される場合もあります。
  • まれに特定のリラクゼーション法によって、てんかんまたは特定の精神疾患がある患者や乱用または心的外傷の既往歴がある人に、症状引き起こしたり、症状が悪化したりするかもしれないとする報告があります。
  • ヨガは、資格のあるインストラクターの指導のもとで適切に行えば、健康な人にとって安全な身体活動の一形態であると一般に考えられています。しかし、他の身体活動と同様に、怪我をすることがあります。最も多いのは捻挫や肉離れで、体の部位では膝や下腿を負傷することが多いようです。重篤な怪我はまれです。ヨガに伴う怪我のリスクは、衝撃の機会が多い運動よりも低くなります。ヨガの安全性についてのさらなる情報については、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)のウェブサイト「Yoga:知っておくべきこと」をご覧ください。
  • 高血圧の場合、今かかっている医療機関※が処方する治療計画に従うことが重要です。治療計画に従うことは、高血圧の重篤な合併症を予防したり、遅らせたりすることが可能であるため、重要です。高血圧に対して補完療法・統合医療を検討している場合、今かかっている医療機関※に相談してください。

NCCIHによる研究助成

現在、米国補完統合医療センター(NCCIH)が資金提供している研究では、以下のようなストレスに関連するさまざまなトピックが検証されています。

  • 州兵新兵の基礎戦闘訓練および入隊後2年間におけるストレス要因への暴露とレジリエンスの育成。
  • 2型糖尿病を有し、自分の症状・疾患に関連した苦痛のレベルが上昇している成人に対する、ストレス軽減を目標としたマインドフルネスに基づく糖尿病教育プログラムの有用性。
  • 関節リウマチ患者の疾患活動性と症状重症度に対する心理的ストレス、ストレス回復力(レジリエンス)、マインドフルネスに基づく有用性。

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス(Telecommunications relay service:TRS)7-1-1
ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/[英語サイト]
Email:info@nccih.nih.gov(メール送信用リンク)

■ 科学を知ろう

NCCIHと米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。科学を知ろう は、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed[英語サイト]をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/[英語サイト]

その他のリソース

消費者向け

研究結果

関連するファクトシート

ストレスと健康
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2018年5月5日

ストレスとは、感情的または肉体的な緊張感のことです。苛立ちや怒り、ひやひやさせる出来事や考えから起こります。

ストレスは、挑戦や要求に対する身体の反応です。短期間であればストレスは有益となる場合があり、危険を回避する、あるいは締め切りに間に合うように行動するのに役立ちます。しかし、ストレスが長期間続くと、健康にとって有害となるかもしれません。

考察

ストレスは正常な感情です。主に2種類のストレスがあります。

  • 急性ストレス。これは短期間のストレスで、すぐになくなります。ブレーキを思い切り踏んだり、パートナーと喧嘩をしたり、急斜面をスキーで降りたりする際などに急性ストレスを感じます。危険な状況を乗り切るのに役立ちます。また、ストレスは、新しいことや興奮することを行うときにも起きます。すべての人が1度や2度は急性ストレスを感じたことがあるはずです。
  • 慢性ストレス。これは長期間続くストレスです。金銭トラブル、不幸せな結婚、仕事上のトラブルなどを抱えていると、慢性ストレスを感じているかもしれません。数週間から数か月続くストレスは全て慢性ストレスです。慢性ストレスに慣れてしまい、それを問題として認識しなくなることもあります。ストレスを乗り切る手段を見出だせないと、健康問題につながる可能性があります。

ストレスと身体

ホルモンを放出することによって、身体はストレスに反応します。これらのホルモンは、脳を警戒させ、筋肉を緊張させ、心拍数を増加させます。短期間であれば、これらの反応は、ストレスの原因となる状況に対応する上で役立つため、有益となります。これは、身体が自分自身を保護しようとする手段です。

慢性ストレスの場合、危険がなくても、身体が緊張し続けます。時間とともに、このことが以下のような健康問題のリスクを引き起こします。

何らかの疾患がある場合、慢性ストレスによって悪化する可能性があります。

過剰ストレスの徴候

ストレスはさまざまな身体的および感情的な症状を引き起こします。これらの症状がストレスによって引き起こされるとは気がつかないかもしれません。ストレスが影響を与えているいくつかの徴候を以下に示します。

  • 下痢や便秘
  • 物忘れ
  • 頻繁な疼痛
  • 頭痛
  • 気力や集中力の欠如
  • 性機能障害
  • 顎や首のこわばり
  • 疲労感
  • 睡眠障害や過剰睡眠
  • 胃のむかつき
  • リラックスのための飲酒や薬物摂取
  • 体重減少または体重増加

原因

ストレスの原因は人それぞれです。ストレスは良い挑戦からも悪い挑戦からも受けることがあります。ストレスの一般的な原因には次のようなものがあります。

  • 結婚、離婚
  • 新しい仕事を始める
  • 配偶者、近親者の死
  • 解雇
  • 引退
  • 出産
  • お金の問題
  • 引越
  • 深刻な病気
  • 仕事での問題
  • 家庭での問題

医療専門家に連絡すべきとき

自殺について考えることがあれば、自殺ホットラインに電話しましょう。

ストレスに圧倒されている場合や健康に影響を与えている場合は、かかりつけの医療スタッフに相談しましょう。新しい症状やいつもと違う症状に気づいたときも、医療スタッフに相談しましょう。

次のような場合に助けを求めてください。

  • 浮動性めまい、速い呼吸、動悸など、パニック状態がある。
  • 自宅や職場で仕事や機能することができない。
  • 自分でコントロールできないのではないかという心配がある。
  • トラウマとなった出来事の記憶がある。

かかりつけの医療スタッフが心のケアを専門とする医療スタッフを紹介してくれる場合もあります。あなたの気持ち、ストレスを感じたり、感じなくなったりする出来事、そしてあなたがその問題を抱えていると思う理由について、その医療スタッフに相談しましょう。人生のストレスを減らす新しい方法に取り組むことも大切です。

参考文献

  • Ahmed SM, Hershberger PJ, Lemkau JP.Psychosocial influences on health.In:Rakel RE, Rakel DP, eds.Textbook of Family Medicine.9th ed. Philadelphia, PA:Elsevier; 2016:chap 3.
  • National Institute of Mental Health website.5 things you should know about stress.www.nimh.nih.gov/health/publications/stress/index.shtml[英語サイト].Accessed June 25, 2020.
  • Vaccarino V, Bremner JD.Psychiatric and behavioral aspects of cardiovascular disease.In:Zipes DP, Libby P, Bonow RO, Mann DL, Tomaselli GF, Braunwald E, eds.Braunwald's Heart Disease:A Textbook of Cardiovascular Medicine.11th ed. Philadelphia, PA:Elsevier; 2019:chap 96.
エナジードリンク
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2018年7月

エナジードリンクは活力を増進し、脳の覚醒状態および身体能力を高める商品として広く宣伝されています。エナジードリンクはマルチビタミンの次にアメリカの十代や青年が利用する最も人気がある栄養補助食品です。最もエナジードリンクを利用するのは、18歳~34歳の男性であり、 12歳~17歳の十代の若者のほぼ3分の1がエナジードリンクを定期的に飲用しています。

エナジードリンクの商品には2種類あります。1つは16 オンス(1オンス=28.35g).ボトルなど通常のソフトドリンクに似たサイズで販売されています。もう1つはいわゆる「エナジーショット」と呼ばれる種類で、2~2½ オンスの濃縮液を入れた小さい容器で販売されています。いずれのエナジードリンク商品でも主な成分は、カフェインで、16 オンス ボトルに70~240 mg、エナジーショットに113~200 mg程度含まれています。(比較として、コーラの12 オンス缶には約35 mgのカフェイン、コーヒーの8 オンスカップには約100 mg。)エナジードリンクはカフェイン以外に、ガラナ(ブラジルのココアと呼ばれる別のカフェインのもと)、砂糖、タウリン、朝鮮人参ビタミンB群、グルクロノラクトン 、ヨヒンベカルニチン 、そしてダイダイなどの他の成分を含む場合があります。

エナジードリンクの利用は、重要な安全上の懸念があります。

  • 2007~2011年の間、エナジードリンクに関連した救急外来受診数は倍増しました。2011年では、このような受診の10件中1件は入院となりました。
  • 約25%の大学生がアルコールをエナジードリンクと一緒に消費しており、混ぜていない学生と比べ、かなり多くの頻度で一気飲みをしています。
  • 米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)[英語サイト]は、アルコールをエナジードリンクと混ぜた15~23歳の飲用者は、混ぜてない飲用者と比べ、かなり激しい一気飲み(一回の一気飲みにつき6杯以上飲むなど)をする可能性が4倍多いと報告しています。
  • アルコールをエナジードリンクと混ぜた飲用者は、混ぜていない飲用者よりも、意図しないまたは無防備なセックス、飲酒運転、酔った運転手とのドライブ、もしくはアルコール関連の怪我をより多く報告する傾向にあります。
  • 2011年、エナジードリンクに関連した救急外来全受診の内、42%はアルコールか薬物(マリファナ、市販薬、処方薬など)を飲み物に混ぜたことに関係した受診でした。

要点は?

  • 増えつつある一連のエビデンスが示すように、エナジードリンクは重大な健康への影響があり、特に子供、10代、青年で深刻です。
  • 一部の研究では、エナジードリンクが身体持久力を向上させることが判明していますが、筋肉の強度、筋力における影響についてはそれほどエビデンスがありません。エナジードリンクは注意力を高め、反応時間を改善しますが、手の動作の安定性を低下させる可能性があります。
  • エナジードリンクのカフェイン含有量はかなりばらつきがあり、実際のカフェインの成分はわかりにくいことがあります。飲料として販売されているエナジードリンクもあれば、サプリメントとして販売されているものもあります。いずれの商品のタイプにも、ラベルにカフェイン含有量を表示する義務はありません。

安全性

  • 多量のカフェインは、心拍の乱れ、脈拍や血圧の上昇などの重度の心臓・血管障害を引き起こす場合があります。また、カフェインは子供の発達中の心血管系および神経系に有害な場合があります。
  • カフェインの使用はまた、不安、睡眠障害、消化不良、脱水などと関連している場合もあります。
  • エナジードリンクによく含まれているガラナは、カフェインを含んでいます。そのため、ガラナの追加によりそのドリンクの総カフェイン含有量が増加します。カフェイン入りの飲料をアルコールと一緒に混ぜ飲んだ場合は、どの程度自分が酔っているのかわからないかもしれません。
  • カフェインを一緒に摂取していない場合よりも酔っぱらっていないと感じると同時に、運動神経や反応時間が低下している可能性があります。
  • 多量にエナジードリンクを飲用することは、10代の睡眠パターンを乱し、リスク(危険)な行為に繋がる可能性があります。
  • 容量16オンスのエナジードリンク1本には、54~62 gの砂糖が加えられている場合がありますが、これは1日分に推奨される添加砂糖の最大摂取量を上回ります。

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
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更新日:2025年3月10日

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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