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うつ
Depression

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

うつの詳細
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英語版改訂年月(翻訳時):2020年2月

うつはアメリカでは成人の約10人に1人がかかる病気です。また、専門家は、アメリカの10代の若者の約5%が中等度から重度の大うつ病に罹患していると推定しています。気分、思考、身体の健康、行動のすべてに影響を及ぼすことがあります。その症状やうつ病の重症度は人によって異なります。症状には以下のようなものがあります:

  • しばしばあるいはいつも悲しい気持ちになる、不安を感じる。
  • 以前は楽しかった活動をしたいと思わない。
  • イライラする、イライラしやすい、落ち着かない (思春期によく見られる症状です)
  • 睡眠障害や疲労感がある。
  • いつもよりよく食べる、またはあまり食べない、あるいはまったく食欲がない。
  • 治療では改善しない痛みがある。
  • 集中力、記憶力、決定力の低下を感じる。
  • 罪悪感がある、自分には価値がないと思う、無力だ。
  • 自殺を考える、あるいは自傷行為を行う。

うつ病は抗うつ薬やある種の心理療法などの通常医療で治療が可能です。

一部の人は、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)やS-アデノシル-L-メチオニン(S-Adenosyl-L-methionine、SAMe)のような、うつ病のための補完療法を検討するかもしれません。しかし、セントジョーンズワートは、うつ病に対して一貫した有効性を示しているわけではありません。また、セントジョーンズワートは、多くの処方薬の有効性を制限します。SAMeの場合、SAMeのサプリメントがうつ病に役立つかもしれないという科学的根拠(エビデンス)は決定的なものではなく、長期的な安全性に関する情報は限られています。うつ病に関しては、補完療法の利用を通常医療の代わりにしたり、医療機関の受診を後回しにしたりする理由として用いてはいけません。うつ病の詳細については、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health :NIMH)[英語サイト]のウェブサイトをご覧ください。

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

医療者向け情報

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うつ病の基礎
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英語版最終アクセス確認日:2024年12月

うつ病とは何か?

誰もが時に悲しみや落ち込みを感じますが、通常これらの感情は一時的なものです。うつ病(大うつ病、大うつ病性障害、臨床うつ病とも呼ばれる)はそれとは違います。うつ病は、睡眠、食事、仕事など日常活動における人の感じ方、考え方、対処の仕方に影響を与える深刻な症状を引き起こす可能性があります。

うつ病は、年齢、性別、人種や民族、収入、文化、教育に関係なく、誰にでも発症する可能性があります。研究によると、遺伝的、生物学的、環境的、心理的要因が、この症状に関与していることが示唆されています。

うつ病と診断されるのは女性の方が多いですが、男性もうつ病になる可能性があります。男性は、自分の否定的な感情を認識したり、話したり、助けを求めたりすることが少ないため、うつ病の症状が診断されなかったり、治療が不十分であったりするリスク(危険)が高いようです。また、LGBTQI+コミュニティの人のうつ病罹患率が高く、うつ病による障害のリスク(危険)が高いという研究結果もあります。

さらに、うつ病は他の精神疾患や糖尿病がん、心疾患、慢性疼痛などの慢性疾患と併発する可能性があります。うつ病はこれらの症状・疾患を悪化させ、逆にこれらの症状・疾患もうつ病を悪化させる可能性があります。時には病気のために服用した医薬品が副作用を引き起こし、うつ病の症状に関与することもあります。

うつ病にはどのような種類がありますか?

一般的なうつ病には二つの種類があります。

  • 大うつ病は、少なくとも2週間ほとんどの時間、抑うつ気分や興味の喪失などの症状が現れ、日常活動に支障をきたす状態です。
  • 持続性抑うつ障害[気分変調症(ディスチミア)または気分変調性障害(ディスチミック症状)とも呼ばれる]は、より軽度のうつ症状が長期間、通常少なくとも2年間続く状態です。

その他のうつ病には以下のようなものがあります。

  • 季節性情動障害は季節とともに移り変わるもので、典型的には晩秋から初冬にかけて症状が現れ、春から夏にかけて症状が治まります。
  • サイコーシス(精神病症状)を伴ったうつ病は、妄想や幻覚などの精神病症状を経験する重度のうつ病の一形態です。
  • 双極性障害には、うつ病エピソードだけでなく、気分が異常な高揚、過度な苛立ち、活動レベルが増加する躁病エピソード(または軽度の軽躁病エピソード)を伴います。

さらに、うつ病には、女性の人生において特定の時期に発生するタイプのものがあります。妊娠、産褥期、月経周期、更年期は、人によっては抑うつエピソードをもたらす可能性のある身体的・ホルモン的変化を伴います。

  • 月経前不快気分障害は、月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)の重症型で、月経前の数週間に起こります。
  • 周産期うつ病は妊娠中または出産後に発症します。それは、多くの新米ママが出産後に経験する「ベビーブルー」以上のものです。
  • 更年期うつ病は、閉経への移行期に一部の女性に影響を及ぼします。女性は強い苛立ち、不安、悲しみ、楽しみの喪失などの感情を経験することがあります。

うつ病の徴候や症状は?

うつ病の一般的な徴候や症状には次のようなものがあります:

  • 悲しい気分、不安な気分、「空虚」な気分が続く
  • 絶望や悲観の感情
  • 苛立ち、欲求不満(あるいは「フラストレーション」とカタカナでも良いかも?)、落ち着きのなさ
  • 罪悪感、無価値感、無力感
  • 趣味や活動に対する興味や喜びの喪失
  • 倦怠感、エネルギー不足、気分の落ち込み
  • 集中力、記憶力、決断力の低下
  • 睡眠障害、朝早く目が覚める(早朝覚醒)、過眠
  • 食欲の変化や予期せぬ体重変化
  • 明確な身体的原因がなく、治療しても改善しない身体的な痛み、頭痛、けいれん、または消化器系の問題
  • 死や自殺を考える、または自殺企図

また、うつ病は他の気分や行動の変化を伴うこともあります:

  • 怒りや苛立ちの増加
  • 落ち着きがない、または緊張感がある
  • 引きこもり、否定的、無関心になる
  • リスクの高い活動への関与の増加
  • 衝動性の増加
  • アルコールや薬物の使用の増加
  • 家族や友人からの孤立
  • 責任を果たせない、あるいは他の重要な役割を無視する
  • 性欲や性的パフォーマンスの問題

すべてのうつ病患者がこれらの症状を示すわけではありません。症状が少ない人もいれば、多くの症状を経験する人もいます。うつ病の症状は日常生活に支障をきたし、それを経験した人に大きな苦痛をもたらします。

うつ病の徴候や症状が現れ、それが長引いたり治まらなかったりする場合は、医療提供者に相談しましょう。知人にうつ病の徴候が見られたら、精神衛生の専門家に助けを求めるよう勧めてください。

もし、あなたやあなたの知り合いが悩んでいたり、自殺を考えていたりする場合は、「988 Suicide and Crisis Lifeline(自殺・クライシス・ライフライン)」(米国)[英語サイト]である988に電話またはメールをする、あるいは「988lifeline.org」(米国)[英語サイト]にチャットしてください。命にかかわるような状況では、911(米国)に電話してください。

うつ病はどのように診断されるのですか?

うつ病と診断されるには、少なくとも2週間にわたって、ほぼ毎日、一日の大半に症状がなければなりません。症状のひとつは、抑うつ気分、またはほとんどの活動に対する興味や喜びの喪失でなければなりません。小児や青年は、悲しみよりもむしろイライラすることがあるかもしれません。

うつ病と診断されるには、気分の低下に加え、いくつかの症状が持続していることが必要ですが、症状が少ない人でも治療が有用な場合があります。症状の重症度や頻度、続く期間は人によって異なります。

うつ病かもしれないと思ったら、プライマリ・ケア医、心理士、精神科医などの医療提供者に相談してください。診察の際、医療提供者は、症状がいつ始まったか、どのくらい続いているか、どのくらいの頻度で起こるか、外出や普段の活動に支障があるかなどを尋ねることがあります。診察の前に症状をメモしておくと役立つかもしれません。

特定の薬や、ウイルスや甲状腺障害などの医学的状態が、うつ病と同じような症状を引き起こす可能性があります。医療提供者は、身体診察、問診、臨床検査を行うことで、これらの可能性を除外することができます。

うつ病は誰でも同じような症状ですか?

うつ病は、年齢によって人々に異なる影響を与える可能性があります。

  • 小児は不安になったり不機嫌になったり、病気のふりをしたり、学校に行くのを嫌がったり、親にしがみついたり、親が死ぬのではないかと心配したりするかもしれません。
  • もう少し年齢が上の小児や10代の若者は、学校で問題を起こしたり、ふさぎ込んだり、すぐにイライラしたり、落ち着きがなかったり、自尊心が低くなったりするかもしれません。不安症、摂食障害、注意欠如多動性障害、物質使用障害など、他の障害を抱えている場合もあります。また、年齢の高い小児や10代の若者は、過度の眠気(過眠症と呼ばれる)や食欲亢進(過食症と呼ばれる)を経験する可能性が高くなります。
  • 青年期の人は、イライラしやすく、体重増加や過眠症を訴え、人生や将来に対して否定的な見方をする傾向があります。全般性不安症、社交恐怖症、パニック症(パニック障害)、物質使用障害など、他の障害を抱えていることも多いと考えられます。
  • 中年成人は、抑うつエピソードの増加、性欲の減退、真夜中の不眠、または早朝覚醒を経験することがあります。しばしば、下痢や便秘などの胃の不調を訴えることもあります。
  • 高齢者は、悲しみ、悲嘆、あるいは他のあまり明白でない症状を感じることが多いようです。高齢者は、憂抑うつ気分よりも感情の欠如を報告することがあります。また、高齢者は、うつ病を原因となったり、うつ病の影響するような他の医学的状態や疼痛を抱えている可能性も高いです。重度の例では、記憶障害や思考障害(仮性認知症と呼ばれる)が目立つことがあります。

うつ病はまた、男性と女性では、現れる症状やそれに対処するための行動も異なってきます。例えば、(女性だけでなく)男性は悲しみ以外の症状を示すことがあり、その代わりに怒りっぽかったり、イライラしたりすることがあります。

人によっては、症状が身体的な問題(例えば、心拍数の上昇、胸の締めつけ、慢性的な頭痛、消化器系の問題)として現れます。多くの男性は、感情的な症状よりも、こうした身体的な症状について医療機関を受診する傾向があります。アルコールや薬物の使用が増えることは、どんな人でもうつ病の徴候である可能性がありますが、男性は対処戦略としてこれらの物質を使用する可能性がより高くなります。

うつ病の治療法は?

うつ病の治療には通常、心理療法(対面またはオンライン)、薬物療法、またはその両方が行われます。これらの治療で症状が十分に軽減されない場合は、脳刺激療法も選択肢のひとつとなるかもしれません。

適切な治療計画の選択は、その人のニーズ、嗜好、医療状況に基づいて、精神保健の専門家や医療提供者と相談しながら行います。最良の治療法を見つけるには、試行錯誤が必要かもしれません。

軽度のうつ病の場合、まず心理療法が試みられますが、心理療法のみでは十分な効果が得られない場合には、薬物療法が追加されることが一般的です。中程度または重度のうつ病患者は、通常、初期治療計画の一環として薬物療法が処方されます。

心理療法

心理療法(トークセラピーやカウンセリングとも呼ばれる)は、うつ病の人に新しい考え方や行動の仕方を教え、うつ病の原因となる習慣を変える手助けをすることで、うつ病の人を助けることができます。心理療法は、免許を持ち、訓練を受けたメンタルヘルスの専門家のもとで、1対1のセッション、またはグループセッションで行われます。

心理療法は、対面でも、遠隔医療によるオンラインでも効果的に実施することが可能です。医療提供者は、アプリやその他のツールのようなデジタル技術やモバイル技術を使って、治療をサポートしたり補足したりすることがあるかもしれません。

うつ病を治療するための科学的根拠(エビデンス)に基づく療法には、認知行動療法や対人関係療法があります。精神力動的療法→力動的精神療法のような他の形態の心理療法を期間限定で用いることも、うつ病の人の一部に役立つ場合があります。

  • 認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)
    CBTでは、抑うつ感や不安感を改善するために、役に立たない思考や行動に挑戦し、変えていくことを学びます。最近のCBTの進歩には、マインドフルネスの原則を加えたり、不眠症のような特定の症状に特化したセラピーが含まれます。
  • 対人関係療法(Interpersonal therapy:IPT)
    IPTでは、気分に影響を与える対人関係や生活上の出来事、またその逆の出来事に焦点を当てます。IPTは、人間関係におけるコミュニケーション能力を向上させ、社会的支援ネットワークを形成し、うつ症状を助長したり悪化させたりしている可能性のある危機やその他の問題にうまく対処できるよう、現実的な期待を抱けるようにすることを目的としています。

心理療法のさらなる情報はこちら[英語サイト]

薬物療法

抗うつ薬は、うつ病の治療によく使われる医薬品です。抗うつ薬は、気分やストレスに関係する特定の化学物質を脳が生成したり使用したりする方法を変えることによって作用します。

抗うつ薬が効くまでには時間がかかり(通常4~8週間)、睡眠、食欲、集中力などの問題は、気分が改善する前に改善することがよくあります。その薬が自分に合うかどうかを判断する前に、抗うつ薬が効果を発揮する機会を与えることが重要です。

治療抵抗性うつ病は、少なくとも2種類の抗うつ薬を試してもよくならない場合に起こります。エスケタミンは、治療抵抗性うつ病の治療薬として米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)に承認されています。医師の診察室、診療所、病院で点鼻薬として投与されるこの薬は、通常2、3時間以内に速やかに作用し、うつ病の症状を緩和します。通常、症状の改善を維持するために抗うつ薬を継続して服用します。

治療抵抗性うつ病に対するもう1つの選択肢は、抗うつ薬と、抗精神病薬や抗けいれん薬など、より効果を高める可能性のある別の種類の薬を併用することです。

すべての医薬品には副作用が生じる可能性があります。どのような医薬品でも、開始または中止する前に医療提供者に相談してください。

抗うつ薬に関するさらなる情報はこちら[英語サイト]

注意:場合によっては、25歳未満の小児、10代の若者、若年成人は、抗うつ薬を服用する際、特に服用開始後数週間、または服用量を変更した際に、自殺念慮または自殺行動が増加する可能性があります。(文脈的に修正)FDAは、年齢を問わず抗うつ薬を服用している患者に対し、特に治療開始後の最初の数週間は注意深く観察するよう勧告しています。

医薬品に関する情報は頻繁に更新されます。エスケタミンのような特定の薬について、最新の承認情報、副作用、警告、患者情報などの詳細については、FDAのウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。

脳刺激療法

脳刺激療法は、他のうつ病治療がうまくいかなかった場合の選択肢です。この療法では、電気や磁気を用いて脳を活性化または抑制します。

脳刺激療法は、心理療法や薬物療法に比べると使用頻度は低いですが、他の治療法に反応しなかった人のうつ病治療に重要な役割を果たす可能性があります。この療法は通常、心理療法や薬物療法を試した後にのみ使用され、それらの療法は通常継続(併用)されます。脳刺激療法は、重度のうつ病が生命を脅かすようになった場合、たとえば飲食を止めてしまった場合や自殺の危険性が高い場合などに、より早期の治療選択肢として用いられることがあります。

FDAは数種類の脳刺激療法を承認しています。最もよく使われるのは、電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)と反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)です。その他の脳刺激療法は新しいもので、場合によってはまだ実験的と考えられています。

脳刺激療法に関するさらなる情報はこちら[英語サイト]

天然物

FDAは、うつ病を治療するために、いかなる天然製品も承認していません。研究は現在も進行中であり、検証結果には一貫性はありませんが、ビタミンD(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)やハーブ系ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)であるセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含む天然物が、うつ病の症状を改善したという報告もあります。しかし、これらの製品にはリスク(危険)があり、場合によっては処方薬との相互作用もあります。

ビタミンD、セントジョーンズワート、その他のダイエタリーサプリメント(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)や天然物を、医療提供者に相談せずに使用しないでください。これらやその他の天然製品が安全で有用性があるかどうかは、厳密な研究によって検証される必要があります。

どうすれば自分を大切にできますか?

うつ病のほとんどの人は、メンタルヘルス治療が有用です。治療を始めると、徐々に気分が良くなってくるはずです。この時期は自分に優しくしてください。以前楽しんでいたことをしてみてください。たとえやる気がなくても、それらは気分を良くする可能性があります。

その他にも役に立つかもしれないこと:

  • 身体活動を心がけてください。1日30分の散歩でも気分を向上させることができます。
  • 規則正しい就寝時間と起床時間を維持するよう努めてください。
  • 規則的で健康的な食事をとってください。
  • できることを、できる範囲でしてください。何をすべきか、何を後回しにできるかを決めてください。
  • 人々とつながりを持ってください。信頼できる人に自分の気持ちを話してください。
  • 気分が良くなるまで、重要な人生の決断を遅らせてください。決断について、あなたをよく知っている人々と話し合ってください。
  • アルコール、ニコチン、薬物(処方されていない薬を含む)の使用を避けてください。

うつ病の治療はどうすればいいのですか?

NIMHのウェブサイトでは、助けを求める方法[英語サイト]医療提供者に相談する際のヒント[英語サイト]を見つけることができます。

米国の物質乱用および精神衛生サービス局(Substance Abuse and Mental Health Services Administration:SAMHSA)には、あなたの地域のメンタルヘルス・サービスを探す[英語サイト]のに役立つオンラインツールもあります。

大切な人がうつ病の場合、どのように助けることができますか?

知人がうつ病になった場合は、医療提供者やメンタルヘルスの専門家に相談するよう勧めてください。また、以下のようなことができます:

  • サポート、理解、忍耐、励ましを提供する。
  • 散歩、外出、その他の活動に誘う。
  • 処方された医薬品を飲むようにリマインダーを設定するなど、治療計画を守るよう手助けする。
  • 治療予約のための交通手段やアクセス手段を確保する。
  • 時間をかけ、治療を受ければ、うつ病は回復することを思い出させる。

臨床試験とは何か、なぜ重要なのか?

臨床試験は、病気や状態を予防、診断、治療する方法を検証する研究です。これらの研究は、その治療法が人々にとって安全で効果的かどうかを示すのに役立ちます。臨床試験に参加する人の中には、医師や研究者が疾患について詳しく知り、医療を改善するのを助けるために参加する人もいます。また、健康状態に問題がある人など、広く普及していない治療法を試すために参加する人もいます。

NIMHは全米で臨床試験を支援しています。臨床試験について、また臨床試験があなたに適しているかどうかについては、医療従事に相談してください。

臨床試験の参加に関するさらなる情報はこちら[英語サイト]

詳細はこちら

メンタルヘルスの症状やトピックに関するさらなる情報:さまざまな健康に関する情報については、米国国立医学図書館(National Library of Medicine:NLM)[英語サイト]をご覧ください。

再版

本書に掲載されている情報はパブリックドメインであり、許可なく再利用または複製することが可能です。ただし、画像の再利用やコピーはできません。利用する場合は、NIMHを出典元として記載してください。NIMHのコンテンツを再利用するためのガイドラインについては、著作権ポリシー[英語サイト]をお読みください。

U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES(米国保健社会福祉省)
National Institutes of Health(国立衛生研究所)
NIH発行第24-MH-8079号
2024年改訂

うつ病に対する補完療法:概要
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2021年12月

うつ病患者は、従来の治療の補助として、あるいは治療の代わりに、補完療法を利用します。これらの療法は、一般的に使用されており、市場でも容易に入手できますが、その多くはうつ病の治療法として厳密な研究が行われていません。一部の療法については、その有効性に関して不確かである一方、他の療法については、うつ病の症状をわずかに軽減させることを示唆するエビデンス(科学的根拠)があります。この点で使用される一部の天然物(例えば、セントジョーンズワート[セイヨウオトギリソウ])には、ハーブと薬の相互作用に関する有意な懸念があります。医療従事者は、患者がどのような補完療法を単独で、あるいは従来の治療と併用しているかを把握しておく必要があります。このため、これらの補完療法のベネフィット(有益性)とリスク(危険)を理解し、患者にアドバイスすることが重要です。

この概要では、いくつかの補完療法について、科学の現状を紹介しています。

科学的観点:
うつ病に対する補完療法:科学的根拠

各種補完療法と現時点でのエビデンスの要約

オメガ3脂肪酸(魚油)

現時点において、うつ病に対するオメガ3脂肪酸の補充が有用であるかどうかは明らかにされていません。一部の研究において、大うつ病性障害(major depressive disorder:MDD)と診断された患者およびMDDと診断されていないうつ病患者に対する補助療法でわずかな有効性を示しましたが、ほとんどの試験は補助的研究でした。オメガ3脂肪酸の単剤療法に関する対照試験は、標準的な抗うつ剤と比較して結論が出ておらず、薬理学的または生物学的な抗うつ効果の存在を示唆する機序が存在するかどうかは依然として明らかにされていません。

さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「オメガ3脂肪酸のサプリメントをご覧ください。

セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、St. John’s Wort)

一部の結果から、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)は、軽度から中等度の大うつ病性障害(MDD)の限られた患者に対して、標準的な抗うつ剤と同様に有用であるかもしれないことが示唆されていますが、決定的なエビデンスとは言えません。一部の研究では、プラセボに対して若干の有効性があることが示されていますが、これらの知見と矛盾する研究もあります。

セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)による重大なハーブと薬の相互作用は、安全性を考慮するうえで重要です。

さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「セントジョーンズワート」の研究をご覧ください。

S-アデノシル-L-メチオニン(S-Adenosyl-L-Methionine:SAMe)

現時点の科学研究では、S-アデノシルメチオニン(S‐adenosylmethionine、SAM-e)のうつ病治療への使用は支持されていません。

さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「SAMe」をご覧ください。

イノシトール

現時点の科学的研究のデータでは、イノシトールのうつ病治療への使用は支持されていません。

さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「イノシトール」の研究をご覧ください。

鍼治療

鍼治療は、特に無治療群またはコントロール群と比較した場合、うつ病の症状をわずかに軽減させるかもしれないことを示唆するいくつかのエビデンスがあります。

さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「鍼治療」をご覧ください。

音楽療法

音楽療法が、うつ病患者に短期的なベネフィット(有益性)があるかもしれないことを示すいくつかのエビデンスがあります。

さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「音楽療法」をご覧ください。

ヨガ

ヨガが抑うつ症状の軽減に役立つかもしれないというエビデンスがいくつかあります。

さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「ヨガ」をご覧ください。

科学文献

患者のための情報

うつ病に対する補完療法:科学的根拠
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英語版改訂年月(翻訳時):2021年12月

診療ガイドライン、科学文献、患者のための情報
うつ病に対する補完療法:概要

オメガ3脂肪酸の補充

現時点において、オメガ3脂肪酸の補充がうつ病に有用となりうるかは明らかにされていません。いくつかの研究において、大うつ病性障害(major depressive disorder:MDD)と診断された患者およびMDDと診断されていないうつ病患者に対する補助療法でわずかな有用性を示しましたが、ほとんどの試験は補助的研究でした。オメガ3脂肪酸の単剤療法に関する対照試験は、標準的な抗うつ剤と比較して結論は出ておらず、薬理学的または生物学的な抗うつ作用の存在を示唆する機序が存在するかどうかは依然として明らかにされていません。

研究でわかったことは?

  • 2021年に報告された、35件のランダム化比較試験のコクランレビュー[英語サイト]では、MDDに対するオメガ3多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)の有用性を評価しました。(参加者総数1,924例を含む34件は、オメガ3 PUFAの補充の影響とプラセボを比較検証し、参加者40例を含む1件の研究は、オメガ3 PUFAの補充の影響と抗うつ剤治療を比較検証。)プラセボとの比較では、オメガ3 PUFAの補充は、プラセボと比較して、抑うつ症状に対して軽度から中等度のベネフィット(有益性)が得られました。レビューアらは、この有用性は臨床的に意味があるとは考えにくいと指摘しました。レビューアらは、現時点において、MDDの治療法としてのオメガ3 PUFAの有用性を判断するための確実性の高いエビデンス(科学的根拠)は十分ではないと結論づけました。
  • 2021年に報告された、参加者41,470例を含む31件の試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシス[英語サイト]では、長鎖オメガ3の有用性が評価され、長鎖オメガ3の増加は、おそらく抑うつの症状(中央値0.95g/d、期間12カ月)または不安症状(中央値1.1g/d、期間6カ月)のリスク(危険)にはほとんど有用性がないことが明らかになりました。
  • 2020年に報告された、3つの補助療法戦略(高用量オメガ3 PUFA、低用量オメガ3 PUFA、プラセボ)を用いた10件の試験におけるMDD患者910例を含むネットワークメタアナリシス[英語サイト]では、MDDの早期治療期には高用量オメガ3 PUFA補充が低用量より優れているかもしれないと結論付けました。しかし、レビューアらは、より直接的な比較を行い、この症状に対するオメガ3 PUFAの有用性のエビデンスを強化するために、より多くの直接比較臨床試験を実施する必要があると指摘しました。
  • 2020年に報告された、妊娠中または産後女性総数4,052例を含む18件のランダム化比較試験のメタアナリシス[英語サイト]では、オメガ3 PUFAは周産期うつ病に対して全体的に有意だが有益な効果は小さいと結論づけました。レビューアらは、異質性が低く、有用性がないことから、妊娠中の抑うつ症状の治療または予防のためにオメガ3PUFAを処方することは控えるように助言しました。一方、レビューアらは、オメガ3PUFAの補充は産後うつ病の有望な補助治療法となるかもしれないと指摘しました。

安全性

  • オメガ3脂肪酸のサプリメントは一般的に安全で忍容性が高いものです。副作用が生じた場合、一般的には軽度の消化器症状や魚臭い後味があります。
  • オメガ3のサプリメントが出血時間を長引かせるかもしれないという一部の懸念があります。リスク(危険)はわずかであると考えられますが、血小板機能に影響を及ぼす医薬品を服用している患者には決して使用しないでください。オメガ3脂肪酸の使用を検討している場合は、ハーブと薬の相互作用の可能性について患者と話し合うことが重要です。
  • 魚や甲殻類のアレルギーを持つ人が魚油のサプリメントを安全に使用できるかどうかは明らかにされていないため、そのような患者には使用しないでください。

セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)

いくつかの研究の結果から、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)は、限られた患者の軽度から中等度の大うつ病性障害(MDD)に対して、標準的な抗うつ剤と同様の有用性があるかもしれないと示唆されていますが、決定的なエビデンスとは言えません。プラセボよりもわずかに有用性が認められた研究もありますが、その他の研究では、これらの知見と矛盾する研究もあります。

セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)による重大なハーブと薬の相互作用は、安全性を考慮するうえで重要です。

研究でわかったことは?

  • 2016年に報告された、参加者6,993例を含む35件のシステマティックレビュー[英語サイト]では、軽度および中等度のうつ病に対するセントジョーンズワートの単剤療法は、うつ症状の改善においてプラセボより優れており、抗うつ薬と有意差はないことが明らかにされました。しかし、異質性のエビデンスと重度うつ病に関する研究の欠如が、エビデンスの質を低くしています。
  • 2015年に報告された、患者15,161例を含む66件の研究のシステマティックレビューおよびネットワークメメタアナリシス[英語サイト]では、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)を含む抗うつ剤およびその他の薬剤が、プライマリケア環境においてプラセボより有用となりえるかを検証しました。その結果、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)とその他の薬剤は、いくつかの肯定的な結果を示しましたが、現在のエビデンスは限定的であるため、臨床での位置づけに関する結論は出すことができません。
  • 2010年のAmerican Psychiatric Association Task Force on Complementary and Alternative Medicine(補完代替医療に対する米国精神医学会タスクフォース)の報告[英語サイト]では、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)は、ゆくゆくは限られた個人にとって軽度から中等度のMDDに対する妥当な治療法となるかもしれないが、MDDの治療に関する最近の研究すべてがプラセボに対する有用性を実証したわけではないと述べています。また、潜在的な有用性があるとしても、軽度から中等度のMDDにおける研究からのコンセンサスとサポートが得られているに過ぎないことを指摘しています。
  • 2011年に報告された、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)とシタロプラム(citalopram)による12週間の軽度うつ病の治療に関するランダム比較試験[英語サイト]では、セントジョーンズワートもシタロプラムもプラセボに対するベネフィット(有益性)は認められませんでした。
  • 2012年に報告された研究[英語サイト]では、MDD患者を対象に、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)とサートラリン(sertraline )およびプラセボの長期的な有用性を検証、26週間にわたりセントジョーンズワート、サートラリン、プラセボが同様の治療効果を示すことが明らかにされています。

安全性

  • セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)との薬の相互作用は、使用を制限し、安全性を考慮する上で重要です。
  • セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)と特定の抗うつ剤を併用すると、危険な養生を伴うセロトニン症候群を引き起こす可能性があります。危険な症状としては、震えや下痢から非常に危険な混乱、筋肉の硬直、体温の低下、さらには死に至るまで、多岐にわたる可能性があります。
  • セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)のその他の副作用は、通常軽微であまり見られませんが、胃のむかつきや日光過敏症などがあります。また、セントジョーンズワートは、人によっては不安感を悪化させるかもしれません。
  • 稀ですが、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)の使用により起こり得る副作用はサイコーシス(psychosis)です。双極性障害などの特定の精神疾患を持つ人は、このまれな副作用を経験するリスク(危険)があります。したがって、セントジョーンズワートの使用を検討している患者には、この潜在的な副作用について説明し、症状の悪化が見られた場合にはハーブの使用を中止するように勧めることが重要です。
  • セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)の使用は、チトクロームP450 3A4(CYP3A4)酵素の活性を高め、血漿中の濃度を下げ、次のような多くの処方薬を弱める可能性があります。
    • 抗うつ剤
    • 経口避妊薬
    • シクロスポリン
    • ジゴキシン
    • インジナビルを含む一部のHIV感染症治療薬
    • イリノテカンなどの一部の化学療法剤
    • ワルファリンおよびその他の抗凝固剤

S-アデノシル-L-メチオニン(S-Adenosyl-L-Methionine:SAMe)

現時点の科学研究では、S-アデノシルメチオニン(S‐adenosylmethionine、SAM-e)のうつ病治療への使用は支持されていません。

研究でわかったことは?

  • 2016年に報告されたコクランレビュー[英語サイト]では、成人934例を含む8件のランダム化比較試験を対象に、うつ病の治療に対するSAMeの有用性について、十分な質の高いエビデンスがなく、そのエビデンスに基づく確固たる結論を導き出すこともできないと結論付けています。
  • 2020年に報告された、参加者90例のランダム化二重盲検プラセボ対照試験[英語サイト]では、6週間にわたり、軽度から中等度のうつ病の症状全般に対するSAMe 200mgとラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)HEAL9の組み合わせの有用性が評価されました。SAMeとラクトバチルス・プランタラムの組み合わせでは、プラセボと比較して、治療6週目でより大きな抑うつ症状の軽減が認められました。
  • 2014年に報告された、大うつ病性障害(MDD)の参加者144例のサブサンプルに、SAMe、エスシタロプラム、またはプラセボを12週間投与したランダム化比較試験[英語サイト]の予備結果は、MDDの治療におけるSAMeの使用について一定のエビデンスを示しました。しかし、元となった研究[英語サイト]では、SAMeはプラセボに対してMDDに対する優位性を示すことができませんでした。

安全性

  • 2009年に報告された、MDD治療のためのSAMeに関するエビデンスのレビュー[英語サイト]では、抗うつ剤に反応しないMDD患者の補助治療としてSAMeの経口製剤を使用した場合、安全性や有用性を検証するエビデンスは不十分であると結論付けています。
  • SAMeの長期的な安全性に関する情報は限定的で、結論は出ていません。しかし、アルコール関連肝疾患に対する1件の研究では、参加者がSAMeを2年間摂取し、重篤な副作用は報告されませんでした。
  • SAMeは、レボドパの効果を減少させるかもしれません。また、SAMeは、抗うつ剤、L-トリプトファン、セントジョーンズワートなど、セロトニンのレベルを上げる薬やダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)と相互作用するかもしれませんが、そのような相互作用に関するエビデンスは非常に限定的です。
  • SAMeは、免疫機能が低下している人に肺炎を引き起こす可能性のある真菌、ニューモシスチスの増殖を促します。SAMeの摂取は、HIV陽性の人々のニューモシスチス感染や重症度を高めるかもしれず、これらの患者には決して使用すべきではありません。
  • SAMeの副作用はまれなようで、起きたとしても通常は悪心や消化器系の不調といった問題です。

イノシトール

現時点の科学研究では、イノシトールのうつ病治療への使用は支持されていません。

研究でわかったことは?

  • 2016年に報告された、うつ病に対するいくつかの補助的栄養補助食品に関するシステマティックレビューおよびメタアナリシス[英語サイト]では、イノシトールはプラセボに対する有意なベネフィット(有益性)がないことが明らかになりました。
  • 2014年に報告された、参加者242例を含む7件のランダム化比較試験(双極性障害2件、双極性障害および大うつ病性障害(MDD)1件、MDD2件、月経前不快気分障害(PMDD)2件)のメタアナリシス[英語サイト]では、うつ病患者に対するイノシトールの有意な治療効果は認められませんでした。しかし、イノシトールはPMDDの患者において、プラセボと比較して抑うつ症状に対して有用な傾向を示しました。

安全性

  • イノシトールの安全性と副作用に関するデータは不足しています。2014年に報告された、うつ病や不安障害に対するイノシトールのメタアナリシス[英語サイト]では、イノシトールはプラセボと比較して、わずかに胃腸の不調を引き起こすことがわかりました。2011年に報告された、ヨーロッパでのイノシトールの安全性に関するレビューでも、イノシトールは悪心、鼓腸、下痢などの胃腸の副作用を誘発するという同様の所見が得られています。

鍼治療

鍼治療は、特に無治療群またはコントロール群と比較した場合、うつ病の症状をわずかに軽減させるかもしれないことを示唆するいくつかのエビデンスがあります。

研究でわかったことは?

  • 2018年に報告された、参加者総数7,104例を含む64件の研究のコクランレビュー[英語サイト]では、従来の治療/無治療と比較した場合、鍼治療の使用は、うつ病の重症度を中等度に低下させるかもしれず、コントロール群と比較した場合は、鍼治療は、うつ病の重症度をわずかに低下させるかもしれないと結論付けました。また、レビューアらは、薬物療法や心理療法と比較した鍼治療の有用性は、エビデンスの質が低いため明らかにできないと結論付けました。
  • 2019年に報告された、7件の試験のメタアナリシス[英語サイト]では、脳卒中後のうつ病患者における鍼治療の有用性が比較され、この症状に対する鍼治療の使用を支持するエビデンスが得られました。また、サブグループ解析の結果、鍼治療単独では、薬物療法よりも抑うつ症状の改善に良いアウトカムが得られました。
  • 2019年に報告された、参加者2,268例を含む29件の研究(22件は中国、7件は中国以外で実施)のシステマティックレビューおよびメタアナリシス[英語サイト]では、鍼治療は通常ケアや標準的な抗うつ剤の補助として適切であるかもしれないと結論づけられました。しかし、本レビューとメタアナリシスに含まれるほとんどの試験は、バイアスのリスクが高いものでした。

安全性

  • 鍼治療による合併症の報告は比較的少ないです。しかし、滅菌されていない鍼の使用や不適切な治療の実施により、合併症が起こっています。
  • 鍼治療が適切に行われないと、皮膚感染、臓器穿刺、気胸、中枢神経系への損傷など、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。

音楽療法

音楽療法が、うつ病患者に短期的なベネフィット(有益性)があるかもしれないことを示すいくつかのエビデンスがあります。

研究でわかったことは?

  • 2020年に報告された55件のランダム化比較試験のメタアナリシス[英語サイト]では、音楽療法は対照群と比較した場合、抑うつ症状の有意な軽減を示し、音楽処方(音楽療法士が管理せず、治療関係を伴わない療法としての音楽)は抑うつ症状の軽減により強い有用性が示されました。具体的な音楽療法の方法としては、再現的音楽療法、誘導イメージと音楽、音楽支援リラクゼーション、音楽とイメージ、即興音楽療法、治療的音楽聴取がそれぞれ異なる有用性を示しました。
  • 2017年に報告された、参加者総数421例(うち411例はうつ病に対する音楽療法の短期効果を検証したメタアナリシスに含まれる)を含む9件の研究によるコクランレビュー[英語サイト]では、音楽療法はうつ病患者に短期的に有益な効果をもたらすと結論付けられました。また、レビューアらは、音楽療法がうつ病患者の不安レベルの低下と機能の改善に有用性を示すことを明らかにしました。

安全性

  • 音楽療法に関連する有害作用はありません。

ヨガ

ヨガは、抑うつ症状を軽減させるのに役立つかもしれないとするいくつかのエビデンスがあります。

研究でわかったことは?

  • 2017年に報告された、うつ病の症状を持つ人(必ずしもうつ病と診断されているわけではない)を含む23件の研究(参加者1,272例)によるコクランレビュー[英語サイト]では、研究のうちの14件でヨガが症状の軽減に有用であることが明らかになりました。
  • 2017年に報告された、7件の研究(参加者240例)のシステマティックレビュー[英語サイト]では、大うつ病性障害(MDD)に対するヨガの有益な効果に関するいくつかのエビデンスが得られましたが、レビューアらは、この疾患の人にヨガを推奨することを正当化するにはエビデンスが不十分であると判断しました。問題点は、研究対象者の数が少ないことと、安全性に関する情報が不十分なため、ベネフィット(有益性)とリスク(危険)を比較できないことです。
  • 2020年に報告された、27件の研究を対象としたシステマティックレビュー[英語サイト]では、小児と青年における不安と抑うつを軽減するための介入として、ヨガが評価されました。レビューアらは、ヨガが一般的に青少年の不安と抑うつをある程度軽減することにつながるが、レビューに含まれるエビデンスの方法論的質は弱いか中等度であると結論づけました。

安全性

  • ヨガは、資格のあるインストラクターの指導のもとで適切に行えば、健康な人にとって安全な身体活動の一形態であると一般に考えられています。しかし、他の運動と同様に、怪我をすることもあります。最も一般的な怪我は、捻挫と挫傷(肉離れ)です。重篤な健康被害はまれです。
  • 健康上の問題がある人、高齢者、妊娠中の女性は、いくつかのヨガのポーズや実践を控えたり修正(変更)したりしなければならないかもしれません。
ハーブと薬の相互作用
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英語版改訂年月(翻訳時):2021年7月

ハーブ系含むダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け医療関係者向け)の安全性については、薬との相互作用、直接的な毒性、薬理活性物質の混入の可能性などが懸念されています。ダイエタリーサプリメントに含まれるハーブや植物性製品は安全であるという認識が一般に広まっていますが、これらの製品にも他の薬理活性化合物と同様の危険性があることが研究により明らかにされています。相互作用は、処方薬、市販薬、ダイエタリーサプリメント、さらには食品中の低分子化合物の間同士で起こるかもしれず、臨床的に問題となる相互作用をすべて特定するのは困難な課題となっています。

ハーブと薬の相互作用に関する懸念は、厳密な研究に基づいていないことが多いと考えられます。現時点での情報源で特定されているハーブと薬の相互作用のほとんどは、動物実験や細胞実験から推測された仮説的なものであり、その他の間接的な手段に基づいています。しかし、がん化学療法薬、ワルファリン、ジゴキシンなど、治療域の狭い医薬品については、この問題に注意を払う必要があります。

現在までのところ、ハーブ系サプリメントと薬との相互作用を評価する十分にデザインされた臨床研究は限定的であり、時には暫定的です。ここでは、いくつかのハーブと他の製剤との相互作用の可能性についての情報を提供します。

科学的観点:
ハーブと薬の相互作用[英語サイト]

ハーブ系サプリメントと相互作用の可能性

ブラックコホシュ(Black Cohosh)

ブラックコホシュと薬剤の間の相互作用は少ないと考えられています。2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、ブラックコホシュは全体的に薬との相互作用のリスクが低いが、スタチン系薬剤の効果を低下させるかもしれないことが判明しました。

ブラックコホシュに対するエビデンス(科学的根拠)および安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。

ニンニク(Garlic)

ニンニクのサプリメントは、HIV感染症の治療に用いられるサキナビル(saquinavir)など、一部の薬の効果を阻害するかもしれないことが研究で示唆されています。また、ニンニクのサプリメントは、一部のハーブ系ダイエタリーサプリメントや他のサプリメントと相互作用するかもしれません。

ニンニクに対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。

イチョウ葉(Ginkgo Biloba)

2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、イチョウ葉と薬の相互作用のリスクは全体的に低いものの、ワルファリン(クマディン)との併用により出血リスクが高まるかもしれません。

イチョウ葉に対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。

朝鮮ニンジン(高麗人参、オタネニンジン、Ginseng(Asian)

2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、朝鮮ニンジンがCYP3A4(主要な代謝酵素のひとつ)を誘導することが(単独研究で)示されており、カルシウム拮抗薬、一部の化学療法薬およびHIV治療薬、特定の降圧剤およびスタチン系薬剤、一部の抗うつ薬などの医薬品の効果を減弱させる可能性があると指摘されています。

朝鮮ニンジンに対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。

ゴールデンシール(ヒドラスチス、Goldenseal)

2021年に報告された研究[英語サイト]では、健康な成人がゴールデンシール抽出物(エキス)とメトホルミンを併用したところ、メトホルミンの濃度が約25%低下したことが判明しました。この低下は、メトホルミンを服用している2型糖尿病患者の血糖値コントロールを潜在的に妨げるのに十分なものです。

2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、ゴールデンシールは、現在使用されている医薬品の半分以上の代謝を担う2つの主要代謝酵素、CYP2D6とCYP3A4を阻害することが示されているため、全体的に薬との相互作用のリスクが高いとされています。

ゴールデンシールに対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。

セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、St. John’s Wort)

2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、セントジョーンズワートはチトクロームP-450酵素と腸管P糖タンパク質の両方を強力に誘導するため、全体的に薬との相互作用のリスクが高いとされています。

2012年に報告されたレビュー[英語サイト]では、セントジョーンズワートと免疫抑制剤シクロスポリン、抗レトロウイルス剤インジナビル、経口避妊薬、クマディン、ジゴキシン、ベンゾジアゼピンなどとの臨床的に重要な相互作用が報告されています。

セントジョーンズワートに対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。

科学文献

患者のための情報

うつ病治療に潜在的な効果がある植物由来の2つの物質が研究により特定
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英語版改訂年月(翻訳時):2018年2月28日

ニューヨークにあるマウント・サイナイ・アイカーン医科大学および協力機関が実施したある研究によると、植物由来の天然物は、新しい種類の抗うつ薬に不可欠な要素となる可能性があります。本研究は、Centers for Advancing Research on Botanical and Other Natural Products(CARBON)プログラムを通して米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health :NCCIH(旧NCCAM))が一部助成し、最近、Nature Communications誌で発表されました。

うつ病治療で現在使用されている医薬品は、セロトニン等の神経伝達物質が関与する脳内のシステムをターゲットとして設計されています。しかし、うつ病は、炎症や他の脳の異常にも関連しています。これらをターゲットとする新しい治療法は、特に既存の医薬品では効果が得られない、あるいは、副作用の問題を抱える多くの患者さんのうつ病治療を改善する可能性があります。

過去の研究では、コンコードグレープジュース、ブドウ種子抽出物(エキス)、トランス型リスベラトールを配合した生物活性を有する食用ポリフェノール製剤(bioactive dietary polyphenol preparation:BDPP)がさまざまな神経障害から保護する可能性があることが示されていました。本研究では、BDPPにより体内でジヒドロカフェ酸(dihydrocaffeic acid:DHCA)およびマルビジン-3-グルコシド(malvidin-3′-O-glucoside:Mal-gluc)という2つの物質が産生され、異なる機序でマウスのストレス抵抗力が増強されました。DHCAは、炎症を促進するインターロイキン6(IL-6)という物質の産生を抑制しました。Mal-glucはRac 1遺伝子の発現を調節しました。Rac 1遺伝子は、脳に構造的、機能的影響を及ぼし、精神疾患に関与している可能性があります。これら2つの物質の影響を受ける本プロセスが、うつ病に関与していると考えられています。DHCAとMal-glucを併用投与すると、マウスモデルのうつ病様行動が有意に軽減されました。

DHCAとMal-glucの安全性テストでは、肝臓や腎臓への標準的評価においてマイナスの影響は示されませんでした。両物質とも既存の抗うつ剤がターゲットとするシステムに影響を与えないことから、うつ病に関与する複数の要因を同時にターゲットとすべく既存の医薬品と安全に組み合わせ、治療成功の確率を高めることができる可能性があります。

研究者らは、天然物は医薬品の多くの有効成分の原材料となった歴史があると報告しています。植物由来の物質は潜在的に多くの有効な生物活性を有していることから、近年では治療薬としての関心を集めています。本研究の結果は、既存治療に抵抗性のうつ病患者に対する新規治療薬の候補として、DHCA/Mal-glucがさらなる研究の対象になることを支持しています。

セントジョーンズワートとうつ病
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英語版改訂年月(翻訳時):2019年6月

要点は?

うつ病に対するセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)について解明されていることは?

  • うつ病に対するセントジョーンズワートの短期的な影響についてはかなりわかっていますが、長期的な影響はあまりわかっていません。

うつ病に対するセントジョーンズワートの有効性についてわかっていることは?

  • セントジョーンズワートは、うつ病に対して一貫した有効性を示しているわけではありません。通常医療による治療に代えて、または、受診を先送りにするために利用しないでください。

うつ病に対するセントジョーンズワートの安全性に関してわかっていること

  • セントジョーンズワートは、多くの処方薬の有効性を制限します。
  • セントジョーンズワートとある種の抗うつ薬を併用した場合、神経細胞が産生する化学物質であるセロトニンの値が命を脅かすほど体内で上昇する可能性があると考えられています。
  • うつ病を自分で治療しようとしてはいけません。うつ病は、専門家による有効的な支援がなければ重症化してしまう可能性があります。うつ病によって自殺のリスクが高くなる人もいます。あなた自身、あるいは知り合いにうつ症状の人がいる場合には、かかりつかの医療スタッフに相談しましょう。

セントジョーンズワートについて

うつ病に対するセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)について解明されていることは?

  • セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、学名Hypericum perforatum)は野生で生育する植物で、何世紀にもわたってメンタルヘルスの問題に使用されてきました。ヨーロッパでは、うつ病に広く処方されています。
  • セントジョーンズワートは、アメリカではサプリメントとして販売されていますが、アメリカでの販売基準は、処方薬あるいは市販薬(over-the-counter :OTC)の基準ほどは厳しくありません。

セントジョーンズワートについて詳しくお知りになりたい方は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH(旧NCCAM))のウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]

うつ病について

うつ病(大うつ病障害または臨床的うつ病)は一般的ですが、重篤な感情障害です。うつ病は、感情や思考の他、睡眠、食事あるいは仕事などの日常活動に影響を及ぼす重度の症状を引き起こします。2015年には、アメリカにおける成人の7%が、過去1年の間に大うつ病を少なくとも1回は経験しています。うつ症状はさまざまですが、次のようなものがあります。

  • しばしばあるいはいつも悲しい気持ちになる、不安を感じる。
  • 以前は楽しかった活動をしたいと思わない。
  • 腹が立つ、すぐにイラ立つ、あるいは落ち着かなくなる。
  • 睡眠障害や疲労感がある。
  • いつもよりよく食べる、またはあまり食べない、あるいはまったく食欲がない。
  • 治療では改善しない痛みがある。
  • 集中力、記憶力、決定力の低下を感じる。
  • 罪悪感がある、自分には価値がないと思う、無力だ。
  • 自殺を考える、あるいは自傷行為を行う。

うつ病の治療には、抗うつ薬やある種の心理療法が役立ちます。

さらなる詳細をお知りになりたい方は、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health :NIMH)の「Web page on depression(うつ病ウェブサイト)」[英語サイト]をご覧ください。

科学的観点から見たうつ病に対するセントジョーンズワートの有効性

うつ病に対するセントジョーンズワートの有効性を報告する研究は複数ありますが、逆に有効性を認めなかった研究もあります。

  • 2011年に12週間で実施された臨床試験(参加者73例)では、セントジョーンズワートもシタロプラム(citalopram)と呼ばれる標準的な選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)の抗うつ薬も、プラセボ以上には軽度のうつ病の症状を軽減しませんでした。本試験はNCCIH(旧NCCAM)とNIMHから助成を受けました。
  • 26週間実施された臨床試験(参加者124例)では、セントジョーンズワート、標準的な抗うつ薬(SSRIであるセルトラリン)、プラセボは、中等度の大うつ病治療に対する効果が同様でした。NCCIH(旧NCCAM)およびNIMHは、2002年に収集されたデータに関する2012年の解析に対し、助成金を提供しました。
  • 2008年に実施された29件の国際研究のレビューでは、セントジョーンズワートは、軽度から中等度の大うつ病に対し、プラセボより効果がある可能性および、標準的な各抗うつ処方薬と同程度の効果がある可能性が示唆されました。セントジョーンズワートは、標準的な抗うつ薬よりも副作用が少ないと考えられています。歴史的に医療スタッフがセントジョーンズワートを長く使用してきたドイツ語圏での試験では、アメリカを含む他の国々で実施された研究よりも肯定的な結果が報告されていました。
  • 2002年にNCCIH(旧NCCAM)とNIMHが助成した研究(参加者340例)では、セントジョーンズワートは、中等度の大うつ病の治療の効果についておいてはプラセボと同程度であった以上の効果は認められなかったことが報告されました。

プラセボ効果

プラセボ効果とは、錠剤、治療、注射などの介入に効き目があると患者自身が思うことで、患者の健康状態が改善することを意味します。大うつ病に対するセントジョーンズワートの臨床試験では、参加者が摂取していると推測したものが、実際に摂取したものよりもうつ病からの回復に影響した可能性があります。医療スタッフの患者との会話のスタイルも、治療とは別に患者の健康状態に良い影響を与える可能性があります。

科学的観点から見たうつ病に対するセントジョーンズワートの安全性および副作用

うつ病に対するセントジョーンズワートの有効性を報告する研究は複数ありますが、逆に有効性を認めなかった研究もあります。

  • セントジョーンズワートとある種の抗うつ薬を併用すると、抗うつ薬が標的としている脳の化学物質であるセロトニンの値が生命を脅かすほど上昇してしまう可能性があります。数分から数時間で興奮、下痢、心拍数の上昇、高血圧、幻覚、体温上昇等の症状が現れます。
  • セントジョーンズワートには、双極性障害や統合失調症の人々の精神症状を悪化させるなど、危険な副作用に関する症例報告があります。
  • セントジョーンズワートは、多くの処方薬の効果を減弱させる可能性があります。
    • 抗うつ剤
    • 経口避妊薬
    • シクロスポリン(移植臓器に対する身体の拒絶反応を防ぐ)
    • ジゴキシン(心臓病薬)
    • オキシコドン(鎮痛薬)
    • インジナビルを含むいくつかのHIV感染症治療薬
    • イリノテカンを含むいくつかの抗がん剤
    • ワルファリンおよび類縁の抗凝固剤(血液希釈剤
  • セントジョーンズワートの他の副作用は、通常、軽度であり一般的に多くありません。例えば、胃もたれ、口の渇き、頭痛、疲労、眩暈、混乱、性機能不全、日光過敏症などです。セントジョーンズワートは興奮作用があり、不安感が増大する人もいます。

NCCIHによる研究助成

NCCIH(旧NCCAM)は、セントジョーンズワートを含むさまざまな薬草の潜在的な薬物相互作用について研究を実施しています。

さらに考慮しなければならないこと

  • うつ病は重篤な疾患になり、自殺リスクが増大することがあります。あなた自身やあなたの知り合いにうつ症状がみられる場合には、かかりつけの医療スタッフに相談しましょう。うつ病を自分で治療しようとしてはいけません。
  • メンタルヘルスの問題に対して、通常医療による治療に代えて、または、受診を先送りにするためにセントジョーンズワートを利用しないでください。
  • サプリメントは、誤った方法、大量摂取などした場合には、医学的問題を引き起こすことがあります。服用している医薬品との相互作用が生じるものもあります。かかりつけの医療スタッフがあなたにアドバイスしてくれます。
  • 多くのサプリメントは、妊婦、授乳中の母親、あるいは小児での試験が行われていません。妊婦または小児へのセントジョーンズワートに関する安全性情報はほとんどありません。妊娠中、授乳中、あるいは子供にサプリメントを与えることを検討している人は、医療スタッフに相談しましょう。詳細については、NCCIH(旧NCCAM)ファクトシート「サプリメントを賢く使う」をご確認ください。
  • 自分の健康に責任を持ちましょう。あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
メンタルヘルス治療薬
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英語版最終アクセス確認日:2024年12月

メンタルヘルスの治療薬とは?

精神障害や精神の症状・疾患の治療において、医薬品→薬物療法は重要な役割を果たします。多くの場合、心理療法や脳刺激療法など、他の治療法と組み合わせて用いられることが多いです。薬物療法は人によってさまざまな影響を与える可能性があるので、最も効果的で副作用が少ない薬を見つけるには、何度か試行錯誤が必要な場合があります。医療提供者やメンタルヘルスの専門家と協力して、個々のニーズや医療状況に合った治療計画を立てることが重要です。

医薬品に関する情報は頻繁に更新されます。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)の「Medication Guide」[英語サイト]には、最新の情報、警告、承認された医薬品が記載されています。また、MedlinePlusでは、副作用や警告を含む薬、中薬やハーブ、サプリメントに関する情報[英語サイト]も提供しています。

このページでは、メンタルヘルス治療薬に関する基本的な情報を提供しています。入手可能なすべての医薬品を完全に網羅しているわけではありません。医療上の決定を下す際の指針として使用されるべきではありません。

抗うつ薬とは何か?

抗うつ薬はうつ病の治療に用いられる医薬品です。場合によっては、医療提供者が不安、疼痛、不眠などの他の健康上の問題を治療するために抗うつ薬を処方することがあります。

一般的に処方される抗うつ薬の種類は以下のものがあります:

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective serotonin reuptake inhibitors:SSRIs)
  • セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(Serotonin-norepinephrine reuptake inhibitors:SNRIs)
  • ノルエピネフリン・ドパミン再取り込み阻害薬(Norepinephrine-dopamine reuptake inhibitors:NDRIs)

これらの医薬品は、幅広い種類の抑うつや不安の症状を改善するため、一般的に処方されています。また、古い世代の抗うつ薬に比べて副作用が少ないことが示されています。三環系抗うつ薬やモノアミン酸化酵素阻害薬(Monoamine oxidase inhibitors MAOI)など古い世代の抗うつ薬は、副作用がおおいものの、人によっては最良の選択肢となるかもしれません。

抗うつ薬は効果が現れるまでに時間がかかり(通常4~8週間)、睡眠、食欲、気力、集中力などの問題は、気分が改善する前に改善することが一般的です。自分に合うかどうかを判断する前に、抗うつ薬が効果を発揮するを与えることが重要です。

SSRIやその他の抗うつ薬の一般的な副作用には、胃のむかつき、頭痛、性機能不全などがあります。副作用は一般的に軽度で、時間とともに治まる傾向があります。これらの医薬品の副作用に敏感な人は、低用量から始め、1日の服用量をゆっくりと増やし、薬を服用する時間や方法(例えば、就寝時や食事と一緒に)を変えることでベネフィット(有益性)が得られることがあります。

エスケタミンはFDAが承認した治療抵抗性うつ病の治療薬であり、少なくとも2種類の抗うつ薬を試しても症状が改善しない場合に処方されることがあります。エスケタミンは、医療提供者の診察室、診療所、または病院で点鼻薬として投与されます。エスケタミンは通常、数時間以内に急速に作用し、うつ症状を緩和します。多くの場合、症状の改善を維持するために経口抗うつ薬の内服を継続します。

抗うつ薬と、セロトニン系に作用する他の薬やサプリメントを併用すると、まれではあるものの生命を脅かすセロトニン症候群を引き起こす可能性があります。例えば、片頭痛の治療によく使われるトリプタン系薬剤やダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)であるセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)などがこれに該当します。セロトニン症候群の症状には、興奮、筋肉の痙攣、幻覚(他の人には見えたり聞こえたりしないものを見たり聞いたりする)、高熱、異常な血圧の変動などがあります。ほとんどの人にとって、このような極端な反応のリスク(危険)は低いと考えられます。医療提供者は、可能性のある相互作用をすべて考慮し、平均以上のリスク(危険)がある医薬品の組み合わせの処方とモニタリングには細心の注意を払うことが重要です。

注意:場合によっては、25歳未満の小児、10代の若者、若年成人は、抗うつ薬を服用する際、特に服用開始後の最初の数週間や服用量が変更されたときに、自殺念慮または自殺行動が増加することがあります。抗うつ薬を服用しているすべての年齢の人は、特に治療開始後最初の数週間は注意深く観察される必要があります。

もしあなたやあなたの知り合いが悩んでいたり、自殺を考えていたりする場合は、「988 Suicide and Crisis Lifeline(自殺・クライシス・ライフライン)」(米国)[英語サイト]である988に電話またはメールをする、あるいは「988lifeline.org」(米国)[英語サイト]にチャットしてください。命にかかわるような状況では、 911(米国)に電話してください。

抗不安薬とは何ですか?

抗不安薬は、パニック発作や極度の恐怖や心配などの不安症状を軽減するのに役立つ薬です。

SSRIやSNRIなど、うつ病の治療に使用される多くの医薬品は、不安症の治療にも使用されることがあります。パニック障害や社交不安障害の場合、医療提供者は通常、他の医薬品よりも副作用が少ないことから、初期治療としてSSRIや他の抗うつ薬から始めます。

ベンゾジアゼピン系薬剤も、短期的な不安症状の治療に用いられる一般的な抗不安薬の一種です。これらは時に全般性不安障害(全般性不安症)の治療に用いられることもあります。

また、医療提供者は、特定の目的で承認されていないものの、短期的な不安症状を治療するためにβ遮断薬を適応外使用で処方することがあります。たとえば、恐怖症(クモや人前で話すことなどの対象や状況に対する圧倒的で理不尽な恐怖)の人は、しばしば急激な心拍数の上昇、発汗、振戦などの激しい身体症状を経験します。β遮断薬はこれらの症状を抑えるのに有用です。

ベンゾジアゼピン系薬剤およびβ遮断薬は、短期的に重度の不安を軽減するために必要に応じて有用です。しかし、ベンゾジアゼピン系薬剤を長期間服用すると、薬物耐性や依存症につながるかもしれません。このような問題を避けるため、医療提供者は通常、ベンゾジアゼピン系薬剤を短期間処方し、離脱症状や不安症状が再燃する可能性を減らすため、徐々に漸減→減量します。β遮断薬は、喘息や糖尿病の症状を悪化させる可能性があるため、一般的に喘息や糖尿病の患者には推奨されていません。

ブスピロンは、より長期間にわたって不安を治療するために使用することができる異なるタイプの抗不安薬です。ベンゾジアゼピン系薬剤とは対照的に、ブスピロンは完全な効果を得るために3~4週間毎日服用する必要があり、不安症状をその都度必要に応じて治療するのには有用ではありません。

中枢神経刺激薬とは何か?

医療提供者は、注意欠如・多動症(Attention-deficit/hyperactivity disorder :ADHD)やナルコレプシー(日中の強い眠気や突然の眠り込みを特徴とする睡眠障害)の治療に、中枢神経刺激薬を処方することがあります。中枢神経刺激薬は覚醒度、注意力、気力を高めます。また、血圧、心拍数、呼吸を上昇させる可能性もあります。

処方された中枢神経刺激薬は、診断に関係なく、ほとんどの人の注意力と集中力を高めます。これらの医薬品は、ADHD患者のように集中力に重大な問題を抱える人々の日常生活を著しく改善することが可能です。小児のADHDに伴う運動性多動は、通常、思春期になるころには治まりますが、ADHDの人は成人になっても注意力散漫や集中力の困難を経験し続ける可能性があります。そのため、中枢神経刺激薬はADHDの小児や青年だけでなく、成人にも有用です。

中枢神経刺激薬は、医療提供者の監督下で、指示されたとおりに服用すれば安全です。一部の子供は、薬を服用中に少し違和感を感じたり、いつもと違う自分を感じたりすることがあるかもしれません。中枢神経刺激薬の副作用のほとんどは軽微で、低用量では見られません。

中枢神経刺激薬が乱用や依存につながるのではないかと心配する親もいますが、処方通りに使用した場合は、その可能性は低いことを示す科学的根拠(エビデンス)があります。睡眠障害や成長の遅れなど、中枢神経刺激薬治療に伴うその他の課題は、一般に医療提供者が安全に管理することが可能です。

抗精神病薬とは何ですか?

抗精神病薬は、通常、現実との接触を一部失うサイコーシス(精神病)を治療するために使用されます。サイコーシスのエピソード(症状出現)を経験した人は、しばしば妄想(誤った信念)や幻覚を経験します。サイコーシスは薬物の使用や、 統合失調症、 双極性障害、重度のうつ病 (精神病性うつ病としても知られている)などの精神疾患に関連している可能性があります。

また、医療提供者は、 高齢者に多いせん妄 、 認知症 、その他の精神健康状態の症状を緩和するために、抗精神病薬を他の医薬品と併用して処方することもあります。FDAは、すべての抗精神病薬に、認知症の高齢患者において脳卒中および死亡の発生率が高まる可能性があることを示すブラックボックス(黒枠)警告を義務付けています。

古い第一世代の抗精神病薬は、定型抗精神病薬(または神経遮断薬)と呼ばれることもあります。定型抗精神病薬を長期間使用した場合、遅発性ジスキネジアと呼ばれる制御不能な筋肉の動きを伴う状態になる可能性があり、その症状は軽度から重度までさまざまです。遅発性ジスキネジアかもしれないと思われる人は、服薬を中止する前に医療提供者に確認する必要があります。

新しい第二世代の抗精神病薬は、非定型抗精神病薬と呼ばれることがあります。いくつかの非定型抗精神病薬が利用可能です。これらは、古い世代の抗精神病薬に比べ、より幅広い症状に対応できるため、一般的に広く使用されています。例えば、非定型抗精神病薬は、双極性うつ病や抗うつ薬だけでは効果がないうつ病の治療に使用されることがあります。医療提供者は非定型抗精神病薬を服用している患者に対し、体重、グルコースレベル、脂質レベルの定期的なモニタリングに参加するよう求めることがあるかもしれません。

興奮や幻覚などいくつかの症状は、抗精神病薬の服用を開始して数日で治まるのが一般的です。妄想などの他の症状は、通常数週間以内に治まります。しかし、抗精神病薬の効果を十分に実感できるのは最長で6週間かかる場合があります。

通常の抗精神病薬で症状が改善しない場合、クロザピンと呼ばれる非定型抗精神病薬が処方されることがあります。クロザピンを服用する人は、1~2%の人に起こる可能性のある危険な副作用を調べるために、定期的に血液検査を受ける必要があります。

気分安定薬とは何ですか?

気分安定薬は、通常、双極性障害や他の精神疾患に伴う気分の変化を治療するために使用されます。場合によっては、うつ病の治療に用いられる他の医薬品の効果を増強するために、医療提供者が気分安定薬を処方することもあります。

リチウムは有用な気分安定薬で、躁病と双極性障害の治療に承認されています。いくつかの研究では、長期的な症状維持のためにリチウムを服用している人の自殺リスクを低減するかもしれないことが示されています。医療提供者は一般に、リチウムを服用している人に、リチウムレベルや腎臓・甲状腺機能をチェックするための定期的なモニタリングに参加するよう求めています。

気分安定薬は、うつ病(通常は抗うつ薬と併用)、統合失調感情障害、衝動制御障害、および子どもの特定の精神疾患の治療に使用されることがあります。双極性うつ病の場合、医療提供者は、通常、躁転(急速交代型と呼ばれる)のリスク(危険)を減らすために、気分安定薬と抗うつ薬を処方します。

一部の抗けいれん薬も気分安定薬として使用されることがあります。これらは、特定の患者、例えば躁病とうつ病の「混合型」症状の人や、サイクルの速い双極性障害の人などに対してリチウムよりも効果的に作用することがあります。医療提供者は一般に、抗けいれん薬を服用している人に対して、薬の濃度をチェックし、副作用や他の一般的な薬との相互作用の可能性を評価するために、定期的なモニタリングに参加するよう求めます。

精神薬を服用する前に、特定のグループの人々は何を考慮すべきでしょうか?

すべての人がメンタルヘルス薬を服用することができますが、特別なニーズや配慮が必要なグループもあります。

小児および青少年

精神疾患の治療に使われる医薬品の多くは、小児や青少年にも安全で有用です。しかし、小児は成人とは異なる反応や副作用を経験するかもしれないため、一部の医薬品には低年齢者に対する副作用の可能性についてFDAの警告があることを知っておくことが重要です。

場合によっては、医療提供者が、特定の精神疾患や一定年齢以下の人への使用が承認されていない医薬品であっても、小児の症状を治療するために、適応外使用でFDAが承認した医薬品を処方するかもしれません。小児の精神疾患に関する研究は成人に比べて少ないですが、医薬品が小児に有用であるというエビデンスはあります。適応外使用で医薬品を服用している小児や青少年を注意深く観察することは重要です。

医療従事者は、まず心理療法などの薬物療法以外の治療を試すことを提案し、必要に応じて後から薬物療法を追加することがあります。また、医療提供者が薬物療法と併用した非薬物療法を提案する場合もあります。米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health:NIMH)は、小児および青少年に対する一般的な治療法について、より詳しい情報を提供しています。

高齢者

65歳以上の人は、特に複数の医薬品を服用している場合は、医薬品の取り扱いに十分注意する必要があります。高齢者は医薬品に敏感であることが多く、薬物相互作用を経験するリスク(危険)が高くなる可能性があります。健康な高齢者であっても、医薬品に対する反応は若い人とは異なることがあります。これは、高齢者の体内で薬の処理と排出がより遅くなることが多いためです。

薬物療法を開始する前に、高齢者とその家族は、薬物療法が身体的および精神的機能に及ぼす可能性のある影響について、医療提供者に相談する必要があります。医療提供者は、治療計画に従いやすくするための戦略についても話し合うことができ、高齢者が適切な用量を適切な時間に確実に服用できるよう支援します。

米国国立老化研究所(National Institute on Aging)では、高齢者が安全に医薬品を服用するための情報や実践的なアドバイス[英語サイト]を提供しています。

妊娠中または妊娠の可能性のある人

研究者らは、妊娠中のメンタルヘルス治療薬について検証を続けています。妊娠中の医薬品の服用に伴うリスク(危険)は、医薬品の種類や妊娠の段階によって異なります。妊娠中はどの医薬品も一概に安全とは言えませんが、未治療の精神疾患も妊婦と発育中の胎児にリスク(危険)をもたらす可能性があります。

妊娠中の人は、医療提供者と協力して、個々のニーズや状況を考慮した個別の治療計画を立てる必要があります。心理療法、薬物療法、脳刺激療法、またはこれらの組み合わせなど、利用可能なすべての治療選択肢のベネフィット(有益性)とリスク(危険)を比較検討することが重要です。医療提供者は、妊娠中および出産後を通して、その人の心身の健康状態を注意深く観察し、周産期うつ病や産後うつ病の徴候がないかを確認することがあります。

一部のベンゾジアゼピン系薬剤、気分安定薬、抗精神病薬など、妊娠中に服用する特定の薬剤は、先天異常との関連が指摘されていますが、そのリスク(危険)は多岐にわたり薬剤によって異なります。

抗うつ薬、特にSSRIは、一般に妊娠中の使用は安全と考えられています。抗うつ薬は胎盤を通過して胎児に到達する可能性はありますが、先天異常やその他の問題のリスク(危険)は非常に低いです。妊娠第3期のSSRI曝露と、新生児の呼吸障害を含む特定の症状との間に関連があることを示した研究もあります。しかし、FDAは因果関係を示す十分なエビデンスを見出しておらず、医療提供者に対して、個々のニーズに応じた妊娠中のうつ病治療を推奨しています。

薬物療法と妊娠に関するさらなる情報については、FDAのウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。

産後間もない人

研究者らはまた、妊娠後や産褥期に精神疾患を経験する人のための医薬品についても研究しています。これらの研究の多くは、産後によく見られる精神疾患のひとつである産後うつ病に焦点を当ててきました。

FDAは、重度の産後うつ病の治療に特化した2種類の医薬品を承認しています。一つ目はブレキサノロンで、短期間の入院中に医療提供者が経静脈的に投与します。もう一つはズラノロンで、これは錠剤で服用する経口薬です。臨床試験では、両方とも従来の抗うつ薬よりも迅速かつ効果的に産後うつ症状を軽減しました。

産後の人は、出産前の健康状態や現在の症状に基づいて、医療提供者と協力して最善の治療計画を決定する必要があります。妊娠中の精神疾患と同様に、あらゆる治療法のベネフィット(有益性)とリスク(危険)を比較検討し、治療中の身体的・精神的健康状態を注意深く観察することが重要です。

女性の健康局(Office on Women’s Health)[英語サイト]では、産後うつ病の治療に関するさらなる情報を提供しています。

メンタルヘルス治療薬について知っておくべきことは?

医薬品の効き方は人それぞれで、最も副作用が少なく有用な医薬品を見つけるには、何度か試行錯誤が必要な場合があります。場合によっては、しばらくは医薬品が効いていても、また症状が再発することがあります。医薬品が効くまでには時間がかかることが多いため、治療計画を守り、処方された通りに医薬品を服用することが大切です。

処方された医薬品は、たとえ体調が良くなっても、医療提供者の助言なしに服用を中止してはなりません。医療提供者は治療計画を調整し、ゆっくりと安全に医薬品を減量することが可能です。体が変化に慣れる時間を与えることが重要です。医薬品を早くやめすぎると、不快な副作用や有害な副作用を引き起こすかもしれません。

医薬品を処方された場合

  • すでに服用している他のすべての医薬品、ビタミン、サプリメント(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)について、医療提供者に伝えましょう。
  • アレルギーがある場合は、医療提供者に伝えましょう。過去に医薬品で健康問題があった場合はそのことを話してください。
  • 医薬品の使用を開始する前に、医薬品の飲み方をよく理解し、指示されたとおりに服用するようにしてください。
  • 可能性のある副作用や、医薬品を服用する際に予想されることについて、医療提供者に相談しましょう。
  • 他の人に処方された医薬品は服用しないでください。処方された医薬品を他人に与えないでください。
  • 服薬に問題がある場合、あるいは服薬がかえって害を及ぼしているかもしれないと心配な場合は、すぐに医療提供者に連絡しましょう。医療提供者は、あなたと協力して問題に対処し、次のステップを判断します。
  • 重篤な副作用を「FDA MedWatch Adverse Event Reporting Program(FDA MedWatch有害事象報告プログラム)」[英語サイト]に報告しましょう。

「FDA MedWatch」への連絡方法は?

FDAは、医薬品、生物学的製剤、医療機器の安全性、有効性、セキュリティを確保することにより、公衆衛生を保護する責任を担っています。「FDA MedWatch」[英語サイト]に連絡して以下について自主的に報告しましょう:

  • 重篤な副作用
  • 製品の品質問題
  • 製品使用の過誤
  • FDA規制の医薬品、生物学的製剤、医療機器、栄養補助食品、または化粧品に関連すると疑われる製品の不具合

あなたまたは医療提供者は、オンラインまたは1-800-332-1088に電話して報告することができます。また、MedWatchを通じて、偽造の疑いのある医療製品をFDAに報告することもできます。

MedWatch安全アラートの購読

FDA MedWatchは、医療製品に関する情報を得るためのいくつかの方法も提供しています。安全性に関する情報をEメールで受け取る「MedWatch E-list」[英語サイト]に登録可能です。「X(旧Twitter)@FDAMedWatch」でもMedWatchをフォローすることが可能です。

メンタルヘルス治療薬に関する情報はどこで入手できますか?

助けを求める

NIMHは、精神疾患の研究を主導する連邦機関です。NIMHは、医学的助言を提供したり、特定の医薬品を推奨したり、推薦したり、治療法を紹介したりすることはありません。

NIMHには、支援を得る方法や医療提供者を見つける方法、治療を受ける方法に関する情報が掲載されています。NIMHが支援する臨床研究[英語サイト]もご覧いただけます。

米国の精神衛生サービス管理局(Substance Abuse and Mental Health Services Administration)は、お住まいの地域の精神衛生サービスを検索できるオンラインツール[英語サイト]を提供しています。

医療研究・品質調査機構(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)からの報告

医療研究・品質調査機構(AHRQ)は、米国の医療システムの安全性と質を向上させることを使命とする連邦政府機関です。AHRQは、医療制度を改善し、国民、医療専門家、政策立案者が十分な情報に基づいた健康上の意思決定を行うために必要な知識、ツール、データを開発しています。

メンタルヘルスに関するAHRQの報告書の例としては、以下のようなものがあります:

  • 高齢者の大うつ病に対する薬物療法の副作用:このシステマティックレビューでは、64歳以上の成人における抗うつ薬に関連した有害事象を評価しています。
  • 小児の不安症:このシステマティックレビューでは、小児の不安症の治療における心理療法と薬物療法の有効性と有害性を比較したものです。
  • 注意欠如・多動症: 小児および青少年における診断と治療 : この総説では、ADHDの小児および青年の診断、治療、モニタリングの戦略について、中枢神経刺激薬と非薬物療法の有効性を含めて評価しています。
  • 小児における強迫性障害の診断と管理 : このシステマティックレビューでは、強迫性障害の小児や青少年を特定するためのツールや、強迫性障害に対する心理学的・薬理学的治療法に関する研究から得られた知見を紹介しています。
  • メンタルヘルスアプリの評価指標この技術概要は、メンタルヘルス関連のモバイルアプリケーションを評価し、選択するための枠組みを提供しています。
  • 女性におけるメンタルヘルス治療の母体、胎児、および小児のアウトカム:周産期における薬理学的介入に関するシステマティックレビューこのシステマティックレビューでは、妊娠中および産後の精神疾患を有する人に対する薬理学的介入の有益性と有害性を評価します。
  • 母親の精神的健康状態に対する非薬物療法このシステマティックレビューでは、妊娠中および産後の精神疾患を有する人に対する心理学的治療の有効性と有害性、および薬理学的治療との比較を評価しています。
  • 心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)に対する薬理学的および非薬理学的治療法:PTSDレポジトリのエビデンスベースの更新 :このレビューでは、成人の心的外傷後ストレス障害に対する心理学的および薬理学的治療の有効性、有益性、有害性を評価しています。
  • 小児および青少年における破壊的行動に対する心理社会的および薬理学的介入 :このレビューでは、破壊的行動障害を有する小児および青少年に対する心理社会的治療および薬理学的治療のエビデンスを評価しています。
  • 成人における統合失調症患者に対する治療 :このシステマティックレビューでは、第二世代抗精神病薬、第一世代抗精神病薬、心理社会的介入を含む統合失調症治療に関するエビデンスを評価しています。
  • 成人の双極性障害の治療 システマティックレビュー : このシステマティックレビューでは、リチウムや非定型抗精神病薬など、成人の双極性障害の急性躁病やうつ病に対する治療の有効性を評価しています。
  • 小児および青少年におけるうつ病の治療 :このシステマティックレビューでは、うつ病の小児および青少年に対する利用可能な治療法の有効性、有益性、有害性を評価しています。

米国国立医学図書館(National Library of Medicine:NLM)のリソース

米国国立衛生研究所の一部である国立医学図書館(NLM)は、世界最大の医学図書館です。NLMはさまざまなトピックに関する電子情報資源を作成しています:

  • DailyMed : ヒト用および動物用の処方薬および非処方薬、ならびに医療用ガス、機器、化粧品、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)、医療用食品などの追加製品に関するラベリングが含まれています。
  • MedlinePlus: Antidepressants : 抗うつ薬に関する情報とリソースの提供。
  • MedlinePlus: 薬物、中薬ハーブ、サプリメント(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)に関する情報とリソースを提供しています。
特に断りのない限り、当社のウェブサイトおよび出版物に掲載されている情報はパブリックドメインであり、許可なく再利用またはコピーすることができます。 ただし、画像の再利用やコピーはできません。 出典としてNational Institute of Mental Health(米国国立精神衛生研究所)を引用してください。 NIMHのコンテンツを再利用するためのガイドラインについては、著作権ポリシーをお読みください。
季節性情動障害に対する補完療法:概要
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2019年1月

季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder:SAD)は、季節とともに出たり消えたりするうつ病の一種で、通常は秋の終わりまたは冬の初めに発症し、春と夏の間に消失します。夏に関連する抑うつ症状が起こる場合もありますが、SADの冬季発症型よりも非常に稀です。SADの冬季型の症状としては、気力低下、過食、炭水化物への欲求、引きこもりなどが挙げられます。光療法がSADの標準的治療となっており、抗うつ剤もSAD症状を改善すると示されています。

SADを予防するために、光療法、認知行動療法(SAD)、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)、メラトニンやビタミンDなどの補完療法に頼る人もいます。今回のダイジェスト版では、これらの治療法に関する最新研究の要約を提示します。

科学的根拠:
季節性情動障害に対する補完療法[英語サイト]

最新研究の方法と要約

  • 光療法
    光療法が季節性情動障害の既往歴のある患者に対する予防的治療法として有用である可能性を示すエビデンスがいくつかあります。
  • 認知行動療法(CBT-SAD)
    認知行動療法(SAD)が、SADの再発減少や寛解に有効であり、少なくとも1回目と2回目の冬季の間維持されることを示すエビデンスがいくつかあります。いくつかのエビデンスは、SADのための認知行動療法(Cognitive behavior Therapy;CBT)はSADの再発減少と回復に効果的であり、少なくとも最初と2番目の冬季の間は効果が継続すると示しています。
  • セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)
    セントジョーンズワートがSADのいくつかの症状を改善することを示す限定的なエビデンスがありますが、研究は小規模なものです。
  • メラトニン
    メラトニンがSAD患者の睡眠を改善することを示す限定的なエビデンス(少数の患者を対象とした小規模試験)がありますが、その有効性について確信的な結論は導き出されていません。
  • ビタミンD
    現在、ビタミンD補充自体は、有効なSAD治療として考えられていません。
季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder :SAD)
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英語版改訂年月(翻訳時):2019年6月3日

季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder:SAD)は、繰り返し季節とともに出たり消えたりするうつ病の一種で、通常は秋の終わりまたは冬の初めに発症し、春と夏の間に消失します。SADのリスクは、赤道から遠く離れた場所に住んでいる人や、うつ病の既往歴または家族歴がある人で高くなります。女性は男性よりもSADを発症する可能性が高く、若年者は高齢者よりもリスクが高くなります。

SADに対して研究されている治療の種類には、薬物療法(抗うつ薬)、心理療法(認知行動療法(cognitive behavioral therapy:CBT)など)、光治療、およびサプリメントビタミンDなど)があります。

要点は?

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors:SSRI)またはブプロピオンなどの抗うつ薬は、SADに使用する場合があります。
  • SAD患者での使用に適したCBTの一種は症状を緩和するのに役立ち、その効果は施術者との追加セッションなしでも、次の冬まで継続する可能性があります。
  • 光線療法では、通常初秋から春まで明るい人工光に日常的に当たります。通常、一般的な室内照明よりもはるかに多くの光を発するライトボックスの前に、毎朝20〜60分間座っている必要があります。光線療法の背景にある考えは、秋冬の季節の減少した太陽の光の代わりをすることです。いくつかの研究において、光線療法はSAD症状に対し薬物療法またはCBTと同等の有益な効果がありました。
  • SAD患者において、食事によるビタミンの摂取量が少ないまたは日光に十分当たっていないことが原因で起こるビタミンD濃度の低値が認められています。しかし、ビタミンDの補充がSADの症状を緩和するのに役立つかどうかは不明です。
  • SADに対するビタミンD以外のサプリメントに関する研究はほとんど行われていません。ごく少数の患者を対象としたSAD治療に対するメラトニンおよびセントジョーンズワートについて検討した試験があるものの報告数はごくわずかで、結果は不明または一貫性がありません。SADの治療に対するビタミンB12およびSADの予防に対するイチョウに関する単一の小規模試験では、それらのサプリメントが有益かどうか明らかになりませんでした。

安全性

  • 他の医薬品と同様に、SADに使用される医薬品には副作用がある可能性があります。望ましくない効果が多く出現することなくうまく効果を発揮する医薬品を特定するために、さまざまな薬物を試験する必要があります。
  • CBTは、一般的に安全だと考えられます。
  • 光線療法には、めまい、吐き気、頭痛、または目の疲れなどの副作用がある場合があります。この療法は、網膜の病気がある、最近眼科手術を受けた、または双極性障害がある患者、または光に対する感受性を高める医薬品を服用している患者には適していない場合があります。
  • サプリメントには副作用や薬品との相互作用を伴う可能性があります。セントジョーンズワートは、多くの医薬品に有害な相互作用を起こすことが知られています。ビタミンDなどの一部のビタミンは、過剰に摂取すると毒性がある可能性があります。特に医薬品を服用している場合は、サプリメントの摂取を検討しているまたはすでに摂取していることをかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。
音楽と脳:米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)/ケネディセンター・ワークショップについてのレポート
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英語版改訂年月(翻訳時):2018年3月

「音楽と脳:一生を通じた研究」は、米国国立衛生研究所 (National Institutes of Health:NIH)と舞台芸術のためのジョン・F・ケネディ・センターが連携して開催したワークショップのトピックです。ワークショップの要約は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health :NCCIH(旧NCCAM))の外部研究部門長Dr. Emmeline Edwards、 米国国立衛生研究所長Dr. Francis Collinsを含む15 名の専門家により共同で執筆され、最近雑誌「ニューロン」に出版されました。

連携ワークショップは、「Sound Health」という新たな取り組みの初期段階であり、3つのライフステージ(小児期、成人期、高齢期)にわたる音楽の効果の研究結果に焦点をあてています。例えば:

  • 音楽のトレーニングにより、小児において音楽以外のさまざまなスキルの発達を促すことができるというエビデンス
  • 音楽療法が小児がん患者の治療のストレス対処に役立つという潜在的有効性
  • 感情を伝える脳のネットワークやストレス軽減、うつ病治療に対する音楽活動の効果
  • 脳内回路への影響など、音楽が疼痛を軽減するメカニズム
  • 加齢性脳に対する音楽活動の潜在的有効性(パーキンソン病、脳卒中、認知症患者での潜在的適用を含む)

ワークショップパネルの専門家25名は、4領域、すなわち基礎研究、橋渡し臨床研究、手法や転帰、能力開発とインフラにおける提案を行いました。
提案には以下が含まれます:

  • 音楽のトレーニングにより、どの神経経路が活性化されるのか調査する
  • 音楽と言語処理がどの程度重なるのか調査する
  • メカニズムの理解と音楽療法を融合する
  • 音楽活動と脳測定項目を融合させる方法を発展させる
  • 音楽と脳に関した基礎的、臨床研究に興味を持つ神経科学者や音楽療法士のトレーニングを支援する
  • 健康促進、または特定の健康状態の治療・軽減を目的とした、音楽の治療方法のためのエビデンスに基づく最善の方法を確立する。

このワークショップからの提案と他の意見に基づき、NIHは治療現場での音楽の使用について、総合的な研究課題を策定中です。NIHはまた、アメリカ合衆国退役軍人省(U.S. Departments of Defense and Veterans Affairs)、国立芸術基金(the National Endowment for the Arts)、全米科学財団(the National Science Foundation)等、他機関との連携を促進しています。

瞑想実践者と非実践者では、統計学的要素、健康にかかわる行動、健康状態、ヘルスケアの利用に違いがあると最新の解析結果が示しています
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2017年6月15日

最新の解析によると、瞑想実践者と瞑想非実践者では統計学的要素、健康に関わる行動、健康状態、ヘルスケアの利用などにおいて違いがあります。これらの結果は、瞑想実践者の特徴として知られている比較的限られた情報について詳しく説明しています。雑誌「BMC補完代替医療」に発表されたこの発見は、2012年の米国国民健康調査(National Health Interview Survey:NHIS)からのデータに基づいており、これは疾病対策予防管理センター内の国立衛生統計センターが毎年実施する大規模な調査です。

伝統と実践の多様性がますます認知される中、2012年のNHISは、3つの一般的な瞑想スタイル(マントラ瞑想、マインドフルネス瞑想、精神的瞑想)について情報を収集し、これらの実践についてより深い知見を提供することを目的としています。この解析では、12か月にわたって成人34,525例での瞑想の普及と実践パターンを調査しました。*

瞑想実践者と非実践者を比較した場合、次のような結果が得られました。

  • 瞑想実践者の方が中年層、白人、女性、大学卒業者が多く、アメリカ西部に住んでいる傾向にあります。
  • 瞑想実践者の方が運動や禁煙、コレステロールのチェックなど予防医学的な健康習慣により取り組む傾向があります。
  • 瞑想実践者の方がより低体重/健康的体重(瞑想実践者41% 、非実践者31%)である傾向があります。
  • 瞑想実践者の方が何かしらの身体機能制約(瞑想実践者45% 、非実践者34%)、慢性背部痛(瞑想実践者39% 、非実践者27%)、うつ病(瞑想実践者22% 、非実践者9%)など、より多くの健康に関する懸念を抱えています。
  • 瞑想実践者の方が過去12カ月において、通常医療への受診が10倍以上高い傾向にあります(瞑想実践者26% 、非実践者13%)。
  • 3種類の瞑想のうちいずれかを実践している場合を調査すると、以下の事が判明しました。
  • 3種類のすべての瞑想グループにおいて、ヨガのようなセルフケア療法や健康志向活動である他の補完的療法使用者と共通する特徴がありました。
  • 調査回答者において、瞑想が特に高い率で普及していたのは、女性で非ヒスパニック系白人、かつ大学教育を受け、よく運動する人であったり、鍼治療、ヨガ、ベジタリアンダイエットを利用する人であったり、うつ病を持ち、通常医療をよく利用する人でした。
  • 健康問題を抱え、通常医療をより利用しており、また過去飲酒歴や喫煙歴のある人々は、より精神的瞑想を実践していました。精神的瞑想を実践している人はまた、瞑想実践者のうち最も多くを占めていました。
  • マインドフルネス瞑想に注目した結果は次の通りです。
  • 特定の健康状態を治療するというよりむしろ健康のためにマインドフルネス瞑想を実践する人が多くいました。(瞑想実践者73% 、非実践者30%)。
  • 健康のためにマインドフルネス瞑想を実践する最大の理由は、ストレス管理、精神的安らぎ、健康問題をコントロールしているという感覚の増強、および睡眠の改善であるということです。
  • 瞑想実践者は、非実践者よりも、カイロプラクティクなどの施術者による治療やヨガなどのセルフケア療法を含む、他の補完療法を使用する傾向にあります。
  • 研究者らは、瞑想の実践で重要なのは、瞑想の種類ではなく、瞑想を実践する人々の特徴(健康とウェルビーイング(well-being)を維持しようとさまざまな療法を使用する人々)であると結論づけました。一見全く異なるようにみえる瞑想の種類において、実践者の好みの性質を考慮しつつすることで、根底にある心理過程、有益性(ベネフィット)、そしてどの療法を選択するかを理解することが大切なのです。

*A previous analysis これまでの解析によると、マントラ瞑想、マインドフルネス瞑想、精神的瞑想を実践する、あるいは(ヨガ、太極拳、気功といった)ほかの行為における一部として瞑想を実践しているアメリカの成人は約1800万人にものぼる。

参考文献

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
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更新日:2025年3月10日

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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