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糖尿病
Diabetes

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

糖尿病とダイエタリーサプリメント:科学的見解
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2024年12月

要点は?

糖尿病に対するダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)について解明されていることは?

  • 2型糖尿病やその合併症の予防や治療に関するダイエタリーサプリメントの研究は数多く行われています。このファクトシートは2型糖尿病に焦点を当てています。

糖尿病に対するダイエタリーサプリメントの有用性についてわかっていることは?

  • 数種類のダイエタリーサプリメントについては、ベネフィット(有益性)がある可能性を示す弱い科学的根拠(エビデンス)があります。例えば、クロミウム(クロム)シナモン、ベルベリンなどが血糖値のコントロールに有用であるかもしれないことや、αーリポ酸が糖尿病性ニューロパシー(神経の問題)に伴う痛みを軽減するのに有用であるかもしれないことを示唆する研究もあります。しかし、これらの研究のほとんどは、規模に限界があり、参加者の特徴、サプリメントの処方と投与量、研究期間、結果もそれぞれ異なるため、明確な結論には至っていません。しかし、ほとんどのサプリメントについては、糖尿病やその合併症に対する有益な効果を裏付けるエビデンスはありません。

糖尿病に対するダイエタリーサプリメントの安全性についてわかっていることは?

  • ダイエタリーサプリメントの中には副作用があるものもあり、腎障害などの重篤な副作用を引き起こすこともあります。
  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、「糖尿病薬の代わりに」または「天然の糖尿病治療」と標ぼうする製品など、話がうますぎる糖尿病の製品について消費者に警告しています。これらの製品は違法に販売されています。中には製品自体が有害なものもあり、有用な糖尿病治療の代わりに使用すると、いずれも有害です。
  • 従来の内科的糖尿病治療を、効果が証明されていない療法や関連製品で置き換えないことが非常に重要です。

糖尿病について

  • 糖尿病は血中グルコース濃度、つまり血糖値が上昇しすぎたときに起こる疾患です。血液中のブドウ糖が多すぎると、心疾患、神経障害、目の問題、腎疾患などの健康問題を引き起こす可能性があります。
  • 米国では国民の約11.3%が糖尿病ですが、成人の約4人に1人は糖尿病であることを知りません。
  • 糖尿病に治癒はありませんが、糖尿病患者は健康を維持するために対策を講じることができます。インスリンやその他の糖尿病治療薬を服用することは、健康的な食べ物の選択、身体活動、十分な睡眠、ストレス管理とともに、糖尿病治療の一部となることがよくあります。
  • 長期的な食事療法と生活習慣の介入に関する研究によると、2型糖尿病患者の中には寛解が可能な人もいるかもしれません。血糖値が正常値より高いが、2型糖尿病と診断されるほど高くない糖尿病予備軍の人々にとって、食事療法と生活習慣の改善プログラムを継続することは、糖尿病予備軍を回復させ、糖尿病を予防するのに有用です。
糖尿病の詳細
  • 最も一般的なタイプの糖尿病は2型糖尿病で、体がインスリンをうまく作ったり利用したりできません。このタイプの糖尿病は中高年に最も多くみられますが、どの年齢層にも、小児期でも発症します。
  • 45歳以上の人、糖尿病の家族歴のある人、太りすぎや肥満のある人は、2型糖尿病になる可能性が高くなります。運動不足や人種、また高血圧、糖尿病予備軍、妊娠中の妊娠糖尿病などの健康問題も、2型糖尿病を発症する可能性に影響します。
  • 糖尿病や関連の症状・疾患のさらなる情報は、National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所)のサイト [英語サイト] をご覧ください。

腎疾患は一部のダイエタリーサプリメントの使用に関連しています。糖尿病は腎疾患の主な原因であるため、糖尿病患者では特に問題となります。腎疾患に罹患しているまたは腎疾患のリスク(危険)がある場合は、サプリメントを使用する際に今かかっている医療機関※に注意深く観察してもらいましょう。

糖尿病に対するダイエタリーサプリメントの有効性と安全性に関する科学的見解

α−リポ酸

αーリポ酸は、糖尿病患者の血糖値や脂質(脂肪)レベルの改善だけでなく、糖尿病黄斑浮腫(視力低下を引き起こす目の症状)、糖尿病性神経障害(糖尿病によって引き起こされる神経障害)、糖尿病性ニューロパシー(糖尿病によって引き起こされる腎症)などの糖尿病の合併症に対する有用性についても研究されています。

  • 2019年に報告された2型糖尿病の管理に関する10件の研究(参加者553例)を対象としたレビューでは、αーリポ酸は血糖値、コレステロール、トリグリセリドのレベルを下げることにおいてプラセボよりも優れていなかったことが示されました。
  • 2011年に報告された2型糖尿病患者467例を対象とした研究では、参加者にαーリポ酸(600mg/日を2年間)またはプラセボを投与しました。臨床的に重要な糖尿病黄斑浮腫の発症については、治療群とプラセボ群で統計学的有意差は認められませんでした。
  • 2022年に報告された8件の研究(参加者1,500例)を評価したレビューでは、糖尿病性ニューロパシーに対するαーリポ酸の有用性について一貫性のない結果が示されました:3件の研究では症状の改善がみられ、5件の研究では改善がみられませんでした。8件の研究すべてにおいて、αーリポ酸は安全であることが確認され、副作用の報告はありませんでした。2022年に報告された9件の研究(参加者2,062例)を対象とした別のレビューでは、αーリポ酸が糖尿病性ニューロパシーの人の疼痛を軽減するのに有用であるかもしれないことがわかりました。
  • 2022年に報告された12件の研究(参加者653例)を対象としたレビューでは、αーリポ酸の補充は糖尿病患者(糖尿病性ネフロパシー)の腎機能障害を改善しないことがわかりました。αーリポ酸を単独で評価した研究もあれば、αーリポ酸を医薬品やビタミン剤と併用した研究もあります。著者らは、研究数と参加者が少ないため、エビデンスは限定的であると指摘しました。

安全性

  • 2020年に報告された71件の研究(参加者4,749例)を対象としたレビューによると、αーリポ酸の補充は、健康な人でも、心血管疾患、神経疾患、糖尿病など特定の疾患に罹患している患者でも安全であることがわかりました。
  • αーリポ酸サプリメントの最も一般的な副作用は、頭痛、胸やけ、悪心、嘔吐です。
ベルベリン

ベルベリンは、メギ、ゴールデンシール(ヒドラスチス)、ゴールドスレッド、オレゴンブドウ、ツリーターメリックなどの特定の植物に含まれています。ベルベリンを含む植物は、何千年もの間、アーユルヴェーダ医学や伝統的な中国医学で薬として使われてきました。

  • 2021年に報告された46件の研究(参加者4,158例)のレビューによると、ベルベリンは2型糖尿病患者の血中グルコースレベルを下げ、インスリン抵抗性を減らし、脂質代謝を改善する有益な効果があるかもしれないことが示されました。
  • レビューの著者らは、特に補助療法として、ベルベリンが糖尿病に有用であるかもしれないことを示すいくつかのエビデンスがあると指摘しました。しかし、本レビューは、ほとんどが中国人患者を対象に行われた研究に限られており、いくつかのアウトカムに対するベルベリンの有用性には大きなばらつきがあり、いくつかの研究は質が低いものでした。

安全性

  • ベルベリンは、臨床で使用される量(200~1,000mgを1日2~3回)であれば安全であると考えられています。
  • ベルベリンサプリメントの使用で報告されている一般的な副作用には、軽度から中等度の悪心、下痢、腹部膨満感、便秘などがあります。
  • ベルベリンは、いくつかの医薬品と相互作用し、望ましくない副作用を引き起こすかもしれません。医薬品を服用している人は、ベルベリンを摂取する前に、今かかっている医療機関※に相談してください。
  • ベルベリンは妊娠中や授乳中は使用せず、乳幼児にも与えないようにしてください。ベルベリンにさらされると、乳幼児に有害なビリルビンが蓄積し、脳障害を引き起こす可能性があります。
クロミウム(クロム)

クロミウムは多数の食品に含まれる必須微量元素です。食事中のクロミウム含量が少なすぎると、グルコースを効率的に利用できなくなります。

  • 2022年に報告された16件の研究(参加者868例)のレビューでは、クロミウムの補充は、2型糖尿病患者のグリコシル化ヘモグロビン(HbA1c、過去数カ月の平均血中グルコースを測定)、空腹時血糖、インスリン抵抗性を改善するかもしれないことが示唆されています。

安全性

  • クロミウムサプリメントは、胃痛や腹部膨満を引き起こすかもしれません。また、大量摂取後に腎障害、肝障害、筋肉の問題、皮膚反応が報告された例もあります。クロミウムを長期摂取した場合の影響については十分に検証されていません。
ハーブ系サプリメント

ハーブ系サプリメントが糖尿病やその合併症の管理に有用であることを示した信頼できるエビデンスは得られていません。

シナモン

  • 2019年に報告された16件の研究(参加者1,098例)を対象としたレビューによると、シナモンの摂取は、糖尿病予備群や2型糖尿病の人々の空腹時血中グルコースやインスリン抵抗性の改善に有用であるが示されました。しかし、これらの研究では、摂取量の強度、治療期間、対象者のタイプが異なっていました。レビューの著者らは、シナモンの有用性を理解するためには、標準的なシナモン製剤を用いたさらなる研究が必要であると述べています。
  • 2020年に報告された9件の研究(参加者623例)のレビューによると、シナモンの摂取は2型糖尿病患者の血圧を下げる効果がありましたが、肥満度、体重、ウエスト周囲径には影響しませんでした。著者らは、これらの研究では参加者が多くなかったこと、喫煙、身体活動、食事など血圧に影響を与える他の因子が評価されていなかったことを指摘しています。
  • 2020年に報告された16件の研究(参加者1,025例)を対象とした2つ目のレビューでは、シナモンの摂取が2型糖尿病患者のトリグリセリド(中性脂肪)、総コレステロール、低密度リポ蛋白(low-density lipoprotein:LDL) コレステロールのレベルを低下させることがわかりました。これらの減少は、欧米諸国で実施された研究、より質の高い研究、2カ月以上継続した研究では、それほど顕著ではありませんでした。

その他のハーブ系サプリメント

糖尿病について研究されている他のハーブ系サプリメントには、ゴーヤ、さまざまな中薬(中医学の薬草療法)、フェヌグリーク(コロハ)朝鮮人参、オオアザミなどがあります。全体的に、研究の数、規模、質は限られており、これらのハーブ系サプリメントが有用であることは証明されていません。

安全性

  • 糖尿病患者に対するハーブ系サプリメントの安全性に関する決定的な情報はほとんどなく、ハーブ系サプリメントの中には副作用があるものもあります。
  • シナモンの摂取は、1日6グラム以下の摂取量であれば、健康上のリスク(危険)はないようです。朝鮮人参で最も多い副作用は頭痛、睡眠障害および消化器系の問題です。
  • カッシア・シナモンはアメリカおよびカナダで最も多く販売されているシナモンの種類ですが、クマリンと呼ばれる化学物質がさまざまな濃度で含有されるため、肝疾患を引き起こしたり、悪化させたりするかもしれません。一般的に、病気になるほど大量のクマリンがカッシア・シナモンに含まれることはありません。しかし、肝疾患を有する人などでは、カッシア・シナモンを大量に摂取すると症状・疾患が悪化するかもしれません。
  • シナモン、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)、アロエなどのハーブ系サプリメントを従来の糖尿病治療薬と併用すると、好ましくない副作用を引き起こす可能性があります。糖尿病治療薬を服用している人は、摂取しているハーブ系サプリメントについて今かかっている医療機関※に伝える必要があります。
マグネシウム(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け

マグネシウムは、豆類、種子類、ナッツ類、全粒穀物、ほうれん草など、多くの食品に多く含まれ、体内でブドウ糖を処理するために不可欠です。

  • 食事でのマグネシウム摂取量が多い人は、糖尿病の発症リスク(危険)が低い傾向があります。
  • 2021年に報告された13件の研究(糖尿病のリスクが高い参加者957例)のレビューでは、マグネシウム補充がインスリン感受性を改善するかもしれないことがわかりました。
  • 2022年に報告された18件の研究(糖尿病患者1,097例)のレビューでは、マグネシウム補充が血糖コントロールに有用であるかもしれないことが示されましたが、著者らは、これまでの研究は診療ガイドラインを示すには不十分であると述べています。

安全性

  • ダイエタリーサプリメントに含まれるマグネシウムは、上限値を超えて摂取すべきではありません。 ただし、今かかっている医療機関※が推奨する場合を除きます。(サプリメントや医薬品からのマグネシウム摂取・服用量の上限は、成人で1日350mgです)。
  • マグネシウムを大量に含むサプリメントは、下痢や腹部疝痛(痙攣)をおこす可能性があります。非常に高用量(1日あたり5,000 mg以上)を摂取した場合は生命にかかわります。

マグネシウムに関するさらなる情報は、ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)の「マグネシウム:一般向けファクトシート [英語サイト] 」をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]  

オメガ3脂肪酸

糖尿病や心血管系の問題に対するオメガ3脂肪酸の有用性については、相反する知見があります。

  • 2022年に報告された30件の研究(参加者2,459例)のレビューでは、研究の70%が糖尿病に関連する指標にオメガ3サプリメントの少なくとも1つの有意なプラスの有用性を示しました。オメガ3サプリメントは、HbA1c(過去数カ月間の平均血中グルコースを測定)には有意な影響を与えませんでしたが、空腹時血中グルコースとインスリン抵抗性の低下には有意な影響を与えました。レビューの著者らは、これらの知見を確認するためにはさらなる研究が必要であると述べています。
  • 2022年に報告された46件の研究(参加者4,991例)のレビューによると、オメガ3介入(主にサプリメント)は、総コレステロール、トリグリセリド、HDLコレステロール、HbA1c、およびC反応性タンパク質を有意に改善しました。先のレビューとは対照的に、今回のレビューでは、空腹時血中グルコースやインスリン抵抗性に対するオメガ3脂肪酸の有意な影響は認められませんでした。著者らは、オメガ3の種類、治療期間、用量が研究間で異なることが限界であるとしています。

安全性

  • あらゆるオメガ3サプリメントの副作用は一般的に軽度です。副作用は、口の中の不快な味、口臭、胸やけ、悪心、胃の不快感、頭痛、臭い汗などです。
  • オメガ3サプリメントは血液凝固に影響を与える医薬品と相互作用を引き起こすかもしれません。

オメガ3サプリメントに関するさらなる情報は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の「Omega-3 Fatty Acids(オメガ3脂肪酸)」[英語サイト] をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳

セレニウム(セレン)(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け
  • 2019年に報告された4件の研究(参加者241例)のレビューでは、セレニウム(セレン)が糖尿病に有用であるというエビデンスは示されませんでした。

安全性

  • セレニウム(セレン)の過剰な長期摂取は、悪心、下痢、皮膚の発疹、毛髪や爪の脱毛、神経系の異常など、有害な影響を及ぼす可能性があります。極端に高濃度のセレニウム(セレン)を摂取すると、呼吸困難、振戦、腎不全、心臓発作や心不全などの重篤な問題を引き起こす可能性があります。
  • セレニウム(セレン)は、化学療法薬のシスプラチンを含むいくつかの医薬品と相互作用するかもしれません。

セレニウム(セレン)に関するさらなる情報は、ODSの「Selenium: Fact Sheet for Consumers(セレニウム(セレン):一般向けファクトシート)」[英語サイト] をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳

ビタミン
  • 2022年に報告された178件の研究のレビューでは、ビタミンC(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)、D、Eを含むさまざまなサプリメントに関する成人の糖尿病患者に対する有用性を解析しました。初期の解析では、ビタミンC、D、E(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)がHbA1cを低下させることが示されましたが、その確実性は低く、インスリンやインスリン抵抗性を低下させる有用性のあるビタミンはありませんでした。質の低い研究を除外した後、有効的な減少において有意に有用性があったのはビタミンD(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)のみでした。少なくとも12週間以上の研究に限定して解析したところ、ビタミンDはHbA1c、空腹時血中グルコース、インスリン抵抗性を低下させました。しかし、著者らは、ビタミンDによる改善は小さく、臨床的差異に必要な最小量にも満たないとし、エビデンスの確実性も低いと述べています。著者らは、サプリメントは血中グルコースコントロールに有用ではないかもしれないという現在の推奨を、利用可能なエビデンスが裏付けていると結論付けています。
  • ビタミンD濃度が低いと、2型糖尿病の発症リスク(危険)が高まります。2020年に報告された9件の研究(参加者43,559例)のレビューによると、中等量から高用量(少なくとも1,000IU/日)のビタミンD補充は、糖尿病予備群の2型糖尿病リスクを有意に低下させることが明らかになりました。しかし、このレビューでは、一般人口を対象とした低用量のビタミンDに関する研究では、糖尿病リスクの低下は認められなかったことがわかりました。2020年に報告された8件の研究(参加者4,896例)を含む別のレビューでも、ビタミンDの補充は糖尿病予備群の2型糖尿病リスクを低下させるが、その恩恵は肥満のない人に限られる可能性が示唆されています。

安全性

  • ビタミンDの摂りすぎは有害です。血中のビタミンD濃度が非常に高い場合(375nmol/Lまたは150ng/mL以上)、悪心、嘔吐、筋力低下、混乱、疼痛、食欲不振、脱水、過度の排尿と渇き、腎臓結石を引き起こす可能性があります。ビタミンDの濃度が極端に高くなると、腎不全や不整脈を引き起こし、死に至る可能性もあります。(ビタミンDの高値は、ほとんどの場合、ダイエタリーサプリメントからビタミンDを過剰に摂取することによって引き起こされます。)

ビタミンDに関するさらなる情報は、ODSの「Vitamin D: Fact Sheet for Consumers(ビタミンD:一般向けファクトシート)」[英語サイト] をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳

その他のサプリメント
  • ポリフェノールは、お茶、大豆、コーヒー、ココア、果物、穀物、野菜などの食品や飲料に含まれる抗酸化物質です。さまざまな食品由来のポリフェノールが血中グルコースに影響を与え、糖尿病合併症の抑制や予防に有用であるかもしれないことを示すエビデンスは増えつつありますが、ポリフェノールを豊富に含むサプリメントや食品が糖尿病にどのように影響するかについては、まだ予備的なエビデンスしかありません。
糖尿病患者の栄養と運動について

栄養と運動は、糖尿病患者の健康的な生活習慣の重要な部分を占めます。よく食べ、体を動かすことで、以下のことが可能になります:

  • 血中グルコース値、血圧、コレステロールを目標範囲内に維持
  • 体重を減らす、または健康な体重をキープ
  • 糖尿病の問題を予防、または進行を防ぐ
  • 気持ち良く、イキイキと過ごす

さらなる情報は、National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(米国国立糖尿病・消化器疾患・腎臓病研究所:NIDDK)の「Diabetes Diet, Eating, & Physical Activity(糖尿病のための食事および運動)」[英語サイト] をご覧ください。

生活習慣の改善による糖尿病の予防
  • 2019年に報告された7件の研究(参加者4,090例)のレビューによると、糖尿病の発症リスクは、体重を減らし、身体活動を増やし、飽和脂肪が比較的少なく食物繊維の多い食事をとることを目的とした生活習慣への介入によって低下することがわかりました。このレビューの著者らは、2型糖尿病は特定の生活習慣の改善によって予防可能であり、積極的介入後もリスク(危険)の低下は何年も持続すると結論付けています。
  • 生活習慣改善プログラムによる糖尿病予防に関するさらなる情報は、「National Diabetes Prevention Program(全米糖尿病予防プログラム)」をご覧ください。

NCCIHによる研究助成

NCCIHは以下の研究を助成しています。

  • 糖尿病で心臓発作を起こした人の心臓の健康に対するキレーション療法
  • マリファナの体内代謝と2型糖尿病発症リスク(危険)への影響
  • 糖尿病予防におけるビタミンDとオメガ3の補充

さらに考慮しなければならないこと

  • 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は消費者に、糖尿病の予防、治療、治癒を標ぼうし、違法に販売されている危険な製品を購入しないよう警告しています。このような製品には「血糖値が自然に下がる」または「2型糖尿病に打ち勝つ安価な治療法」などと標ぼうされています。これらの製品は有害な成分が含まれ、実際の摂取内容物がラベル表記と異なるかもしれません。
  • 効果が実証された糖尿病治療の代わりに不正な糖尿病製品を使用すると特に危険です。適切な疾病管理を行わなければ、糖尿病患者は重篤な合併症を発症するリスク(危険)が高くなります。
  • ダイエタリーサプリメントは医薬品や他のダイエタリーサプリメントと相互作用するかもしれないことに注意してください。さらなる情報は、NCCIHの「科学を知ろう:薬とサプリメントの相互作用」[英語サイト] をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳
  • 自分の健康を守るために、自分が行っている補完療法について今かかっている医療機関※に相談しましょう。そうすることで、十分な情報を得た上で意思決定をすることができます。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

関連トピック

消費者向け

医療関係者向け

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。
米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス(Telecommunications relay service:TRS)7-1-1
ウェブサイト: https://www.nccih.nih.gov [英語サイト]
Email:info@nccih.nih.gov(メール送信用リンク)

■ 科学を知ろう

NCCIHと米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。科学を知ろうは、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

Explaining How Research Works(研究のしくみを知る)(NIH)[英語サイト]

科学を知ろう:科学雑誌の論文を理解する方法

Understanding Clinical Studies(臨床試験を理解する)(NIH)[英語サイト]

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「補完・統合医療に関する情報をPubMed® で検索する方法」をご覧ください。

Type 2 Diabetes and Dietary Supplements—Systematic Reviews/Reviews/Meta-analyses(2型糖尿病とサプリメント – システマティックレビュー/レビュー/メタアナリシス)(PubMed®)[英語サイト]

Type 2 Diabetes and Dietary Supplements—Randomized Controlled (Trials2型糖尿病とサプリメント - ランダム化比較試験)(PubMed®)[英語サイト]

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/ [英語サイト]

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

ウェブサイト:https://www.nih.gov/health-information/nih-clinical-research-trials-you [英語サイト]

■ National Diabetes Education Program(米国国立糖尿病教育プログラム)

National Diabetes Education Programは、NIHと米国疾病予防管理センターが後援しており、多くの連邦、州、および地方のパートナーが参加しています。そのサービスには、糖尿病に関する情報や出版物が含まれています。

米国内の無料通話:301-496-3583
ウェブサイト:https://www.niddk.nih.gov/health-information/community-health-outreach/information-clearinghouses [英語サイト]

■ MedlinePlus

健康に関する質問に答えるのに役立つリソースを提供するために、MedlinePlus(米国国立医学図書館のサービス)では、国立衛生研究所をはじめ、他の政府機関や健康関連組織からの信頼できる情報をまとめています。

「Information on diabetes(糖尿病に関する情報)」[英語サイト]
ウェブサイト:https://www.medlineplus.gov [英語サイト]

参考文献

[クリニカル・ダイジェスト]
2型糖尿病に対するダイエタリーサプリメント:概要
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英語版最終アクセス確認日:2024年12月

総じて、サプリメント(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)が2型糖尿病の管理や予防に有用であることを示す科学的根拠(エビデンス)は十分ではありません。ダイエタリーサプリメントの中には、2型糖尿病に関連するいくつかの症状・病態に対して何らかのベネフィット(有益性)が期待できるものもあります。 しかし、ダイエタリーサプリメントの使用が腎疾患につながるという複数の症例報告があります。米国では、糖尿病は慢性腎臓病と腎不全の主な原因であるため、これらの症例報告は特に懸念すべきものであることに留意してください。サプリメントの使用に関しては、腎疾患の患者や腎疾患のリスクのある患者の場合、厳密に監視されなければなりません。

この概要では、糖尿病に対して研究されている多くのサプリメントのうち、α-リポ酸、クロミウム、マグネシウム、オメガ3など臨床試験が行われているものを中心に取り上げています。

[クリニカル・ダイジェスト]
2型糖尿病に対するダイエタリーサプリメント:科学的見解

現在の研究の補足とまとめ

α−リポ酸

α-リポ酸は糖尿病性腎症の症状を改善するかもしれませんが、糖尿病の他の症状に対する有用性について結論を出すには十分なエビデンスがありません。

糖尿病とαーリポ酸に関するさらなる情報は「2型糖尿病とダイエタリーサプリメント:科学的見解」をご覧ください。

クロム(クロミウム)

クロミウムは血糖コントロールの改善に役立つかもしれませんが、研究では相反する結果が示されています。さらに、クロミウムが糖尿病の発症予防に何らかの役割を果たしていることを示す明確なデータはありません。

シナモン

臨床試験のデータでは、糖尿病に対するシナモンの有用性については相反する結果が示されています。

マグネシウム

マグネシウム不足の人は2型糖尿病を発症するリスクが高く、このことから、マグネシウム補充は、2型糖尿病患者や2型糖尿病を発症するリスクがある人に有益な可能性があることが示唆されています。しかし、臨床試験の結果からは、明確なベネフィット(有益性)はまだ示されていません。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸の2型糖尿病発症リスク軽減における役割については多くの研究がなされていますが、オメガ3脂肪酸のサプリメントが糖尿病患者のグルコースレベルに影響を与えるかどうかについては、相反するデータがあります。

レスベラトロール

レスベラトロールが糖尿病患者の血糖コントロールに有用である可能性を示す、確実性の低いエビデンスはいくつかありますが、決定的な結論を出すには、より多くの研究を行う必要があります。

科学文献

患者のための情報

[クリニカル・ダイジェスト]
2型糖尿病に対するダイエタリーサプリメント:科学的見解
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英語版最終アクセス確認日:2024年12月

総じて、サプリメント(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)が2型糖尿病の管理や予防に有用であることを示す科学的根拠(エビデンス)は十分ではありません。ダイエタリーサプリメントの中には、2型糖尿病に関連するいくつかの症状・病態に対して何らかのベネフィット(有益性)が期待できるものもあります。しかし、ダイエタリーサプリメントの使用が腎疾患につながるという複数の症例報告があります。米国では、糖尿病は慢性腎臓病と腎不全の主な原因であるため、これらの症例報告は特に懸念すべきものであることに留意してください。サプリメントの使用に関しては、腎疾患の患者や腎疾患のリスクのある患者の場合、厳密に監視されなければなりません。

α−リポ酸

α-リポ酸は糖尿病性腎症の症状を改善するかもしれませんが、糖尿病の他の症状に対する有用性について結論を出すには十分なエビデンスがありません。

研究でわかったことは?
  • 2019年に報告された12件の研究を対象としたシステマティックレビューおよびメタアナリシスの結果、α-リポ酸は総コレステロールトリグリセリドと低密度リポタンパク質-コレステロール(Low Density Lipoprotein-cholesterol:LDL)レベルを減少させることができるかもしれませんが、高密度リポタンパク質-コレステロール(High Density Lipoprotein-cholesterol:HDL)のレベルに影響を与えませんでした。
  • 2021年に報告では、α-リポ酸とバルサルタンの併用療法に関する11件の研究による解析で、併用療法は糖尿病性腎症患者において、尿中アルブミンレベルと酸化ストレスを有意に減少させ、抗酸化能を増加させ、腎機能障害を軽減しうると結論付けました。
安全性
  • α-リポ酸は、適切な量を経口投与すれば安全であると考えられます。
  • α−リポ酸のサプリメントを高用量で摂取すると胃腸障害がおこる場合があります。
  • α-リポ酸は他の医薬品と相互作用するかもしれません。

クロム(クロミウム)

クロミウムは血糖コントロールの改善に役立つかもしれませんが、研究では相反する結果が示されています。さらに、クロミウムが糖尿病の発症予防に何らかの役割を果たしていることを示す明確なデータはありません。

研究でわかったことは?
  • 2021年に報告された24件の研究の解析によると、2型糖尿病患者にクロミウムを補充すると、総コレステロールとトリグリセリドのレベルが低下し、脂質プロファイルがわずかに改善するかもしれないことがわかりました。しかし、クロミウムの脂質低下作用は小さく、臨床的意義はないかもしれません。2022年に報告された10件の研究のシステマティックレビューおよびメタアナリシスの結果、糖尿病患者へのクロミウム補充は空腹時血中グルコースレベルにも血中脂質レベルにも影響を及ぼさないことがわかりました。しかし、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の有意な減少が観察されました。
  • 2020年に報告された28件の研究を対象としたシステマティックレビューおよびメタアナリシスの結果、クロミウムを補充した糖尿病患者において、空腹時血漿グルコース、インスリン、HbA1c、インスリン抵抗性のホメオスタシス(恒常性)モデル評価が有意に低下したことが明らかになりました。
安全性
  • クロミウムサプリメントは、胃痛、頭痛、不眠、気分の変化、腹部膨満を引き起こすかもしれません。
  • クロミウムの大量摂取後、腎障害や筋肉障害、皮膚反応など重篤な健康被害が引き起こされるという報告が数件あります。

シナモン

臨床試験のデータでは、糖尿病に対するシナモンの有用性については相反する結果が示されています。

研究でわかったことは?
  • 計577例が参加した10件のランダム化比較試験についての2012年のコクランのシステマティックレビューでは、1型糖尿病と2型糖尿病に対するシナモンの使用を支持する証拠は十分に得られませんでした。
  • 2020年に報告された16件の研究を対象としたシステマティックレビューおよびメタアナリシスと同じグループによる2020年に報告された9件の研究を対象とした別のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、2型糖尿病患者へのシナモンの補充は、プラセボと比較して、トリグリセリド(中性脂肪)、総コレステロール、低密度リポ蛋白(low-density lipoprotein:LDL) 、血圧の低下を引き起こすかもしれないことが示されました。
  • 2019年に報告された糖尿病患者および糖尿病前症患者を対象とした16件の研究の解析では、シナモンは空腹時血中グルコースを有意に低下させましたが、HbA1cおよび脂質プロファイルには影響しなかったと結論づけました。2019年に報告された18件の研究の別の解析でも、同様の結果が述べられています。しかし、いずれのレビューも、研究には高い異質性があり、結果は慎重に受け止めるべきであると述べています。
安全性
  • アメリカとカナダで販売されている最も一般的なシナモンであるカシアシナモンには、クマリンという物質がさまざまな量で含まれており、大量に摂取すると肝疾患を引き起こしたり悪化させたりするかもしれません。

マグネシウム

マグネシウム(eJIMサイト内:一般向け医療関係者向け)不足の人は2型糖尿病を発症するリスクが高く、このことから、マグネシウム補充は、2型糖尿病患者や2型糖尿病を発症するリスクがある人に有益な可能性があることが示唆されています。しかし、臨床試験の結果からは、明確なベネフィット(有益性)はまだ示されていません。

研究でわかったことは?
  • 2020年に報告された26件の研究を対象としたシステマティックレビューでは、マグネシウム補充は、2型糖尿病患者の空腹時血漿グルコースレベル、空腹時インスリンレベル、インスリン抵抗性の指標、トリグリセリドレベル、血圧を低下させることがわかりました。
  • 2021年に報告された2型糖尿病患者を対象とした7件の研究のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、マグネシウムの補充はLDLレベルの有意な低下を引き起こしましたが、トリグリセリド、総コレステロール、HDLのレベルには有意な影響を及ぼさないことがわかりました。
  • 2021年に報告された25件の研究を対象としたシステマティックレビューおよびメタアナリシスは、マグネシウムの経口補給は糖尿病患者の空腹時血中グルコースを低下させることができると結論づけました。さらに、糖尿病発症リスク(危険)の高い人では、血漿グルコースレベルだけでなくインスリン感受性マーカーも改善しました。
安全性
  • マグネシウムを高用量含むサプリメントは、下痢や腹部疝痛(痙攣)をおこす可能性があります。非常に高用量(1日あたり5,000 mg以上)を摂取した場合は生命にかかわります。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸の2型糖尿病発症リスク低減における役割については、多くの研究が検証されていますが、オメガ3脂肪酸の補充が糖尿病患者のグルコースレベルに影響を及ぼすかどうかについては、相反するデータがあります。

研究でわかったことは?
  • 2017年の米国心臓協会(American Heart Association)の科学的報告では、10,000人を超える参加者を含む5件の試験に基づき、オメガ3脂肪酸のサプリメントは糖尿病患者または糖尿病のリスク(危険)がある人における心血管疾患の予防に対して、ベネフィット(有益性)は、ランダム化比較試験からの全体的なエビデンスからは示されなかったと結論づけられました。
  • 2008年に報告された23件のランダム化比較試験(参加者1,075例)についてコクランのシステマティックレビューでは、2型糖尿病におけるオメガ3脂肪酸補充は、血糖コントロールや空腹時インスリンに対して統計学的に有意な有用性がないことがわかりました。
  • 2022年に報告されたオメガ3と糖尿病に関する30件の研究のレビューおよびメタアナリシスによると、オメガ3脂肪酸サプリメントは空腹時血中グルコースとインスリン抵抗性マーカーを有意に減少させました。
  • 2020年に報告された12件の研究のメタアナリシスでは、2型糖尿病患者に対する魚油の補充は血糖コントロールに影響を与えないことが明らかになりました。
  • 2019年に報告された83件の研究のメタアナリシスおよびレビューでは、オメガ3脂肪酸サプリメントは血漿グルコース、空腹時インスリン、HBA1c、インスリン抵抗性マーカーにほとんど影響を及ぼさないと結論づけられました。2022年に報告されたオメガ3脂肪酸サプリメントに関する26件の論文メタアナリシスおよびレビューでも、オメガ3脂肪酸サプリメントは糖尿病患者の血糖アウトカムを改善しなかったという同様の結論が得られました。
安全性
  • オメガ3系脂肪酸サプリメントは、通常、副作用はありません。副作用が起こる場合は、通常、軽度の消化器症状ですみます。

レスベラトロール

レスベラトロールが糖尿病患者の血糖コントロールに有用である可能性を示す、確実性の低いエビデンスはいくつかありますが、決定的な結論を出すには、より多くの研究を行う必要があります。

研究でわかったことは?
  • 2020年に報告されたコクランのシステマティックレビューでは、成人の2型糖尿病患者におけるレスベラトロールサプリメントに関する3件の研究(参加者50例)が評価されました。これらの研究は短期間のものでしたが、レスベラトロールが血圧を下げ、高用量レスベラトロール(1,000mg以上)が空腹時血中グルコースを下げることを示しました。これらの研究では、HbA1cレベルとインスリン抵抗性については中立的な効果が示されましたが、その確実性は非常に低いものでした。
  • 2022年に報告された19件の研究(患者総合計1151例)のメタアナリシスで、レスベラトロールの高用量補充は空腹時血中グルコースと血圧を有意に低下させることができると結論づけられました。しかし、レスベラトロールはトリグリセリドもHDLコレステロールもレベルを改善しませんでした。
  • 2022年に報告された17件の研究を対象とした別のメタアナリシスでは、レスベラトロールは空腹時血中グルコースと収縮期血圧を低下させる可能性があると結論づけられましたが、研究者らは、血糖コントロールを助けるレスベラトロールの能力を十分に評価するためには、さらなる研究が必要であると指摘しています。
安全性
  • レスベラトロールは経口で使用しても安全なようです。
  • レスベラトロールは、他の医薬品、特に抗凝固剤や抗血小板剤、サプリメントと相互作用するかもしれません。

参考文献

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
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更新日:2025年3月10日

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

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