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慢性疼痛
Chronic Pain
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
- 慢性疼痛に対する補完療法
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英語版最終アクセス確認日:2024年12月要点は?
慢性疼痛に対する補完療法について解明されていることは?
- 鍼治療、催眠療法、マッサージ療法、マインドフルネス瞑想、音楽による介入、脊椎マニピュレーション、太極拳、気功、ヨガなどの補完療法が、痛みを伴う症状・疾患の管理に有用であるかもしれないことを示唆する科学的根拠(エビデンス)が増えています。
慢性疼痛に対する補完療法に関して、これまでに知られていることは?
- 慢性疼痛に対して研究されている心理的・身体的アプローチ(鍼治療、瞑想、ヨガ、マッサージ療法など)は、安全性実績は良好ですが、すべての人にリスク(危険)がないわけではありません。補完療法の安全性は、健康状態や特別な状況(妊娠など)に左右されるかもしれません。ダイエタリーサプリメントなどの栄養補助食品を検討している場合は、天然=安全とは限らないこと、ダイエタリーサプリメントによっては副作用や薬との相互作用があることを忘れないでください。
慢性疼痛とは?慢性疼痛を看過できない理由は?
慢性疼痛とは、数カ月(3~6カ月とさまざまな定義があるものの、「通常の治癒」と比較すると明らかに長い期間)以上持続する痛みをいいます。慢性疼痛は、よくみられる問題です。2019年に米国国民健康調査の結果:
- 米国成人の約20.4%が慢性疼痛(過去3カ月間、ほとんどの日または毎日痛むと定義)を抱えている
- 米国成人の約7.4%が高インパクトの慢性疼痛(過去3カ月間、ほとんどの日または毎日、生活や仕事の活動が制限される慢性疼痛と定義)を抱えている。
- さらなる情報
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- 慢性疼痛は、高齢になるにつれて一般的になります。これは、変形性関節症など、痛みを引き起こす健康上の問題が、高齢になるにつれて一般的になるためです。退役軍人も慢性疼痛のリスク(危険)が高いグループです。米国国民健康調査データによると、一般的な痛みと重度の痛みの両方とも、非退役軍人よりも退役軍人に多く見られます。慢性疼痛は、米国では都市部よりも農村部で多く見られます。
- 2010年から2017年にかけてのNHISサンプル成人コアおよび成人機能障害補足調査のデータ解析によると、慢性疼痛の有病率は人種およびヒスパニック系の出自によって異なり、最近の出版物では非ヒスパニック系アメリカインディアン/アラスカネイティブの回答者の間で最も高い割合が、非ヒスパニック系アジア人の間で最も低い割合が示唆されています。
- 慢性疼痛のある全ての人が医療機関によって健康障害と診断されてはいませんが、全国調査によると診断を受けた中で圧倒的に多い症状は腰痛と変形性関節症でした。診断結果の中で他にも一般的であったのは、関節リウマチ、偏頭痛、手根管症候群、線維筋痛症でした。
- 慢性疼痛の原因となり得るのは、基礎疾患や健康状態、傷害、医学的処置(手術など)、炎症または神経系の問題(この場合、「神経因性疼痛」と呼ばれる)、または未知の原因などです。慢性疼痛は生活の質や生産性に影響を及ぼし、動作困難、睡眠障害、不安、うつ病などの問題を伴うことがあります。1
- 慢性疼痛のさらなる情報は、米国「国立神経疾患・脳卒中研究所 (National Institute of Neurological Disorders and Stroke:NINDS)」のウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。
- 1 特定の慢性疾患のいくつかは、痛みを生じたり、併発したりすることがあります。このような問題を複数抱えている人もいます。これらの症状には、慢性疲労症候群、子宮内膜症、線維筋痛症、間質性膀胱炎(疼痛を伴う膀胱症候群)、過敏性腸症候群、顎関節機能不全、外陰部痛(慢性の外陰の疼痛)などがあります。これらの疾患が共通の原因によるものであるかどうかは知られていません。
慢性疼痛に対する補完療法の科学的見解
科学的根拠(エビデンス)に基づき、一部の補完療法は慢性疼痛の管理に役立つ可能性があることが示唆されています。
このファクトシートでは、慢性疼痛に対する補完療法として研究されてきた療法すべての科学的研究を包括的に説明することは割愛します。この項では、よくみられる痛みに対して用いられる療法の一部について、研究の状況に焦点を当ててまとめています。
- 慢性疼痛一般
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最近行われた一部の研究は、痛みを伴う特定の疾患ではなく慢性疼痛一般に対する補完療法の効果に着目しています。
- 2017年のレビューでは、オピオイド危機を念頭に置いて補完療法を検討し、どの療法が慢性疼痛の緩和とオピオイド療法による疼痛管理の必要を減らすのに有用か調べました。鍼治療、ヨガ、リラクゼーション療法 、太極拳、マッサージ療法、オステオパシーまたは脊椎マニピュレーションが慢性疼痛に多少有効であることを示唆する科学的根拠(エビデンス)は認められましたが、患者のオピオイドの必要を減らすことを示唆するエビデンスは鍼治療にしか認められませんでした。
- 一般的にテトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol:THC)とカンナビジオール(cannabidiol:CBD)の両方を含む 大麻(マリファナ) 由来の物質を含む製品は、短期間の研究で慢性疼痛に対する有用性が検証されています。THCとCBDの比率が高い経口製品や、THCとCBDの量がほぼ等しい舌下製品は、短期的には慢性疼痛を軽減するかもしれませんが、めまいや眠気などの副作用があるかもしれません。他のカンナビノイド製品や長期使用の影響については、詳しいことはわかっていません。
- いくつかの研究によると、催眠療法は、患者が十分な回数(少なくとも8回)のセッションに参加すれば、慢性疼痛が軽減するかもしれません。
- 慢性疼痛に関する研究では、マインドフルネスに基づく介入と認知行動療法は、痛みの強さを軽減し、身体機能を改善する上でどちらも有用であり、2つのアプローチの間に重要な違いはないことが示されました。慢性疼痛に対する心理的介入としては、認知行動療法が主流です。
- 音楽による介入は、慢性疼痛患者の自己申告による疼痛や抑うつ症状を軽減することが研究で示されています。その有用性は、研究者ではなく患者が音楽を選んだ場合に大きくなりました。
- 背部痛や頚部痛
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- 複数の研究から得られた個々のデータを大規模にレビューしたところ、背部痛や頚部痛に対して、鍼治療は無治療や偽鍼治療よりも有用であることが示されました。鍼治療と無治療の差は、鍼治療と偽鍼治療の差より大きいものでした。2017年の米国内科専門医会(American College of Physicians:ACP)の診療ガイドライン(医療提供者に対するガイダンス)は、急性および慢性腰痛管理のための非薬物療法の選択肢として、鍼治療を含めています。
- 腰痛に対するマッサージ療法の評価では、マッサージ療法が有用であるという弱いエビデンスが見つかっています。ACPのガイドラインでは、質の低いエビデンスに基づき、急性腰痛に対する選択肢としてマッサージ両方を推奨していますが、慢性腰痛に対するマッサージ療法は推奨していません。マッサージ療法は、首の痛みに有用かもしれませんが、その効果は短期間しか持続しないものかもしれません。
- 研究によると、マインドフルネス・ストレス低減法は、慢性腰痛のわずかな改善と関連しています。ACPガイドラインでは、中等度のエビデンスに基づき、慢性腰痛に対する選択肢として、マインドフルネス・ストレス低減法を推奨しています。
- 漸進的筋弛緩法は、ACPの治療ガイドラインで慢性腰痛の治療の第一歩として提案されているいくつかの非薬物療法のひとつです。漸進的筋弛緩法は、腰痛と背部機能の中程度の改善につながる可能性があるというエビデンスがあります。
- バイオフィードバック(生体自己制御)は、腰痛を中程度改善するかもしれません。ACPの治療ガイドラインでは、慢性腰痛の治療の第一歩として提案されている非薬物療法のひとつです。
- 2017年のACPガイドラインは、急性および慢性腰痛両方の選択肢として、脊椎マニピュレーションを含めています。慢性的な非特異的頚部痛を持つ人々において、脊椎マニピュレーションが疼痛を軽減し、機能を改善することができるという低~中程度の質のエビデンスがあります。
- 太極拳は単独で、あるいは理学療法に加えて行うことで、腰痛患者の疼痛の強さを軽減し、日常生活機能を改善する可能性があります。ACPガイドラインには、慢性腰痛の治療の選択肢として太極拳が含まれています。
- 腰痛に対するヨガの研究では、ヨガは短期(1カ月から6カ月弱)と中期(6カ月から12カ月弱)の両方で有用であることが示されています。その有用性は他の種類の運動と同様です。2017年のACPガイドラインは、急性腰痛ではなく慢性腰痛の選択肢として、ヨガを含めています。ヨガの練習は、頚部痛の強さと頚部痛に関連する障害の両方を軽減することが示されています。
- 腰痛に対しては、いくつかの種類の薬用植物が評価されています。クリームや絆創膏など、ハーブであるカイエンを含有する外用剤が疼痛を軽減するというエビデンスがあります。2種類のハーブ(コンフリーとラベンダーオイル)を含む外用製品や、経口で使用される2種類のハーブ(ホワイトウィローバークとデビルズクロー)も有用である可能性がありますが、これらのハーブに関するエビデンスはカイエンペッパーほど強力ではありません。
腰痛についてのさらなる情報は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)のウェブページ「low-back pain(腰痛)」[英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
- 変形性関節症
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- 鍼治療は変形性膝関節症に伴う膝の痛みに有用かもしれません。変形性股関節症に有用かどうかについては、あまりエビデンスがありません。2019年に公表された米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)と関節炎財団(Arthritis Foundation)による診療ガイドラインでは、手、股関節、膝の関節炎に対する鍼治療の使用を条件付き(つまり弱く)で推奨していますが、鍼治療に関するエビデンスには議論の余地があり、有益な効果を示した研究のほとんどが変形性膝関節症に対するものであることを認めています。
- 低から中等度の質のエビデンスは、マッサージが関節炎に関連した痛みを軽減するのに有用かもしれないことを示唆しています。研究のほとんどは、関節リウマチよりもむしろ変形性関節炎に関するものでした。しかし、米国リウマチ学会と関節炎財団のガイドラインでは、エビデンスに乏しいとして、変形性股関節症や変形性膝関節症の管理にマッサージ療法の使用しないことを条件付きで(すなわち、弱く)推奨しています。
- 研究では、 太極拳を実践した変形性関節症の人々は、痛み、こわばり、平衡感覚、身体機能の改善を経験しました。米国リウマチ学会と関節炎財団のガイドラインは、変形性膝関節症や股関節症の管理に太極拳を強く推奨しています。
- 変形性膝関節症の人の痛み、機能、こわばりを改善するのに、 ヨガが有用かもしれないことを示唆する研究は限られています。米国リウマチ学会と関節炎財団のガイドラインは、より広範に研究されている太極拳との類似性に基づいて、条件付きで変形性膝関節症患者にヨガを推奨しています。
- 米国リウマチ学会と関節炎財団は、手、股関節、膝関節の変形性関節症の管理に関するガイドラインの中で、これら3つの部位のいずれかに関節炎がある患者にはグルコサミンを使用しないよう強く推奨しています。その論拠は、バイアスのリスクが最も低い研究では、グルコサミンがプラセボ(不活性物質)よりも有用であることが示されていないからです。このガイドラインでは、股関節や膝の変形性関節症に コンドロイチンやグルコサミンとコンドロイチンの配合剤を使用しないことも推奨しています。しかし、手の変形性関節症に対するコンドロイチンの使用については、コンドロイチンの明らかな安全性だけでなく、痛みを和らげる効果を示した単一の研究に基づいて、条件付きで推奨しています。
- 米国リウマチ学会と関節炎財団のガイドラインでは、変形性関節症に対する魚油の使用を条件付きで推奨しないとしています。その理由は、研究が1件しかなく、その研究では、魚油の高用量が低用量よりも有効であるという結果が示されなかったためです。本ガイドラインでは、全体的なエビデンスがベネフィット(有益性)が示されなかったため、変形性関節症に対する ビタミンD(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)の使用も条件付きで推奨しないとされています。
- 変形性関節症の痛みに対するジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)またはメチルスルホニルメタン(methylsulfonylmethane:MSM)に関する研究は、十分ではなく結論を出すに至っていません。膝や股関節の変形性関節症に対する S-アデノシル-L-メチオニン (SAMe)の エビデンスについては、結論が出ていません。
変形性関節症についてのさらなる情報は、NCCIHのファクトシート「osteoarthritis(変形性関節症)」[英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
- 関節リウマチ
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- バルネオセラピー(温泉療法)という言葉は、健康のために鉱(泉)水に入浴することや、泥パックの使用などの関連療法を指します。バルネオセラピーが関節リウマチの人々の生活の質を改善するのに有用かもしれないというエビデンスがあります。
- 魚油に含まれるオメガ3脂肪酸は、従来の薬物療法に加えて使用することで、関節リウマチに有益な効果をもたらすかもしれません。
- オメガ3脂肪酸以外の栄養学的アプローチは、関節リウマチに対する明確なベネフィット(有益性)を示していませんが、いくつかのダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け)、特にガンマリノレン酸(月見草オイル、ボラージシードオイル、ブラックカレントシードオイルに含まれる)とハーブのライコウトウ(サンダーゴッドバイン)に対する予備的なエビデンスがあります。
- 関節リウマチの患者における太極拳を評価した小規模な研究がいくつかありますが、このアプローチが役に立つかどうかは不明です。
関節リウマチについてのさらなる情報は、NCCIHファクトシート「Rheumatoid arthritis(関節リウマチ)」[英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
- 頭痛
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- 鍼療法は、片頭痛の頻度を減らす中等度〜低度のエビデンスと、緊張頭痛の頻度を減らす中等度〜低度のエビデンスが認められています。片頭痛予防のために鍼治療とさまざまな薬剤を比較した研究では、鍼治療の方がわずかに有用性が高く、鍼治療を受けた研究参加者は薬剤を受けた研究参加者よりも副作用のために研究を脱落する可能性がはるかに低いことがわかりました。
- 筋電図(electromyography:EMG)バイオフィードバックの 研究では、筋肉の緊張を測定するバイオフィードバックの一種で、この技法が緊張型頭痛に有用であることがわかっています。
- 片頭痛や緊張型頭痛に対するリラクゼーション法に関する いくつかの研究では、その技法を用いた人の頭痛頻度の減少などの改善が示されています。認知行動療法と併用するリラクセーション法に関するエビデンスが最も強いとされています。
- 脊椎マニピュレーションは、頚椎症性頭痛(首の問題に起因する頭の痛み)の頻度や強さを軽減するかもしれません。予備的なエビデンスによると、片頭痛にも有用かもしれません。
- わずかな研究で、ヨガの練習が頭痛の頻度、頭痛の持続時間、痛みの強さを軽減する可能性があり、その有益な効果は主に片頭痛よりも緊張型頭痛に見られることが示唆されています。
- 片頭痛については、いくつかのダイエタリーサプリメントが研究されています。コエンザイムQ10、ナツシロギク(フィーバーフュー)、マグネシウム(eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け) 、ビタミンB群のリボフラビンが片頭痛の頻度を減らすのに有用かもしれないというエビデンスがいくつかあります。しかし、これらのサプリメントは、いずれもエビデンスの報告数はわずかです。ハーブのバターバー(セイヨウフキ)は片頭痛の頻度を減らすようです。しかし、バターバーからは肝臓毒性の可能性についての深刻な懸念が提起されています。
- 最近の研究結果では、オメガ3脂肪酸を多く含む食事が片頭痛に有用かもしれないと示されています。オメガ3サプリメントが片頭痛の頻度や重症度を下げることは証明されていませんが、片頭痛発作の持続時間を短縮するかもしれないことを示唆するわずかなエビデンスがあります。
頭痛についてのさらなる情報は、NCCIHファクトシート「Headaches(頭痛)」[英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
- 線維筋痛症
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- 鍼治療が線維筋痛症に伴う疼痛に有用であることを示唆する、低~中等度の質のエビデンスがあります。
- マッサージ療法を5週間以上続けると、線維筋痛症の人の痛みが軽減し、他の症状も改善するかもしれないといくつかの研究で示されています。
- 太極拳が線維筋痛症の人々の痛みを軽減し、その他の症状を改善するのに有用である可能性を示唆するわずかな研究があります。
- バルネオセラピー(温泉療法)という言葉は、健康のために鉱(泉)水に入浴することや、泥パックの使用などの関連療法を指します。線維筋痛症の症状によっては、バルネオセラピーが有用かもしれないというエビデンスがあります。
- 線維筋痛症に対するバイオフィードバック(生体自己制御)、マインドフルネス、運動療法、リラクゼーションに基づく療法の有用性は、これらのアプローチに関するエビデンスの質が低いため不明です。
- ビタミンDの補給は、特にビタミンD欠乏症の人の線維筋痛症の痛みを軽減するかもしれません。
- 他のダイエタリーサプリメントが線維筋痛症の痛みを和らげるというエビデンスは不十分です。
線維筋痛症についてのさらなる情報は、NCCIHファクトシート「Fibromyalgia(線維筋痛症)][英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
- 過敏性腸症候群
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- エビデンスでは、鍼治療は偽鍼治療と比較して過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)の症状にそれ以上の有用性はないが、他の治療法と併用することで有用であるかもしれないと示唆しています。
- 2021年に公表された米国消化器病学会(American College of Gastroenterology:ACG)のIBS治療ガイドラインでは、一部の患者のグローバルなIBS症状の治療に腸(管)指向催眠療法やその他の腸管指向精神療法を用いることができると示唆されていますが、エビデンスの質は非常に低いものでした。
- プロバイオティクスは IBSの症状に有用かもしれませんが、プロバイオティクスの菌株によって有用性が異なる場合があります。2021年に公表されたACGガイドラインでは、どのプロバイオティクスが有用であるかという明確なエビデンスが現在のところ示されていないため、IBS症状の治療にプロバイオティクスを使用すべきではないと提言しています。
- ペパーミントに関する研究では、IBS患者の全体的な症状や腹痛に有用かもしれないことが示唆されており、ACGガイドラインでは、エビデンスは強くないものの、使用可能であるとしています。
過敏性腸症候群についてのさらなる情報は、NCCIHファクトシート「Irritable bowel syndrome(過敏性腸症候群)][英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
- 研究が少ない補完療法
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- 植物由来の製品である「クラトン(kratom)」の研究は初期段階であり、体内での効果、安全性、治療用途としての可能性(痛みの治療における使用を含む)など、さらに多くのことが解明される必要があります。
- レイキは、施術者が受ける人の体の上に軽く手を置くまたは上方に手をかざし、その人自身の治癒反応を促進することを目的とした療法です。レイキが痛みを和らげるのに有用かどうかを評価するのに十分な質の高い研究はありません。
- 磁気治療:静的磁石も電磁石も、疼痛に対する治療法として研究されています。静的磁石は磁場が変化しません。リストバンド、靴の中敷き、ブレスレット、ベッドパッドなどの製品に組み込むことができます。痛みのための静的磁石に関する研究はあまり多くなく、どのような種類の痛みにも有用であるという決定的なエビデンスはありません。電磁石は、電流が金属を帯電させると磁性を帯びます。現在の研究では、電磁療法はさまざまな筋骨格系の疼痛や変形性関節症の患者の痛みを和らげ、機能を改善することが示唆されていますが、そのデータはまちまちです。
安全性および副作用に関する科学的見解
どんな治療法でもそうですが、補完療法を用いる際は安全性を考慮することが重要です。安全性は、個々の治療法や用いる人の健康状態で異なります。痛みに対して補完療法の使用を検討しているまたはすでに使用している場合は、その安全性についてかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。
- 心理的・身体的アプローチの安全性
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- 鍼治療、催眠療法、マッサージ療法、マインドフルネス/瞑想、音楽による介入、リラクゼーション法、脊椎マニピュレーション、太極拳、気功、ヨガなどの心理的・身体的補完療法は、適切に行えば健康な人にとって一般的に安全です。
- 健康上の症状・疾患のある人や妊娠中の人は、これらの施術・療法の一部を変更したり、避けたりする必要があるかもしれません。
- 他の運動と同様に、太極拳やヨガなどのように運動を伴う補完療法は、筋肉痛を引き起こし、怪我のリスク(危険)を伴うことがあります。
- 施術者や講師が心身療法を正しく理解し、適切な安全予防措置を取ることが重要です。
- 特定の心身療法とその安全性などについては、NCCIHウェブサイトの「Health Topics A–Z list」[英語サイト]をご覧下さい。
- 鍼治療、催眠療法、マッサージ療法、マインドフルネス/瞑想、音楽による介入、リラクゼーション法、脊椎マニピュレーション、太極拳、気功、ヨガなどの心理的・身体的補完療法は、適切に行えば健康な人にとって一般的に安全です。
- 栄養アプローチの安全性
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- 「ナチュラル(天然)」は必ずしも「安全」を意味するとは限りません。ダイエタリーサプリメントには副作用があったり、薬との相互作用があったりするものもあります。
- 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、関節炎や痛みのためにプロモーション(宣伝・販売促進)されたいくつかのダイエタリーサプリメントが違法な処方薬を使用していたと国民に警告しています。
- 特定の天然物とその安全性などについては、NCCIHウェブサイトの「Health Topics A–Z list」[英語サイト]をご覧下さい。ダイエタリーサプリメントに関する一般的な情報については、NCCIHのウェブページ 「Dietary and Herbal Supplements(ダイエタリーサプリメントおよびハーブ系サプリメント」[英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
慢性疼痛の症状・疾患の治療に関するガイドライン
米国の医療専門機関は、複数の慢性疼痛の症状・疾患に対する治療ガイドラインを公表しており、その中で補完療法の使用について言及しています。
- さらなる情報
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- 米国内科学会(American College of Physicians)の診療ガイドラインでは、慢性腰痛疼痛の初期治療として非薬理学的アプローチの使用を勧めています。米国内科学会が提案する選択肢には、運動や認知行動療法などの従来の療法に加えて、鍼治療、マインドフルネスに基づくストレス軽減、太極拳、ヨガ、プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)、バイオフィードバック(行動療法)、脊椎マニピュレーションなどの補完療法が含まれます。
- 米国リウマチ学会と関節炎財団(Arthritis Foundation)は、手、股関節、膝の変形性関節症の管理に関するガイドラインを公表しており、さまざまな補完療法の使用に対する推奨または反対の意見が含まれています。例えば、このガイドラインでは、股関節または膝の変形性関節症に対して太極拳を使用することを強く推奨し、一方で、いずれの部位の変形性関節症に対してグルコサミンを使用しないことを強く推奨するとしています。ガイドラインの推奨事項については、このファクトシートの変形性関節症の章で詳しく説明しています。
- 米国消化器病学会の過敏性腸症候群の診療ガイドラインには、ペパーミントと腸管指向精神療法(腸管指向催眠療法を含む一連の療法)について条件付き(弱い)推奨がされています。このガイドラインでは、プロバイオティクスの使用について条件付きで推奨しないとされています。
- 2022年に公表された米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)の「疼痛に対するオピオイド処方のための診療ガイドライン」では、次のように結論付けられています:「複数の非侵襲的な非薬理学的介入が、慢性疼痛と機能を改善し、特異的な疼痛状態において小規模から中等度の有用性を示し、深刻な害と関連しないというエビデンスが存在します。」鍼治療、マッサージ療法、マインドフルネスに基づく介入、太極拳、ヨガなど、このファクトシートで取り上げた非薬物療法のいくつかは、CDCの診療ガイドラインでも慢性疼痛の種類によっては適切であると言及されています。本ガイドラインでは、非薬物療法と非オピオイド薬物療法による疼痛治療を適切に行うことを推奨しています。
さらなる情報は、「Pain Information for Health professionals(医療者向け疼痛情報)」[英語サイト]をご覧ください。
NCCIHによる研究助成
NCCIHは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の疼痛コンソーシアムの一員で、NIHの疼痛に関する研究の調整を担当しています。NCCIHが助成する研究は、慢性疼痛治療に用いられる補完療法の有効性と安全性に基づくエビデンスの確立に役立っています。
NCCIHはまた、NIH、国防総省、米国退役軍人省が共同で支援するイニシアチブである疼痛管理共同研究所(Pain Management Collaboratory)の主導機関でもあります。この共同研究所は、軍と退役軍人の医療システムにおいて、疼痛と併発する症状・疾患の管理のための非薬物療法の臨床試験を実施しています。
NCCIHは、NIH全体で取り組む「Helping to End Addiction Long-term Initiative®(長期にわたる依存症の撲滅を支援)」(別名:NIH HEAL Initiative®)において重要な役割を担っています。この取り組みは、オピオイドの誤用や依存症の予防と治療戦略の改善、および疼痛管理の強化に焦点を当てています。NCCIHは、疼痛管理に焦点を当てたいくつかのNIH HEAL Initiativeプログラムを主導または共同主導しています。
NCCIHは、NIH HEAL Initiative内のオピオイド処方を減らすための疼痛の管理に関する実践的・実装研究(Pragmatic and Implementation Studies for the Management of Pain to Reduce Opioid Prescribing:PRISM)プログラムを主導しています。PRISMは、医療システムに組み込まれた実用的試験研究プロジェクトを支援しています。これらの試験では、疼痛治療に対する複数の非薬理学的介入や非オピオイド介入の有用性を明らかにし、疼痛管理を改善しオピオイドへの依存を減らすための介入やガイドラインの導入の影響を評価します。
- NCCIHが資金提供する疼痛研究の詳細
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NCCIHの支援を受けて進行中の研究では、慢性疼痛に関連する以下のようなさまざまなトピックが調査されています。
- 慢性的な首の痛みを抱える人々に対するカイロプラクティックケアと太極拳の併用効果
- マインドフルネス瞑想が慢性的な痛みの緩和に役立つ可能性がある脳のメカニズム
- 慢性骨盤痛を抱える女性に対するグループヨガ介入の実現可能性
- 夜間の光と乱れた概日リズムが痛みに及ぼす可能性のある影響
また、NCCIHの組織内研究部局(Division of Intramural Research)は、痛みを知覚し、修正し、コントロールする際の脳の役割に着目した研究を行っています。研究プロジェクトでは、痛みを処理し調節する際の脳の役割や、感情や注意力、環境および遺伝的特徴などの因子が痛みの知覚にどのように作用するのかを研究しています。
慢性疼痛に対する補完療法をお考えの方へ
- 慢性疼痛または他の健康問題に対する標準ケアの代わりとして、あるいは医療機関の受診を先延ばしにするために、効果が証明されていない療法や関連製品を用いてはいけません。
- 利用を検討している療法や関連製品について、特に、安全性と効果に関するエビデンスについて、知識を身に付けてください。
- 慢性疼痛について、今かかっている医療機関※に相談しましょう。利用を検討している療法や関連製品について、今かかっている医療機関※に相談しましょう。質問があれば何でもお尋ねください。安全性や有用性について、アドバイスしてくれます。
- 脊椎マニピュレーションやマッサージ療法、鍼治療などの施術者による補完療法を検討している場合、信頼できる情報源(今かかっている医療機関※や最寄りの病院など)から施術者を紹介してもらいましょう。検討している補完療法の施術者のトレーニングと経験について調べてみましょう。あなたの痛みと同様の状態に対応した経験が施術者にあるかどうか尋ねてみましょう。
- ダイエタリーサプリメントの利用を検討している場合、使い方を誤ると健康に害を及ぼすこと、服用中の処方薬や市販薬あるいは摂取中の他のダイエタリーサプリメントと相互作用する可能性があることを忘れないでください。今かかっている医療機関※があなたにアドバイスしてくれます。妊娠中、授乳中、あるいは子供にダイエタリーサプリメントを与えることを検討している人は、今かかっている医療機関※に相談しましょう。さらなる情報については、NCCIHのウェブサイト「ダイエタリーサプリメント」[英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)
関連トピック
消費者向け
医療関係者向け
研究結果
- Psychological Effects of Yoga and Physical Therapy on Low-Back Pain and Disability(腰痛と障害に対するヨガと理学療法の心理的効果)[英語サイト]
- Diets Higher in Omega-3 Fatty Acids Reduce Headache Frequency and Severity in People With Frequent Migraines(オメガ3脂肪酸を多く含む食事が、頻繁に片頭痛を起こす人の頭痛の頻度と重症度を軽減)[英語サイト]
- A Single-Session Pain Management Skills Class Benefits Patients With Chronic Low-Back Pain(慢性腰痛患者を対象とした1セッションの疼痛管理スキルクラスが有効)[英語サイト]
関連するファクトシート
さらなる情報
■ NCCIH 情報センター
米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。
米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレコム・リレー・サービス(Telecommunications relay service:TRS)7-1-1
ウェブサイト:https://www.nccih.nih.gov[英語サイト]
Eメール:info@nccih.nih.gov(リンクは電子メールを送信します)■ 科学を知ろう
NCCIHと米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。科学を知ろうは、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。
科学を知ろう:科学雑誌の論文を理解する方法(NIH)
Understanding Clinical Studies(臨床試験を理解する)(NIH)[英語サイト]■ 国立神経疾患・脳卒中研究所 (NINDS; National Institute of Neurological Disorders and Stroke)
NINDSは、脳や神経系がどのように機能するかについての研究や神経疾患の治療に関する研究を行っています。
米国内の無料通話:1-800-352-9424
ウェブサイト:https://www.ninds.nih.gov/[英語サイト]■ 国立関節炎、骨格筋、皮膚疾患研究所 (NIAMS; National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases)
NIAMSの使命は、関節炎、骨格筋、皮膚疾患の原因、治療、予防に関する研究、この研究を行うための基礎および臨床科学者の訓練、これらの疾患の研究の進捗に関する情報の普及を支援することです。
米国内の無料通話:1-877-22-NIAMS
ウェブサイト: https://www.niams.nih.gov[英語サイト]■ PubMed®
米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「補完・統合医療に関する情報をPubMed® で検索する方法」をご覧ください。
Complementary Health Approaches for Chronic Pain—Randomized Controlled Trials(慢性疼痛に対する補完的健康法-無作為化比較試験)[英語サイト]
ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/[英語サイト]■ Cochrane Database of Systematic Reviews(システマティックレビューのコクランデータベース)
システマティックレビューのコクランデータベースは、国際的非営利組織であるコクラン・ライブラリー により作成されたエビデンスに基づくレビューのコレクションです。これらのレビューは、医療介入に関する臨床試験の結果を要約しています。要約は無料です。レビュー全文は購読のみです。
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謝辞
NCCIHは、この出版物の2023年版からの更新における貢献に対して次の人に感謝します。
David Shurtleff, Ph.D., NCCIH
- 慢性疼痛に対する心身療法:科学的根拠
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最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2019年9月線維筋痛症
最近のシステマティックレビューおよびランダム化臨床試験では、太極拳、気功、ヨガ、鍼治療、マインドフルネス、バイオフィードバック(行動療法)などの実践が線維筋痛症の症状緩和に有用である可能性を示す有望な科学的根拠(エビデンス)が得られています。現時点での診断基準が米国リウマチ学会より公表されています。治療は、医薬品治療(処方薬、鎮痛薬、NSAID[非ステロイド性抗炎症薬])および運動、筋肉強化トレーニング、認知行動療法、動作・身体意識プラクティス(movement/body awareness practices)、マッサージ、鍼治療、温泉療法などの非薬物介入などの個別化治療を行います。
研究でわかったことは?
- 2017年、欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism:EULAR)は、補完療法などの非薬物療法を評価した改訂版線維筋痛症管理の勧告を公表しました。この勧告度は、「(患者の価値観や好みを考慮した)望ましい影響と望ましくない影響とのバランス、有効性への信頼度、文献に基づいている」ということです。強い勧告は、エビデンスが示されていれば、すべてまたはほとんどすべての人がその療法を勧告するまたは勧告しないとする一方、弱い勧告は、ほとんどの人が勧告するが、少数派における大多数は勧告しない、ということを表します。
- 鍼治療、瞑想的な動きを伴う実践法(太極拳、気功、ヨガなど)、マインドフルネス・ストレス軽減法の評価に基づくと、それぞれの療法の評価は、弱い勧告でした。
- バイオフィードバック、水治療法、マッサージ療法の評価に基づくと、それぞれの療法の評価は、弱い勧告でした。
- カイロプラクティックの評価に基づくと、カイロプラクティックの評価は、強い勧告でした。
- 線維筋痛症の成人(226例)を対象とした2018年のランダム化比較試験では、高度で頻回に行う太極拳(週に2回)は、指導付きのエアロビクスと比較して、24週間の時点で症状の程度を緩和したことが認められました。また、患者はエアロビクスよりも、太極拳教室により参加する傾向にありました。
- 2015年のコクランレビューでは、ほとんどが女性を占める線維筋痛症の参加者(4,234例)を対象とした61件の試験を評価し、エビデンスが低いまたは非常に低いため、バイオフィードバック、マインドフルネス、動作療法、リラクゼーション法の有効性は不明であると結論付けました。
- 2013年のコクランレビューでは、参加者(計395例)を対象とした9件の研究を評価し、鍼治療が無治療または標準療法と比較して、線維筋痛症の人の痛みやこわばりを改善する低い~中等度のエビデンスを認めました。また、痛みまたは疲労の軽減、または睡眠または全般の健康的な生活改善において、鍼治療の効果は偽鍼治療と差異がないという中等度のエビデンスも認められました。
- 2018年の医療研究・品質調査機構(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)のシステマティックレビューでは、慢性疼痛の非侵襲的・非薬物治療を評価し、運動、認知行動療法、筋膜リリース、太極拳、気功、鍼治療、集学的リハビリテーション(multidisciplinary rehabilitation:MDR)は、少なくとも1カ月間、機能回復や疼痛を改善すると結論付けました。
安全性
- 鍼治療は、滅菌鍼を使用し有資格で経験のある鍼師が施術をすれば、安全だと考えられます。合併症の報告はほとんどありません。鍼治療関連の重篤な有害事象はまれですが、感染症、臓器損傷などがあります。
- 太極拳は比較的安全ですが、急性の腰痛、膝の痛み、骨折、捻挫、いつのまにか骨折を予防するために、太極拳の特定の動きを変更したり避けたりすることが必要な人もいます。
頭痛
頭痛に対するリラクゼーション法、バイオフィードバック、鍼治療、脊椎マニピュレーションなどの心身療法の研究結果では、これらの方法が頭痛を緩和し片頭痛に有用である可能性を示唆しています。
研究でわかったことは?
- 2017年のレビューは、頭痛に対する補完統合療法を評価した5件のメタアナリシス、7件のシステマティックレビュー、34件のランダム化比較試験に基づき、鍼治療、マッサージ、ヨガ、バイオフィードバック、瞑想が片頭痛および緊張型頭痛に対し肯定的な効果が得られたと結論付けました。そのレビューではまた、脊椎マニピュレーション、カイロプラクティック、水治療法が片頭痛に利益があると結論付けています。
- 瞑想・催眠療法・リラクゼーション法2019年のヨーロッパの研究では、の一次性頭痛の小児(9~18歳、131例)を対象とし、超越瞑想または催眠療法の有効性を調査し、漸進的筋弛緩法(アクティブ対照群)と比較しました。研究では、それぞれ3カ月の時点、9カ月の時点で臨床的に意義のある頭痛の減少(≥ 50%)が41%および47%の小児に認められましたが、両群の有意差はありませんでした。
- バイオフィードバック(行動療法)緊張型頭痛に対するバイオフィードバックの有効性は、数多くの研究で評価され、肯定的な結果が得られています。しかし、11件のランダム化比較試験を評価した2009年のシステマティックレビューでは、プラセボ、予防薬、他の治療法と比較し、バイオフィードバックの有効性に相反するエビデンスが認められたと結論付けました。数件の研究では、バイオフィードバックが片頭痛の頻度を減少したことが示されました。2007年の55件の研究を評価したメタアナリシスでは、バイオフィードバック介入に軽微な効果が認められ、その効果は平均17カ月の追跡期間にみられました。しかし2008年のレビューでは、バイオフィードバックは片頭痛に利益的な臨床的有効性を認めたものの、その有効性は特異的または非特異的であるかは不明でした。2016年のメタアナリシスでは、小児(計137人)を対象とした5件の研究を評価し、バイオフィードバックは小児の片頭痛に効果的な介入であるようでしたが、レビューアの評価における信頼性を向上するためにさらに研究が必要です。
- リラクゼーション法2017年のレビューでは、認知行動療法、バイオフィードバック、リラクゼーション法が慢性的片頭痛の症状を有意に改善することが認められました。緊張型頭痛に対するリラクゼーション法の有効性を支持するエビデンスは限定的です。2009年の8件の研究を評価したシステマティックレビューでは、リラクゼーション法は待機リスト群と比較して、一貫性のない結果が得られました。レビュー著者らは、現時点でのエビデンスに基づくと、リラクゼーション法が無治療またはプラセボよりも優れているとは言えないと結論付けました。53件の研究を評価した2008年のメタアナリシスでは、リラクゼーション法がバイオフィードバックよりも効果が弱いことが示唆されました。米国頭痛コンソーシアム・ガイドライン(85KB PDF)の片頭痛管理には、39件の比較試験のエビデンスに基づく行動療法および理学療法の勧告が記されています。そのガイドラインは、リラクゼーション法、リラクゼーション法を併用した温度バイオフィードバック、EMGバイオフィードバック、認知行動療法は、片頭痛予防の治療選択肢となる可能性が考えられ、片頭痛緩和の他の臨床的改善を達成するために予防薬との併用も考えられることを提言しています。
- 太極拳。太極拳が緊張型頭痛に有効かどうかの意義ある結論を導くにはデータが非常に限られています。1件の小規模試験(47例)では、15週間の太極拳のプログラムは、待機リスト対照群と比較して、緊張型頭痛の影響を軽減する有効性を示唆しています。
- 鍼治療。頭痛に対する鍼治療の有効性を評価した研究の結果を統合したところ、鍼治療の利益的な臨床効果が示されましたが、そのような効果は特異的または非特異的であるかは決定されず、積極的に調査を行っているところです。2012年の個別参加者のデータを用いたメタアナリシスでは、頭痛などの慢性疼痛の症状に対し、鍼治療が合理的な紹介先となる可能性があると結論付けました。
- マッサージ療法2件の小規模試験による限定的なエビデンスにより、マッサージ療法が片頭痛に役立つ可能性があることが示唆されていますが、明確な結論を引き出すことはできていません。これら2件の試験に関する2011年のシステマティックレビューでは、片頭痛の予防的管理に対し、マッサージ療法はプロプラノロールおよびトピラマートと同等に有効であると結論づけられました。
- 脊椎マニピュレーション頭痛に対する脊椎マニピュレーションに関する数多くのシステマティックレビューの知見には、矛盾がみられます。2011年のレビューでは、頭痛に対する脊椎マニピュレーションの利益の可能性を定義するには、複数の質の高いシステマティックレビューが必要であるとしています。
安全性
- リラクゼーション法は、一般的に健康な人には安全であると考えられますが、特定のリラクゼーション法は、てんかんの人、特定の精神障害のある人、虐待または精神的苦痛の経験がある人には症状を引き起こしたり、悪化させたりする可能性があるという報告がまれにあります。
- 鍼治療は、滅菌鍼を使用し有資格で経験のある鍼師が施術をすれば、安全だと考えられます。いくつかの合併症が報告されています。鍼治療関連の重篤な有害事象はまれですが、感染症、臓器損傷などがあります。
- 太極拳は比較的安全ですが、急性の腰痛、膝の痛み、骨折、捻挫、いつのまにか骨折を予防するために、太極拳の特定の動きを変更したり避けたりすることが必要な人もいます。
- 脊椎マニピュレーションの副作用は、一時的な頭痛、倦怠感、治療部位の不快感などがあります。頸部を中心に行うある種の脊椎マニピュレーションは、頸部動脈解離(CAD)と関連があります。このような解離はまれですが、脳卒中を引き起こす可能性があります。スポーツ、むち打ち、激しい嘔吐や咳などの首の急な動きでも、解離のリスクが増加する可能性があります。現時点でのエビデンスにおいて、脊椎マニピュレーションを受けた人のCADの発生率は低いですが、患者はこのリスクについて知っておく必要があります。
腰痛
慢性腰痛のある患者に向けた、米国内科学会(American College of Physicians:ACP)の最近のエビデンスに基づいた臨床診療ガイドラインでは、中等度のエビデンスに基づき、臨床医と患者は運動、集学的リハビリテーション、鍼治療、マインドフルネス・ストレス軽減法といった非薬物療法をまず始めに選択することを強く勧告しています。そのガイドラインでは、質の低いエビデンスに基づいて、太極拳、ヨガ、モーターコントロール・エクササイズ、漸進的弛緩法、バイオフィードバック、低出力レーザー療法、オペラント療法、認知行動療法、脊椎マニピュレーションを強く勧告しています。
研究でわかったことは?
- 脊椎マニピュレーションACPが公表した2017年の臨床診療ガイドラインでは、質の低いエビデンスに基づき、慢性腰痛の患者の治療として脊椎マニピュレーションをまず始めに選択することを強く勧告しています。2017年の臨床診療ガイドラインを支持するシステマティックレビューでは、6,000例を上回る人を対象とした32件のランダム化比較試験を評価し、痛みに対する軽微で短期の有効性を認めました。2010年の医療研究・品質調査機構(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)のシステマティックレビューでは、脊椎マニピュレーションはプラセボよりも有効であり、腰痛を緩和する医薬品と同等の効果があると結論付けました。脊椎マニピュレーションをマッサージまたは理学療法と比較した場合、一貫した差は認められませんでした。26件の臨床試験を評価した2011年のコクランレビューでは、慢性腰痛に対する脊椎マニピュレーションなどの異なる治療法の有効性を評価しました。著者らは、痛みの軽減および機能の改善に対し、脊椎マニピュレーションが他の介入と同等の効果があると結論付けました。ヨーロッパで行われた2018年の実用的なランダム化比較試験では、再発し長引く痛みのある参加者(328例)を対象とし、脊椎調整によるメンテナンスケアは、対処療法よりも煩わしい非特異的腰痛の人の52週間にわたる痛みの総日数を減少するのに有効でしたが、より多くの治療を行ったことが示されました。
- 鍼治療ACPが公表した2017年の臨床診療ガイドラインでは、中等度の質のエビデンスに基づき、慢性腰痛の患者の初期治療に、鍼治療を強く勧告しています。2017年の臨床診療ガイドラインを支持するシステマティックレビューでは、参加者(5,931例)を対象とした32件のランダム化比較試験を評価し、無鍼治療と比較して、鍼治療が痛みの程度の緩和および機能を改善することが認められました。医療研究・品質調査機構(AHRQ)の2018年のレビューでは、療法が及ぼす、少なくとも1カ月後の慢性腰痛の影響について調査しました。鍼治療は、偽鍼治療または標準ケアなどの対照群と比較して、疼痛と機能に対し1~6カ月の時点でわずかに優れた効果があることが認められました。1件の研究でも、12カ月を上回り優れた緩和が認められました。
- マッサージ療法2015年のコクランレビューでは、マッサージ療法によって腰痛が短期的に緩和する可能性があるというエビデンスが認められましたが、そのエビデンスは質の高いものではありませんでした。腰痛に対するマッサージ療法の長期的な効果は確立されていません。
- ヨガ:ACPが公表した2017年の臨床診療ガイドラインでは、質の低いエビデンスに基づき、慢性腰痛の患者の初期治療としてヨガを強く勧告しています。2017年の臨床診療ガイドラインを支持するシステマティックレビューでは、14件のランダム化比較試験を評価し、ヨガが疼痛スコアを軽減しましたが、その効果はわずかで必ずしも統計的に有意であるとは言えませんでした。2017年のコクランレビューでは、参加者(1,080例)を対象とした12件の試験を評価し、低い~中等度の確実性のエビデンスに基づき、非運動対照群と比較して、ヨガが3および6カ月の時点において腰の機能をわずか~中等度改善することが認められました。ヨガは、3および6カ月の時点の痛みにわずかですがより有効である可能性が示されましたが、効果サイズが予め定義された臨床的重要事項において最低値を満たすものではありませんでした。
- 2018年のAHRQのシステマティックレビューでは、慢性疼痛に対する非侵襲的・非薬物療法を評価し、運動、心理療法(主にCBT)、脊椎マニピュレーション、低出力レーザー療法、マッサージ、マインドフルネス・ストレス低減法、ヨガ、鍼治療、MDRが少なくとも1カ月間機能や痛みを改善すると結論付けられました。
安全性
- 脊椎マニピュレーションの副作用は、一過性の頭痛、倦怠感、治療部位の不快感などがあります。頚部を中心に行うある種の脊椎マニピュレーションは、頸部動脈解離(cervical artery dissections:CAD)と関連があります。こういった解離はまれですが、脳卒中を引き起こす可能性があります。スポーツ、むち打ち、激しい嘔吐や咳などの首の急な動きでも、解離のリスクが増加する可能性があります。現在のエビデンスにおいて、脊椎マニピュレーションを受けた人のCADの発生率は低いですが、患者はこのリスクについて知っておく必要があります。
- 椎間板ヘルニアによる痛みがある人は、腰部の施術により非常に低い確率でヘルニアの患部が悪化することがあるようです。脊椎マニピュレーションが上部(頚部)脊椎に及ぼすリスクは、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)のカイロプラクティックのファクトシートをご覧ください。
- 鍼治療は、滅菌鍼を使用し有資格で経験のある鍼師が施術をすれば、安全だと考えられます。鍼治療関連の重篤な有害事象はまれですが、感染症、臓器損傷などがあります。
- マッサージ療法は、熟練の施術者が行う場合、ほとんどリスクがないようです。しかし、マッサージ療法士は特定の症状には注意する必要があります。妊婦はマッサージ療法を避けたほうが良い場合もあります。出血性疾患の人、血小板減少症の人、抗凝固薬を服用している人などは強く深い圧のマッサージは避けましょう。マッサージは、傷などの皮膚が弱っている箇所は避けるべきです。
- 全般に臨床試験データは、このような研究の中で行われているヨガが、熟練の講師の指導下で実践されており、軽度の副作用の割合が低いことを示唆しています。しかし、大衆紙でヨガによる傷害(重篤な場合もある)が報告されています。健康に問題がある人は、副作用を予防するために、ポーズを変更または回避する助言ができる経験のある講師と一緒に行うとよいでしょう。
頸部痛
入手可能なエビデンスでは、頸部痛の鍼治療は無治療よりもよい鎮痛効果がある可能性を示しています。脊椎マニピュレーションは、頸部痛を緩和することが一部のエビデンスが示されていますが、ほとんどの研究は質の低い研究です。
研究でわかったことは?
- 手技療法慢性疼痛に対する手技療法(主にマニピュレーションまたはモビライゼーション)および鍼治療に関するレビューでは、利益の可能性についてのさまざまなエビデンスが認められ、さらに研究を行う必要性が強調されました。2015年のコクランレビューでは、参加者(計2,920例)を対象とした51件のランダム化比較試験を評価し、対照と比較して、頸部痛、機能、生活の質において胸部マニピュレーションの使用を支持するエビデンスがいくつか示されました。しかし、頸部マニピュレーションおよびモビライゼーションの結果はほとんどなく、さまざまでした。レビューアは、これらの知見が直後、短期、中期の追跡期間において、マニピュレーションおよびモビライゼーションがそれぞれのアウトカムに関して同様の結果を示したことを示唆しています。頸部マニピュレーションの複数回の施術により、直後、中期、長期の追跡期間において、痛みの緩和および機能の改善が得られました。マニピュレーションは、まれではあるものの重篤な有害事象のリスクがあるため、モビライゼーションのより厳格な研究、およびマニピュレーションとモビライゼーション対他の治療との比較を行う厳格な研究が必要です。2007年のレビューでは、臨床ガイドラインは頸部痛の手技療法の使用を勧告することが多いのですが、手技療法の立ち位置に関する全般の共通認識はありません。
- マッサージ療法2016年の4件のランダム化比較試験のレビューでは、マッサージ療法によって頸部痛に対し短期的な効果が得られる可能性があることが認められました。しかし、2013年のコクランレビューでは、頸部痛に対するマッサージ療法を調査した15件の試験を評価し、「非常に低いエビデンス」に基づいて、特定のマッサージ療法は痛みの軽減および機能の改善に有効である可能性が示されました。レビュー著者らは、頸部痛に対するマッサージ療法の有効性が不明であるため、現時点ではマッサージ療法の推奨ができないと結論付けました。
- 2018年のAHRQのシステマティックレビューでは、慢性疼痛に対する非侵襲的・非薬物療法を評価し、運動、低出力レーザー、アレクサンダー・テクニック、鍼治療が少なくとも1カ月間、機能改善や疼痛スコアの改善をすると結論付けました。
安全性
- 脊椎マニピュレーションの副作用は、一時的な頭痛、倦怠感、治療部位の不快感などがあります。頸部を中心に行うある種の脊椎マニピュレーションは、頸部動脈解離(cervical artery dissections:CAD)と関連があります。こういった解離はまれですが、脳卒中を引き起こす可能性があります。スポーツ、むち打ち、激しい嘔吐や咳などの首の急な動きでも、解離のリスクが増加する可能性があります。現在のエビデンスにおいて、脊椎マニピュレーションを受けた人のCADの発生率は低いですが、患者はこのリスクについて知っておく必要があります。
- 鍼治療は、滅菌鍼を使用し有資格で経験のある鍼師が施術をすれば、安全だと考えられます。合併症の報告はほとんどありません。鍼治療関連の重篤な有害事象はまれですが、感染症、臓器損傷などがあります。
変形性関節症
米国リウマチ学会が公表した臨床診療ガイドラインでは、膝、股関節、手の変形性関節症(osteoarthritis:OA)の治療に、エアロビクスや筋力トレーニング、(体重超過の場合)減量、さまざまな薬物療法または非薬物療法を勧告しています。そのガイドラインでは、変形性膝関節症の管理に太極拳、自己管理プログラム、歩行補助器具などの非薬物的方法を条件付きで勧告しています。鍼治療は、中等度から重度の慢性膝痛患者で人工膝関節全置換治療の候補者だが、その治療を受けることができない、または受けようとしない患者にも条件付きで勧告しています。
研究でわかったことは?
- 鍼治療10件のランダム化比較試験を評価した2016年のメタアナリシスでは、鍼治療が短期および長期の身体機能を改善する可能性を示しましたが、関節炎による慢性膝痛の人の痛みの軽減は短期間のみのようでした。2012年のメタアナリシスでは、鍼治療がOA関連痛に対し有用で、合理的な紹介先となる可能性があると結論付けました。メタアナリシスの著者は、真(実際)の鍼治療と偽鍼治療との有意差により、鍼治療はプラセボよりも優れていることが示されましたが、この有意差は比較的軽微でした。知見は、鍼治療による特定の効果以外の要因が、治療効果によるものであることを示唆しています。2008年のシステマティックレビューでは、変形性膝関節症の参加者(1,456例)の鍼治療の効果を調査した10件のランダム化比較試験を評価し、これらの研究が変形性膝関節症関連の痛みおよび身体機能の治療に鍼治療が有効であるエビデンスが得られたと結論付けました。2010年のシステマティックレビューでは、参加者(3,498例)を対象とした末梢のOAに対する鍼治療の効果を調査し、偽鍼治療と比較して、鍼治療はOA痛を短期間統計的有意に改善したことが認められたものの、利益はわずかで臨床的な意義はありませんでした。一方、鍼治療は、待機リスト対照と比較して、末梢のOAの人に対し、統計学的有意で臨床的に意義のある利益を示しました。
- マッサージ療法関節炎患者を対象とした7件のランダム化比較試験(参加者352例)に関する2017年のシステマティックレビューでは、マッサージ療法は疼痛の緩和および機能的アウトカムの改善に対し、非アクティブな治療よりも優れているという質の低い~中等度のエビデンスが認められました。2件のランダム化比較試験に関する2013年のレビューでは、疼痛の緩和および自己報告による身体機能の改善などの、前向きな短期的(6カ月未満)効果が認められました。8週間にわたって標準的なスウェーデン式マッサージ療法を受けた成人の変形性関節炎症患者を対象とした2006年のランダム化比較試験(参加者68例)の結果によって、疼痛と身体機能に対する統計的に有意な改善が示されました。
- 太極拳2016年の52週ランダム化単盲検比較有効性研究では、参加者(204例)を登録し、太極拳は変形性膝関節症に対し、理学療法の標準コースと同様の有益な効果が認められました。2013年のメタアナリシスでは、参加者(348例)を対象とした7件のランダム化比較試験を評価し、12週間の太極拳はOA参加者の症状改善および身体機能改善に利益があることが得られましたが、OA症状に対する太極拳のいかなる長期的な利益に対しても調査されていません。2013年のシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、参加者(252例)を対象とした5件のランダム化比較試験を評価し、太極拳は変形性膝関節症の参加者の疼痛、身体機能、こわばりを短期間改善する中等度のエビデンスが認められました。2009年の前向き単盲検ランダム化比較試験では、参加者(40例)を登録し、太極拳が疼痛、身体機能、うつ、自己効力感、生活の質の有意な改善が認められました。
- 2018年のAHRQのシステマティックレビューでは、慢性疼痛に対する非侵襲的・非薬物療法を評価し、変形性膝関節症に対し運動および超音波を推奨しています。変形性股関節症に対する運動、手技療法は機能や疼痛のスコアを少なくとも1カ月間改善しました。
安全性
- 鍼治療に関連する合併症はほとんどありませんが、軽度のアザまたは出血などの有害作用が起こる可能性があり、滅菌されていない鍼、または経験のない施術者の未熟な手技により感染症が起こる可能性があります。
- マッサージ療法は、訓練を受けたマッサージ療法士が適切に行えば、リスクはほとんどないようです。
- 太極拳は安全な実践法と考えられます。
関節リウマチ
臨床試験結果では、心身療法(リラクゼーション法、マインドフルネス瞑想、太極拳、ヨガなど)は従来の治療計画に加えて利益的な可能性がありますが、これらの実践法は痛みの緩和よりも他の側面を改善する可能性が示されています。
研究でわかったことは?
- 鍼治療鍼治療はさまざまな痛みに対し研究がされていますが、関節リウマチに関する鍼治療の研究はほとんどありません。数件の研究を調査した2017年のレビューでは、関節リウマチの治療に鍼治療の肯定的な役割が示されましたが、他の研究では肯定的なアウトカムは認められませんでした。2010年のコクランレビューでは、2件の研究(1件はRAに対する鍼治療、もう1件はRAに対する電気鍼治療)を評価し、ESR、CRP、疼痛、患者の全般的な評価、炎症のある関節数、疼痛のある関節数、全体的な健康、疾患活動性、鎮痛薬使用の低下に対する鍼治療の効果は認められませんでした。電気鍼治療の研究の知見は、電気鍼治療が症状のある膝痛を軽減する可能性を示したものの、少数のサンプル・サイズなど試験の質が低く、勧告から除外されました。
- マインドフルネス、バイオフィードバック、リラクゼーション法2017年のレビューでは、3件のランダム化比較試験を評価し、免疫機能改善に対するマインドフルネスの実践に関するエビデンスは増えてきているものの、関節リウマチに対する長期間の効果を決定する大規模で質の高い研究が十分に行われていないことが示されました。2010年のシステマティックレビューでは、参加者(2,021例)を対象とした31件の研究を調査し、RA関連の心身の症状に対するマインドフルネス瞑想、バイオフィードバック、リラクゼーション法などの心身療法の利益を評価しました。これらの手技が有用である可能性のエビデンスがいくつかありましたが、総じて研究結果はさまざまでした。
- 太極拳小規模研究数件が、RAに対する太極拳を調査しています。2007年のシステマティックレビューでは、太極拳が関節痛、炎症、疼痛に有効であることは示されていませんが、気分、生活の質、全般の身体機能を改善することが報告されています。15例を対象とした2010年の小規模研究では、太極拳が治療後および12週間後の追跡調査の時点で、下肢筋肉の機能を改善したことが認められましたが、疾患活動性または疼痛を軽減したエビデンスはありませんでした。
- ヨガ:2018年のメタアナリシスでは、変形性膝関節症および関節リウマチの人参加者(計1,557例)を対象とした13件の試験を評価し、定期的なヨガの実践は、関節炎の患者の膝関節炎の症状を緩和し、身体機能および健康的な生活を改善したことが認められました。2件の研究を評価した2017年のレビューでは、痛みに対するいくつかの利益的な効果が示されましたが、両研究に高いバイアスのリスクが認められたため、レビューアは関節リウマチに対するヨガの推奨は弱いと評価しました。ヨガは、関節炎に有益な運動の要素がいくつか入っており、その中には筋力と柔軟性の向上に役立つかつどう動作も含まれています。2013年のシステマティックレビューでは、参加者(計559例)を対象とした8件のランダム化比較試験を評価し、RA関連の痛みに対するヨガに非常に低いエビデンスを認めました。
安全性
- 鍼治療は、滅菌鍼を使用し有資格で経験のある鍼師が施術をすれば、安全だと考えられます。合併症の報告はほとんどありません。鍼治療関連の重篤な有害事象はまれですが、感染症、臓器損傷などがあります。
- ほとんどの研究は、太極拳がRAの人に対し比較的安全であるとしていますが、中には筋肉痛を訴える人もいます。
- 可動域が狭いまたは脊椎に問題のあるRAの人は、ヨガを行う際に注意が必要です。RAの人は、関節への負担を最小限にし、バランスを保つために柱を使うなど、特定のヨガの姿勢を修正する手助けが必要です。
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NCCIHクリニカルダイジェストは、国立補完統合衛生センター、NIH、DHHSのサービスです。NCCIHクリニカルダイジェストは、月刊の電子ニュースレターで、科学文献検索、NCCIHが出資する試験の要約、患者のためのファクトシートなど、補完療法に関するエビデンスに基づいた情報を提供します。
国立補完統合衛生センターは、厳密な科学に照らし補完療法および関連製品について調査すること、補完療法の研究者をトレーニングすること、一般市民や専門家に信頼できる情報を発信することに力を注いでいます。詳細については、NCCIH情報センター(1-888-644-6226)に無料でお電話いただくか、NCCIHのWebサイト(nccih.nih.gov)をご覧ください。米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、米国の医学研究に関する連邦政府の中心である米国国立衛生研究所の27の研究所および研究センターのうちの1つです。
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- 慢性疼痛に対する補完療法:概要
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英語版改訂年月(翻訳時):2022年9月本ダイジェストでは、線維筋痛症、頭痛、過敏性腸症候群、腰痛、頚部痛、変形性関節症、関節リウマチ、がん性疼痛などの慢性疼痛に対して、人々が最もよく用いる補完療法に関する現在(2022年9月)のエビデンス(科学的根拠)をまとめています。
現在までに得られているエビデンスから、一部の補完療法は、個人が日々のさまざまな慢性疼痛の症状に対処するのに役立つような、わずかな有用性をもたらすかもしれないことが示唆されています。補完療法の中には、わずかなベネフィット(有益性)を示すものもありますが、エビデンスの量や質は、療法の種類や疼痛の症状・疾患によってさまざまです。
科学的観点:
慢性疼痛のための補完療法:科学的根拠疼痛の症状・疾患と現時点での研究の要約
線維筋痛症
一般的に、線維筋痛症に対する補完療法についての研究は、予備的な段階にあると考えなくてはなりません。しかし、最近のシステマティックレビューおよびランダム化比較試験では、太極拳、気功、ヨガ、マッサージ療法、鍼治療、バルネオセラピー(温泉療法)などの施術・療法が、線維筋痛症の症状の緩和に有用であるかもしれないことを示す有望なエビデンスがあります。
さらなる情報については、慢性疼痛のための補完療法:科学的根拠の「線維筋痛症」をご覧ください。
頭痛
リボフラビン、コエンザイムQ10、ハーブのバターバー(セイヨウフキ)やナツシロギク(フィーバーフュー)などを含む、一部のダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)が、片頭痛に対して研究されており、予備的な研究ではいくつかの有望な結果が得られています。
頭痛に対するリラクゼーショントレーニング、バイオフィードバック(生体自己制御)、鍼治療、脊椎マニピュレーションなどの心身療法に関する研究結果から、これらのアプローチが頭痛の緩和に役立ち、片頭痛に有用であるかもしれないことが示唆されています。
さらなる情報については、慢性疼痛のための補完療法:科学的根拠の「頭痛」をご覧ください。
Irritable Bowel Syndrome(過敏性腸症候群:IBS)
IBSの症状に対する補完療法を評価したシステマティックレビューでは、大規模でデザイン性の高い研究はほとんど存在せず、補完医療や統合医療がIBSの治療に有用かどうかを判断するにはさらなる研究が必要であると結論づけています。
さらなる情報については、慢性疼痛のための補完療法:科学的根拠の「過敏性腸症候群」をご覧ください。
腰痛
鍼治療、筋電図バイオフィードバック、低出力レーザー治療、マインドフルネス・ストレス軽減法、漸進的筋弛緩法、脊椎マニピュレーション、太極拳、ヨガなどさまざまな心身療法が、慢性腰痛に有用であるかもしれないことが示されていますが、エビデンス(科学的根拠)の質は低い、もしくは中等度です。
鍼治療、マッサージ療法、脊椎マニピュレーションが急性腰痛(ぎっくり腰)に対して有効であるかもしれないことが示されていますが、エビデンスの質は低いです。
局所的に用いるハーブのカイエン製剤は、腰痛の緩和に役立つかもしれません。さらなる情報については、慢性疼痛のための補完療法:科学的根拠の「腰痛」をご覧ください。
頚部痛
頚部痛に対する鍼治療は、無治療の場合と比較して、より良い疼痛の緩和をもたらすかもしれないことを、入手可能なエビデンスが示唆しています。脊椎マニピュレーションが頚部痛を軽減するのに役立つかもしれないとするいくつかのエビデンスがありますが、ほとんどの研究の質は低いものでした。マッサージが頚部痛を軽減する可能性があるというエビデンスは、質の低いいくつかの小規模な研究と2013年のシステマティックレビューに基づいています。
さらなる情報については、慢性疼痛のための補完療法:科学的根拠の「頚部痛」をご覧ください。
変形性関節症
米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)が公表した診療ガイドラインでは、膝、股関節、手の変形性関節症(osteoarthritis:OA)の治療において、有酸素運動や筋力トレーニング、体重減少(過体重の場合)、太極拳、多くの薬理学的および非薬理学的療法を強く推奨しています。本ガイドラインでは、変形性膝関節症の管理方法として、バランス運動、ヨガ、鍼治療、自己管理プログラムや歩行補助具などの非薬物療法を条件付きで推奨しています。
関節リウマチ
臨床試験の結果から、リラクゼーション法、マインドフルネス瞑想、太極拳、ヨガなど一部の心身療法は、関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の従来の治療計画に追加することが有益であるかもしれないことが示唆されていますが、一部の研究では、これらの施術・療法は疼痛の緩和よりも患者の健康状態の他の側面を改善することに役立つかもしれないことを示しています。
魚油に含まれるオメガ3脂肪酸は、関節リウマチの症状を緩和するのにわずかながらベネフィット(有益性)があるかもしれません。しかし、オメガ3脂肪酸は、進行中の関節損傷を予防したり、疾患経過を修正(変更)したりすることはありません。他のダイエタリーサプリメントで関節リウマチに明確なベネフィット(有益性)を示したものはありませんが、特に魚油、γ-リノレン酸、ハーブのライコウトウ(サンダーゴッドバイン)などについては予備的なエビデンスがあります。ライコウトウについては、安全面で重大な懸念が指摘されています。
さらなる情報については、慢性疼痛のための補完療法:科学的根拠の「関節リウマチ」をご覧ください。
がん疼痛
2022年に公表された統合腫瘍学会(Society for Integrative Oncology)と米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)の診療ガイドラインでは、鍼治療、リフレクソロジー、指圧、催眠療法、マッサージは、がん患者の疼痛を緩和するのに役立つかもしれないことを推奨する中等度のレベルのエビデンス(強さは中等度)があるとされています。
がん患者の疼痛に対する他の心身への介入や天然物に関するエビデンスの質は、低いか結論に至っていません。
さらなる情報については、慢性疼痛のための補完療法:科学的根拠の「がん疼痛」をご覧ください。
診療ガイドライン
- Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline(急性・亜急性・慢性腰痛に対する非侵襲的治療診療ガイドライン)[英語サイト]
- Practice Guidelines for Chronic Pain Management(慢性疼痛管理のための診療ガイドライン)(麻酔科)[英語サイト]
- Treatment of Osteoarthritis of the Knee /tools/privacy#nccih-linking-policy(変形性膝関節症の治療について)(米国整形外科学会)[英語サイト/第二版]
- Chiropractic Management of Fibromyalgia Syndrome(線維筋痛症症候群のカイロプラクティック管理):Summary of Clinical Practice Recommendations(臨床実践の推奨事項の概要)(カイロプラクティック・ガイドラインと実践パラメーターに関する協議会)[21 KB PDF][英語サイト]
- Low Back Pain(腰痛):Clinical Practice Guidelines Linked to the International Classification of Functioning, Disability, and Health(国際機能・障害・健康分類と連動した臨床実践のためのガイドライン)(整形外科・スポーツ理学療法ジャーナル)[英語サイト]
- Nonpharmacologic and Pharmacologic Therapies for Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee(手、股関節、膝関節の変形性関節症に対する非薬物療法と薬物療法)(米国リウマチ学会)[英語サイト]
- Migraine Headaches in Children and Adolescents(小児・思春期における片頭痛について)(小児医療ジャーナル)[英語サイト]
科学文献
患者のための情報
更新日:2025年3月10日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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